iPhone&iPod touch写真集アプリ『OKINAWA』(前編)
りんけんバンドのリーダー・照屋林賢(りんけん)が、沖縄初となる新しい販売方法を開始。iPhone/iPod touchアプリで音楽+写真映像をアップルのApp Storeからの販売です。音楽はもちろんのこと、どこでもカメラを撮りまくるフォトグラファーとしても知られ、コアなMacユーザーでもある照屋林賢氏だからこそできた新しいメディアでのリリースとなりました。
——iPhoneアプリで音楽+写真映像を販売されましたね。またこれは沖縄初となりましたね。
照屋林賢(りんけん):だいたいiPhoneアプリといえば“遊べる”もの(ゲームとか)、“便利に使う”ものとかが多いと思う。写真と音楽の“鑑賞する”ものをこういう形で表現したのは新しい事だと思う。
——“鑑賞する”アプリは珍しいですね。“観る(写真)”“聴く(音楽)”のどちらも、“林賢ワールド”ですね。
照屋林賢:沖縄の光景が写ったスナップ写真なので、旅行のように楽しんでほしい。僕らも海外の旅行写真を観ると楽しかったりするじゃないですか。たとえば、地球の裏側の方々から観たら「へぇ〜、沖縄ってこういう風景なんだ」っていうことになると思うんですよね。
——なるほど、iPhoneアプリなので、世界中からダウンロードして購入できるんですよね。しかも115円!
照屋林賢:えぇ。どこの国の人でも。しかも手軽なお値段ですからね。缶コーヒーを買うような気分で誰でも簡単に買えるね。
——世界のどこからでも簡単に、沖縄にトリップできるiPhoneアプリ、ですネ。
照屋林賢:そういう意味では、最高のメディアではないかなと思うんですよね。いろんな国や場所から沖縄を観て体感してもらえる。
——また写真集については、2007年に写真エッセイ集の本を出版されていますね。
照屋林賢:'07年の本、そして今回の写真集アプリもどちらも写真集には変わりはないのだけど、本は紙媒体ですが、今回はiPhoneアプリのデータなので、媒体によって表現の仕方はまるっきり違いますよね。
——そして値段も違って安い。
照屋林賢:値段は安いとか高いとか付けられないと思う。特にアプリとかは、これからは高いとか安いとかいう感覚はなくなるんじゃないかと思うんですよね。先ほど言ったように、115円で気軽に買えるけど、これからはさらにもっと気軽に買えてしまうような時代がやってくるんじゃないかなと思う。
たとえば本を一冊作るのに、紙が何万枚必要なのか、さらには印刷するインクなども必要ですよね。とてもお金が掛かる訳です。さらには本を作る専門技術も必要です。
データで作るコンテンツにはそれが必要無いわけです。もちろん最初に開発費は掛かりますけど、本みたいに在庫を抱えなくていい。一つのデータが完成していれば、お客さんはそのたった一つのデータをそれぞれがダウンロードしていけばいい。そういう仕組みは、コストの価値観を変えてゆくことができるメディアだと思うんです。
ビジネスのかたちも値段の仕組みも変わっていくと思うんです。沖縄にも、このアプリを使ってビジネスをしようとしている人たちがいっぱいいますよ。どんどん開発していってほしいなと思うんです。
これは誰でも開発できて平等に参加できるビジネスです。やらないと損だよと思うんですよね(笑)。
——世界の視点からみたら特別なことをやっているつもりでもなさそうですね。
照屋林賢:そう、特別なことではなく世界からみたら普通のこと。それをやるか、やらないか。
それを「難しいな」と思ってしまったら出来ないし、「きっとやれる。やってみよう」と思えば出来るものだしね。だから僕はいつも「簡単だよ」って言っているんです。
——最先端なものを率先して使っていらっしゃるからこそ分かる感覚なのかなと思います。
照屋林賢:目を“カッ”と見開かないとね、見えてこないもの。とくにそういう技術革新とかはさ、疑ってもいいから、本当かな?と思いながらでも、まずは一回でも使ってみるとかね、やってみることが大事だと思う。
——林賢さんといえば、ソロアルバム『pause』をアップルのiTunes Storeで先行販売したりと、音楽コンテンツの売り方・買い方を従来とはまた違う手法で手掛けられてきましたよね。
照屋林賢:これから僕らもそういうビジネスをしていかねばならないと普通に考えてきたことなので、これは“試み”ではなくて完全な“ビジネス”だと思っていますね。
ただ、こういう新しいものをみんなは本当にビジネスなるのか分かりづらいところもあるとは思うんだけども、僕らは時代に合わせてメディアを変えてやっていかなければならない立場にいるので。
今の時代、CDも本も売れないじゃないですか? では次は何かというと“配信”とか、時代ごとにどんどん移行していくもの。
音楽コンテンツをネットでデータ販売したAppleのiTunesを、最初の頃はみんな「えー?」って言っていたけど、それが今ではね、世界の経済を引っ張っていくような力になっていったじゃないですか。
だから僕は、2003年にアメリカでiTunesミュージックストアがオープンして間もなく「iTunesでりんけんバンドを販売してみないか?」と言われて、即、日本人として最初に契約してアメリカとカナダで販売開始していましたね。そのあと、日本法人のアップルジャパンもやることになって日本版のiTunesが開発されたりしていきました。
ネットでは、音楽は売れないと思って無料で配信していた時代に、そこにAppleがiTunesで音楽データにあえて値段をつけて販売をした時、みんなは「本当にネットで売れるのかな?」と思ったりもした。ところがiTunesだけでなく、音楽再生プレイヤーとしてiPodをつなぐというこの連動した一体感、これは凄いなと衝撃を受けましたね。音楽の売り方そのものを変えていくような勢いがあって、さらにそこをステップにしてまた新たな技術が生まれてくるのであってね。技術革新というのは止められないし、それを予測し続けるのは難しいと思うけど、予感というのは持っていないといけない。
とにかく、メディアは変わっても“コンテンツそのもの”は変わらないですよね。たとえば音楽の場合、メディアがLPレコードからCDにそして配信に変わっていくように。その手法が時代と共に変化し続けているんです。だから僕らはそれ(時代に合ったメディア)に対応していくということです。ますます、こういう配信が重要になっていくと思いますね。
(先駆者ならではの興味深いインタビューはまだまだ続きます/【後編】はコチラ→)
[App Store]
http://www.itunes.com/app/okinawa/
[Webサイト]
http://www.d-directors.co.jp/iPhone/okinawa/
(取材: 桑村ヒロシ/取材協力: Ajima)
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