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現代版組踊『翔べ!尚巴志』(しょうはし)

尚巴志(しょうはし)
中世の琉球も戦国の世。南山・中山・北山と3つの勢力をひとつにまとめた王がいた。第一尚氏王統を築いた王の名は、尚巴志(神号・勢治高真物/1371年-1439年)。彼の武勇伝や伝説はいくつもあり、舞台『現代版組踊・翔べ!尚巴志』(原作+脚本・大盛永意、演出+脚色・平田大一)にも盛り込まれたが、何より優れていたのは“知力”。戦国の世に、できるだけ無益な血を流さず、琉球をまとめていったのか。それでも、滅ぼし、滅ぼされの歴史は繰り返され、第一尚氏王統もクーデターにより7代で途絶える。
現代版組踊『翔べ!尚巴志』(しょうはし)
『現代版組踊・翔べ!尚巴志』の幕開けは、クーデター直後の逃げまどうシーンからはじまるという切り口。そして舞台美術は墓場だ!
現代版組踊『翔べ!尚巴志』(しょうはし)
現代版組踊『翔べ!尚巴志』(しょうはし)「舞台自体が、サシチムイ(尚巴志の墓)、そのものだから。」
 と語る平田大一氏は、続けて、
「実際に、尚巴志の眠る寂しげなサシチムイまで行ったのだけど、孤高のリーダー・尚巴志の志は本人しか知らない。彼の心の中にある三山統一の意味、それを考えさせられるような体験でした。」
「本やインターネットで得た知識だけでなく、現場に足を運んで感じ取った事といろんな経験が重なって、その中から人にみせるものにしてゆく。」という。そしてこの舞台に込められたものとは。

「今回のテーマは“天命”。尚巴志のことを歌う『鬼鷲(うにわし)』というテーマ曲を書いたり、この物語を綴るためにある島まで行きました。連載中の『シマとの対話』にも書かれているような、自分との対話をすることで、もう一回、自分のやるべきことを考えさせられる(そして“天命”とは)。“肝高の阿麻和利10年の節目”だなと思いました。」
「自分自身の舞台に対する、舞台を通して何を伝えたいか、その集大成だったと思う。」
 と語った通り、これまで手掛けてきた舞台の中でも最長の2時間のなかに、集大成だと語るほどに濃厚な舞台が展開していった。
現代版組踊『翔べ!尚巴志』(しょうはし)
現代版組踊の醍醐味のひとつである生の舞台音楽は、太陽風オーケストラによるダイナミックな演奏。ドラムなど3つの打楽器が分厚い音の塊で迫力ある演奏に、歌は肝高の阿麻和利出身の東浜夏希。平田氏が今年のテーマは“ダイナミック琉球だ!”と語るそのテーマ曲『Dynamic-Ryukyu』を歌い、太陽風オーケストラならではの、地を這い、天空に唸る演奏が響き渡った。
現代版組踊『翔べ!尚巴志』(しょうはし)

役者陣も、北はやんばるから南は八重山まで、全琉から150名がオーディションを受け、約40名が本番に参加したという。肝高の阿麻和利を経験した勝連の子供たち、故郷八重山からは舞台オヤケアカハチを経験した若き後輩たち、そして尚巴志メンバーがひとつになった。
現代版組踊『翔べ!尚巴志』(しょうはし)「尚巴志という琉球の偉大な王様のことが舞台を通して伝わっていたらいいなと思うし、この舞台は、歴史劇というだけでなくて、自分たちのこれからの道を歩いていく上で、大事な舞台だったと思うので、今日のメンバーは、八重山、勝連、尚巴志のみんなで出来たこと、本当に嬉しいし、感謝の気持ちでいっぱいです。」
 とは、尚巴志役・叶 信之君(高2)

「若いうちから、こんなにいい経験ができるとは思わなかったので、本当に嬉しいです。」
 と、あまみ役・玉那覇 愛さん(高2)

「僕は高3で来年卒業していきますが、この舞台の経験から、子供たちの心がわかる大人になりたいです。そして自分たちの親へ、ふだんは照れくさくて言えない“ありがとう”を舞台で表現できる機会かなと思っています。そして感動を伝えたいです。」
 と、北山王 攀安知役・砂川政秀君(高3)

もちろんその感動は、舞台を観に来た大人たちにも伝播していき、2日間で2400名もの観客を魅了した。
「世の中、こんなに暗いニュースがいっぱいなのに、こうやって若い子たちが頑張っている姿をみて、希望が沸いてきました。」(那覇市・平良さん/女性)

原作者の大盛永意氏は、
「教科書にあるような書き方をしていると子供たちにとっては面白がらない。歴史というのは物語的に語りつぐことによって、本当の歴史感が伝わってゆく。
わたしの脚本は2/3。残り1/3は脚色と演出と音楽が加わり、また新しいものを見ている感覚だった。演出した平田大一君は不思議な天才的な感覚を持っている。」
 と語った。

最後に、平田大一氏はこう締めくくった。
「まだまだ知らないことが多すぎる。でもみんな知らなくてもいいことはTVなどを通していっぱい情報として持っていますよね。僕も含めて若い人は、本当の意味での(知らなければいけない)沖縄の情報というのは、沖縄の人がそれをちゃんと分析していない。でもそれは、学者のレベルでなくて、願わくば子供たちの段階から、歴史のことを知るというのは大事かなと思うんです。」
「今回の舞台をきっかけにしてもらい、そして自分たちの身近なところに歴史の入口があるということ。僕らはそれに光を当てる作業をしていかなくてはと思っています。」
現代版組踊『翔べ!尚巴志』(しょうはし)
偉大なる先人尚巴志と現代に生きる私たちと重ねながら、舞台のなかやインタビューのなかで何度も語られた“天命”とは何かを、そしてまた考えてゆく機会になった舞台だった。

※関連リンク:
・南島詩人舞台(14年ぶり平田大一の一人舞台)
 http://ryuqspecial.ti-da.net/e1700414.html

・現代版組踊『燃ゆる首里城』 舞台レポート
 http://ryuqspecial.ti-da.net/e1800335.html

・『翔べ!尚巴志』公式ブログ:
 http://showthestage.ti-da.net/

(文+写真: 桑村ヒロシ)
(取材協力: TAOファクトリー、『現代版組踊・翔べ!尚巴志』公演実行委員会)
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Posted by ryuQ編集室 at 2008年10月31日   09:00
Comments( 4 ) 観光・レジャー
この記事へのコメント
初めまして、私は尚巴志の事について勉強している者です。 本人よりも その聞得大君についてですが、なかなか文献が見つかりません! 伊覇アジの長女 だけはわあります それ以外の情報をぜひ教えて下さい!お願いします。
Posted by ハッシー at 2008年11月01日 16:23
ryuQ編集室様 

この度は大変すばらしいレポートありがとうございます!
写真もすごくきれいであの感動が再び伝わってきます。

せっかくのレポートに水を差すようで申し訳ありませんが
『翔べ!尚巴志』 が正しい表記となります。

これからも沖縄の情報発信頑張ってください。
Posted by 参加者保護者 at 2008年11月03日 20:14
ハッシー様>
今回の舞台の原作者である大盛永意氏による著書があります。
『第一尚氏物語』という本に、尚巴志の三山統一と
第一尚氏王統のことが、物語形式で書かれているようですよ。
よろしければ、ご参考にされてみてください。
Posted by ryuQ編集室ryuQ編集室 at 2008年11月04日 20:47
参加者保護者様>
メッセージをありがとうございます。
何よりも、子供たちの頑張りと、それを魅せる演出、
そしてこの物語に込められているメッセージ、
素晴らしい舞台をありがとうございました。
また、修正点もお知らせ頂きありがとうございました。
これからも、琉球からのメッセージをお届けして参ります。
そしてまたどうぞよろしくお願いいたします。
Posted by ryuQ編集室ryuQ編集室 at 2008年11月04日 20:53
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