2007年09月27日
伊豆味の豊年祭(本部町)

沖縄の十五夜(今年は9/25)は、各地で豊年祭や十五夜祭りが行われ、本部町伊豆味では4年に一度(4年まーる)の豊年祭が今年開催されました。
豊年祭とは、集落を護る神様へ五穀豊穣や子孫繁栄や無病息災を祈願する祭祀であり、神々が祀られた神社や拝所の前には舞台が組まれて奉納芸能が捧げられ、地域の人たちもいっしょに楽しむお祭りです。
伊豆味の豊年祭の起源は定かではないですが、俗説には300年以上ではないかといわれています。その根拠は、村のはじまりの頃からあったのではないかということで、1666年に今帰仁間切の屋取から伊豆味村(現在伊豆味区)になって300年以上経つことからきているのではないかと思われます。
今年行われた伊豆味の豊年祭は、[正日]9/21(金), 9/23(日), [別れ]9/25(火)の3日間行われましたが、開催前の9/17(月)には神の前で参加者全員(棒部/踊り部/仕立て部/総務部/など実行委員総勢265名)の名前を出し豊年祭を成し遂げることを神々に宣言する『ナーンジャミ』が行われます。

また、豊年祭当日は奉納芸能が行われる前には出演者総出で行列になって道ジュネーから始まるのですが、それよりも前に、先ずは代表者たちによって神社や根所(根家)への拝み(祈願)から執り行われます。沖縄の祭りの根元には、先人達から受け継がれた精神が現代にもしっかりと宿っています。

道ジュネーには、少年から壮年までの棒術部、踊り部、婦人部、レクレーション愛好会の長い行列が一筋に連なります。
神社前に到着すると婦人部とレクレーション部の舞いが奉納され、その後、棒部が総出で『総巻き』。全員が棒を掲げながら「ヒョーイ、ヤイ」と掛け声をあげ、渦を巻くように走り込みます。
「バラバラにある気持ちをひとつにまとめる精神統一の意味があるのでしょう」と区長の伊良波さん。

総巻きのあとは、21組66名の棒術が『いっそう棒』『たんかー棒』『団体棒』と3回に渡って奉納。
その中でも、伊豆味にしか無い独特な棒術が『裏棒』、通称『役人棒』とも呼ばれ、棒のつかみ方が通常とは逆で行われるものでした。

また奉納踊りでは17演目のうち、どうしても欠かせないのが『長伊平屋節』と『大願口説』。この2つの踊りと『組踊』が神への奉納する大事なものとなっています。
『長伊平屋節』は本部町の無形文化財に指定されている女踊。女踊なのに男性が女装し演舞しているのは、伝統的には男性が舞台に上がり奉納する役目となっており、そのしきたりを厳守している事にあります。

『大願口説』は工工四(譜面)も存在しないといわれる程、他ではまず観たことも聴いたこともない伊豆味独特の二才踊であること。

この『長伊平屋節』と『大願口説』の2つを欠かすと“不足が出る”と言い伝えられている程に、大切な捧げものなのです。
(“不足”とは、神様が怒り、集落の人々に警告を告げる事)
『組踊』は、現在伊豆味で定番となっている『伏山敵討』(富盛大主)と『久志の若按司』(天願の若按司)のほか、かつては『義臣物語』『大川敵討』『忠臣身替わりの巻』『姉妹敵討』『高山敵討』『本部大主』『屋蔵の比屋』『手水の縁』が上演されていたとのこと。そして今回は『伏山敵討』が1時間半に渡って披露され、客席からは拍手喝采が。

そしてまた伊豆味の豊年祭では、最終日[別れ]のみに上演されるという『操り獅子』が知られています。
操り獅子とは、伊豆味(本部町)のほかは、川上(名護市)、謝名(今帰仁村)の3つの地域にしかありません。
伊豆味の操り獅子は、2頭の獅子が向き合い、舞台中央の宙に浮かぶ銀の珠をめがけて飛びつきジャレ合うのですが、操り人形のように糸を使って1人で同時に頭と胴(尾)を操作するという難しいもの。
平成13年に新調した際には、三体を作り、一体はウガン用(御願)で残り二体は練習用とし、後継者育成に取り組まれているとのこと。

「老いも若きも、自分に与えられた仕事を達成し、それがまとまることで地域の活性に繋がると思いますので、これから益々村おこしに励みたいと思います」と役員の伊野波盛明さん。

最後の総踊りもまた、伊豆味独特のものといわれています。出演者だけでなく、実行委員、役員のみなさんも舞台にあがりゼイを持ったりしながら半時計回りに行列が渦を描きます。
それがカチャシーへと展開した後、最後に全員で一礼し、終演を迎えます。
区長であり実行委員長でありの伊良波さんは、最後にこう締め括りました。
「4年に一回なのですが、豊年祭を通して集落が一体になりました。皆様どうもありがとうございました」
伝統的な祭りの中に、集落の和を育む心(精神)が息づいていました。

(文+写真:桑村ヒロシ、取材協力:伊豆味区事務所)
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伊豆味の豊年祭【沖縄文学館】at 2007年10月06日 07:00
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