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映画『ひめゆり』インタビュー

映画『ひめゆり』インタビュー
この映画『ひめゆり』には、ナレーションも無ければテロップも無く、証言がひとつひとつ語られてゆく。
そして、感情を煽るような効果音なども一切無い。あるのは真実の言葉のみ。

これまでのひめゆり学徒隊を扱った映画やドラマとは違いフィクションな物語では無く、あの時の少女たちが今この映画の中で語りかけているのは“本当のこと”を継いでいこうとしていること。
その声を辿ると、見えなかった現実が映像になって鮮明に甦るかのよう。

13年間かけて撮り続けてきたドキュメンタリー映画の中にまだ“生きている”その声に、今、耳をかたむけてみませんか。
映画『ひめゆり』インタビュー
——この映画『ひめゆり』が今この時代に世に出てきたのは、偶然を超えたタイミングのようなものを感じます

プロデューサー(大兼久由美):この記録を録ることになったのは、映画を作る為に録ったのというのともまた違うんですね。
これまでドラマ化されたものなどを生存者の方々からみるとそれはフィクションでしか無かったと言います。思い出すだけでも辛いことを言葉に出して伝えることになったのは、生存者の方々ももう80歳をこえていますので、ひめゆり学徒隊生存者の方々も覚悟し、伝えたかった本当の事を残しておきたいという気持ちが主で、証言記録を残すこと自体にとても意味があったんです。

それが2年、5年、10年と経つうちに、ただ記録して倉庫に残し続けても、その記録された声は誰にも届かないですよね。10年を過ぎた頃から、これは世に出さないと誰にも伝わらないということに気づいたんです。

ひめゆり資料館(糸満市)の展示室には一部公開されていますけど、資料館にアクセスされた方にしかそれが伝わらない状況ですので、それをもっと広く一般の人に観てもらいたい、知ってもらいたいというのがありまして。

映画『ひめゆり』インタビュー監督(柴田昌平):撮影記録のきっかけは、生存者の方々のほうから「記録を残していきたい」という明確なリクエストがあった事なんです。
言葉で語るだけではすぐ消えますよね。年月が経つほどに、それを記録してゆきたいという想いが芽生えてゆく方々が、'94年頃からひとりふたりと増えていったんです。

最初は、あるテレビ局に持ちかけたらしいのですが断られてしまい、たまたまNHKを辞めてフリーだった僕のほうに話が来たのですが、すでにその時には台本も出来上がっていたんです。それも自分たちで作られていたんですね。

——どれくらい真剣だったのか、そのエピソードだけでも伝わってきますね

監督:その台本をみた時に、本気だということがよく理解できたのでまずお話を伺いにいきました。
そこで「まずは、この台本を忘れさせてください。そして、最初からお話を伺うことからはじめさせてください」と、1人1人からのお話を最初から全部お聞かせしてほしいとお願いさせて頂いたのです。

撮影は、まさか現場に行って収録するとは思ってもみなかったようですが、
「最初どこではじまり、次にどこに移動していったのですか? ぜひ聞かせてください」と。

——語ることだけでも大変だったでしょうに、実際に現場にまで足を運ばれたのですね

監督:33回忌が終わってその後、“これで終わらせてしまって良いのだろうか?”という気持ちが彼女たちに芽生えてゆくのが'80年代の半ば頃からでしょうか。お互いの辛い記憶を語り合うようにみんなで集まったりしながらということを行動してゆく、その中心になってゆく方々が現れはじめるようになってゆきました。

人によっては、ひめゆり平和記念資料館を作る段階で、現場のほうにも調査のために(自分たちで遺骨を拾っての調査等)行かれた方もいらしたようなのですが、参加する人もいれば、遠巻きに傍観する人もいたり、積極的ではないけれど手伝う人もいれば、全然連絡を取ろうとしない人もいるし、いろんなカタチがあるんですけど、そういうコアな部分があって、そして資料館については全国からの募金によって作りあげていったんですね。

実は、ひめゆり資料館は一切の補助金などの公的資金は入っていないんです。あえてそういうお金は入れたくなかったそうなんです。というのも、戦前に国から授業料などの援助を受けていたが故に、動員を断れなかったという経験もあったからなのだそうです。

そういうプロセスを経てきているので、僕のところに話が来た時には、ある程度の地ならしは出来ていて、そしてご本人たちが「残してゆきたい」という意志がはっきりとあったので、実際に現場に足を運んでの証言記録を取っていくことができました。

——彼女たちの証言を繋いでゆくことで、見えなかった現実が映像化して見えてくるというか

映画『ひめゆり』インタビュープロデューサー:沖縄上映会をご覧になられた方からは、
“子供の頃、おうちの人の戦争体験を宿題に出されたので、おじいに話を聞いたけど「わからない。忘れた」と言われた。けれど、おじいが語らなかった部分にはこういう苦しい背景があったんだなということを、映画『ひめゆり』を観て気が付くことができた”という感想文を頂きました。

私自身のおじいちゃんも糸満の真壁で爆死したとは聞いたけれど、生前の頃の写真でしかみたことがなかったんですね。彼女たちから「あの頃、糸満の真壁あたりはこうだったよ」とその頃の状況を伺うことができました。
ひめゆりの方々の証言を通して「あの壕ではこうだったよ。集団自決の時はこうだったよ」というお話から、その時の戦争がどうだったのかを知ることができるのは貴重だと思います。

——今の世代は戦争を体験していないからこそ、この映画を観てね、というか、この映画で知ってね、ともいえる貴重な機会ですね

プロデューサー:今、『映画「ひめゆり」を観る会』に登録している方々の中には、10代〜30代の若い人たちが圧倒的に多いのですが、おそらくCoccoファンの方々も多く参加されているかもしれません。というのは、
Coccoさんが昨年の夏に沖縄での初公演で、ひめゆり学徒隊のことをたっぷりと語ってくださったらしいんですね。
それで彼女に観てもらったら、この映画について新聞のコラムでさっそく書いてくださったそうで、それを読んだファンの方からでしょうか、多くのアクセスと登録を頂くことができ、若い世代の方々にも広まっていっているところです。

映画『ひめゆり』インタビュー監督:生存者の方々も、最初の頃は「ようやく自分たちの本当の記録映画ができた」と喜ばれていたんですけど、そのあとの展開としては
「今まで自分の家族にも語ることができなかったけれど、これでようやく話すことができるようになった」というかたもいらっしゃれば、
「この映画を通して、亡くなった友達の遺族に理解してもらえることができた」というお話もありました。

ご家族の方々は、ひめゆり資料館のほうで既にもうご存知だと思っていたんですが、膨大な資料の中から読みとってゆかなければならないところもあるので、深い部分もあるんですね。

そういった意味では、映画という2時間のタイムラインの中でわかりやすく知ることができるというのも、ひとつの手段ではないかなと思いました。
映画『ひめゆり』インタビュー
カメラの前では涙を流さず、精いっぱいに語ってくださっているのは、ちゃんと語りたいという彼女たちの意志と、それを受けとめ伝えたいという取材側の意識が13年をかけて1本のフィルムとなり、
その彼女たちが本当のことを伝えたかったこと、それがこの映画『ひめゆり』の中でしっかりとした言葉になって綴られています。

※上映予定など詳細は映画『ひめゆり』公式サイトまで:
http://www.himeyuri.info/
※関連HP:ひめゆり平和記念資料館
http://www.himeyuri.or.jp/

※取材協力:プロダクション エイシア桜坂劇場

(取材:KUWAこと桑村ヒロシ)

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Posted by ryuQ編集室 at 2007年06月22日   00:00
Comments( 2 ) 戦争と平和
この記事へのコメント
歴史の事実・真実を、
淡々と、
しかし、
しっかりと、
話すおばーたちは、
一番の救いでしたし、
どんな政治的誘導も跳ね除ける、
パワーを感じました・・・


ヒロシマ人として、
心から「ひめゆり」に関わりあった全ての人に感謝します!!!

ノーモア・オキナワ!
ノーモア・ヒロシマ!
ノーモア・ナガサキ!
Posted by 風人 at 2007年06月22日 09:38
題名を見て、単なる今までの映画のリメークだと思っていました。
ぜひ、見たいと思います。

そして、今は小さいから無理かもしれないけど、いつかは私の子供たちにも見せたいと思います。
Posted by 緑茄子多摩子緑茄子多摩子 at 2007年06月29日 00:27
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