映画ひめゆりの柴田監督、宮城さん、島袋さん、そしてCocco
ひめゆりの風と題して、映画『ひめゆり』の柴田昌平監督、元・ひめゆり学徒隊の宮城喜久子さん、島袋淑子さん、そしてCoccoが、東京四谷の区民ホールに集まったのが終戦記念日の8月15日。
沖縄よりも暑い気温になった東京で様々な年代の人々が集い、映画『ひめゆり』を観て、そしてそれぞれの想いを抱えたのでした。
この映画については、柴田監督インタビュー(ryuQに6/22掲載)をご参考にして頂き、今回は、4人の貴重なトークショーとCoccoのミニライブについてレポートしてゆきたいと思います。
●トークショー:(前編)
映画上映後に、柴田監督、元・ひめゆり学徒隊の宮城さん、島袋さん、そしてCoccoの4人によるトークショーが行われました。
監督:今日は、本当に多くの方に集まって頂き、ありがとうございます。Coccoさんが一年前にライブで語った「ひめゆり」のこと。それがきっかけで若いボランティアの皆さんが映画を応援してくれました。その皆さんの事を「ひめゆりの風のそよ風、つむじ風」と呼んでいますが、若い皆さんの風が吹いて出来たイベントなんです。
宮城さん:みなさんは先ほど映画で私を見て下さったと思いますが、あの姿は13年前に証言した頃のものですので、少し歳を取ったなぁ〜と思われるかもしれませんが、今でも元気に頑張っています。若い皆さんが本当にこんなに沢山集まって下さってこうして今を過ごせることを嬉しく思っています。
島袋さん:8/15と言いますと、62年前終戦ですよね。私はその頃重傷を負いまして米軍病院におりました。でも戦争が終わったと言っても、勝ったとか負けたとかは全然知らずに、ただ呆然としました。ハワイの人が「私は人を殺さずに済んだ。戦争は勝った負けたじゃない」と言うのを聞いた時に「ああ戦争は終わったんだ」と思いました。
Cocco:アルバムに『♪お菓子と娘』を入れて、それを喜んでくれた話は監督から聞いていたので、今日は実際に「おばぁたち」に会えて良かったと思います。
監督:宮城さん、島袋さんは、(映像では観ていたけど)実際にCoccoさんに会うのは初めてなんですよね。一年前のライブで「ひめゆり」に触れてくださって、関係者を通してこういう日を迎えたという訳です。
島袋さん:Coccoさんに会えて嬉しい。孫にも「えーCoccoさん知らないの?」と言われたので今日ようやく会えるよ〜と報告しました。『♪お菓子と娘』の歌を聴いて涙が出ました。Coccoさんが忙しい中、「ひめゆりの塔」と「ひめゆり平和祈念資料館」を訪れて下さっていたという話も監督から聞いていました。
監督:Coccoさんが映画の語りの中にも出てきた『♪お菓子と娘』の話を聞き逃さず、こういう歌があったこと。そしてそれを歌ってくれたのに、びっくりしましたよね。
宮城さん:あの戦場の中で男の先生が気付かない部分で女の先生がいろいろと気遣って下さり、壕の中でその先生が歌ってくださった『♪お菓子と娘』の歌が、どんなに励ましになったでしょうか。今はCoccoさんのCDで聴いていますが、感動しています。
Cocco:本当はこういう場に居させてしまうのも悪い気がしてね。一度しゃべったので、後はもう楽しくして過ごして貰いたいと思うけど、Cocco世代は戦争体験が無いから、解らないから生存者の人に頼ったりして何回もしゃべらせて、何回も何回も泣かせてしまっている。
でも、映画を見た時に「どんなしたら笑って貰えるかな」と思って。おばぁ達は、人から「どうだった?」とかいっぱい質問されただろうから、それは「もういいよ」と思った。
そして自分が出来る事は何かと思って、おばぁが好きな歌を歌ったら笑ってくれるかなと思った。だから歌はとっても楽しく歌おうと思ったの。
宮城さん:先生は壕の中で何かを歌う時は「1,2,3,はいっ」と号令かけて歌ったんですよね。どうしてそんなことまでCoccoさん分かったのかなぁ〜と思いました。
監督:もともと資料館は母校の再建を目指していたから国立でもなく、県立でもなく…、自分達で資金を集めて、誰にも支援を受けないという所からのスタートだったので、大変だったのですね。島袋さんは資料館にいろいろ関わったのですね。
島袋さん:資料館が出来るまでは大変でした。一家全滅とか、仏壇も遠い親戚が持っている、という家もあって。
ようやく遺品を集める事が出来ました。あの当時15才から19才だった若かった私達の同級生が戦争があった中、本当に生きていた証を残したい。
そう思って資料館を手作りで建てる事になったのです。そうは言っても全国の沢山の皆様からのお志を受けて建てることが出来たから、みんなの資料館だと思っています。どんな事があっても私達は真実を語り、伝え続けたいと思っています。
宮城さん:資料館は18年から19年くらい経ったと思いますが、たくさんの方の支えであります。でも、戦後40年近く語る事はしませんでしたし、それくらい10代で亡くなった同級生達の死は重いものだったのです。戦場跡に行ったのもひめゆりの塔の慰霊祭に行けたのも30年後。でも40年経ってようやく沢山の遺骨、遺品を拾ったのです。あの時のことは忘れてはいけないと家族の前で話したのも13年前くらいですから。そういう意味でも「人の命の重さ」を映画で感じて下さったのではと思います。
島袋さん:映像の中でもありましたけど、あの6/18〜19の朝に壕を出た仲間が、どこでどのように亡くなったのか解らないお友達がいます。怪我をして動けない友達を壕に残して出て行った。友人を思い出し、家族にも誰にも話せない時期がありました。あの頃は戦争だから仕方ないと思っても、泥の中から朽ちかけた櫛や筆箱を拾った時に「ごめんなさい。もっと早く来てあげれば良かった。ごめんなさい」と、その時からこのことを話すのは私達なんだと思ってポツリポツリ話す様になったのです。
監督:この会を開いた背景は、昨年劇場で『ひめゆり』が公開されて、Coccoさんが『想い事。』(8/15発売のCoccoの最新刊)で紹介してくれて、Coccoの風のそよ風、つむじ風が吹きました。
この映画は、若い人は来ないかもしれない重いテーマだし、怖いんじゃないか?と思っている人が多いと聞いて、何とかメッセージをいろいろな人に届けたいなと思ってCoccoさんに相談しました。
Cocco:ひめゆり資料館で話を聞いても資料見ても、映画観てもピンと来ないのは当たり前だし、戦争を経験していない私達は解らない。あんな経験というのはしていない人には解らない。
ただ、ピンと来ない事に罪悪感は感じないで欲しい。その事実を知っていて欲しい。知ることでいつか何か繋がったりする事もあるかもしれない。今、若い人が知っていて欲しい。
それは私達が「知らない」からで、知ることが義務だと思う。知るべきなんだと思う。だから今は「知るとき」次に伝える為にも生きている人が教えてくれる事がいっぱいある。
みんな自分達はまだ何も分かってないけど、怖いと思っても知るべき。こういう場に来て何十年も話せなかった話を、やっと喋ってくれている方がいるのだから知って欲しい。
語る勇気に比べたら、見る勇気なんて大した事ない。怖いと言って見ないとか聞かないではなく、どれだけの勇気をもって話してくれているか。こうやって来てくれた事に感謝したいと思う。
(つづく/コンサートの様子など、続きは明日掲載予定です)
●映画を見た観客の声:
◎60代女性 M.Oさん
若い人に混ざって娘と一緒に参加しました。私は戦時中生まれではありますけど、戦争の記憶は全く無いんです。でも映画を見て涙が止まらなかったですね。これは同年代の方にも見て欲しいと思いました。私達より上の年代の方だけど、あの若さでお国の為と言っても辛かったと思います。私達が15歳くらいの時はどんなだったかなと思うと生存者の方の想いは図れません。
◎30代女性 M.Sさん
言葉に出来ません…。でも現実を知ることが出来て良かったと思います。これを無駄にしないよう次の世代に伝えていきたいです。TVのドキュメンタリーとは全然深刻さが違いました。
◎50代女性 Y.Tさん
映画にとても感銘を受けました。5年前に沖縄を旅して、辺戸岬から南部のひめゆりの塔まで娘と一緒に訪れました。その時の写真を見たり、語り部の皆さんの話を受けたので、その時の話が脳裏に浮かびました。戦争の悲惨さを分かってもらって、平和を願う気持ちを皆さんに広めて欲しい。いろんなところで上映して下さい。
→映画『ひめゆり』公式HP:http://www.himeyuri.info
(※最新の上映情報などが掲載中です)
(取材:SATOKO、編集:桑村)
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