木内鶴彦+ポール・コールマン対談
臨死体験者の木内鶴彦氏と、ビジョンをみたことがきっかけで世界中に木を植えて歩き続けるポール・コールマン氏。世界的な環境活動家の二人の対談が、12月1日に浦添のてだこホールで実現。未来は自分たち次第で切り開けると、沖縄から世界へ、希望に向かうコラボレーショントークを一部ご紹介します。
ポール・コールマン:まず最初の質問です。臨死体験をされた木内さんにお聞きしたいのは、臨死体験のあと体に戻ってきた時に、どういう事などを考えていらしゃったのでしょうか?
木内鶴彦:生き返ってくるとは思っていなかったですね。というのは当初、“あと1週間の命”とお医者さんに宣告されていましたから、当然自分でも生き返ってくるとは想定していなかったんですね。
ただ、“死の旅”(臨死体験)をしている最中に、過去とか未来にも行けるという事が判った時に、未来に“自分がいる”というのを見ていたので「もしかしたら?」とは思ったりもしました。以外と楽観的に見ることができたので、必ず一旦は病室に戻るという事を繰り返していたんですね。そしてそれがコツだったのかもしれません。
戻ってきたら、看護婦さんが「木内さんが生き返りそうですよ!」だなんて言っていたものですから、どうやったら体に戻れるだろうかと一生懸命考えていたのです。そうこうしているうちに意識が肉体へと戻ることができたんですね。
それと、心臓と呼吸と脳波が死ぬという瞬間があるという事を体験するんですね。アレ、今心臓が止まったよね、音が止まったよね、でも今それを見ているよねって。
そしてそのうち起きあがり、自分自身の肉体を見たときのショックって無いですね。その時はショッキングですが、僕がもっとも辛かった事といえば、「余命、あと一週間です」と宣告されたあと、時の刻みが一番辛かったですね。
そんな状況で自分は何を思ったかというと、死んだ時にすべてが無くなってしまうとそう考えた時、宇宙のまわりに何も無いところからビッグバンが誕生したという事は“無”という世界があるのだと想像する事で、死というものを受け入れられるようになったんです。
ポール・コールマン:私は戦火のサラエボで木を植える活動をしていた時に、兵隊に何度か捕らえられました。彼らは私をどうやって処刑するかという話をしていて、銃を突きつけられた事もあったんですね。
自分自身の事をなんとか救おうといろんな事を試したんですね。でも最終的にはこれが運命なのかなと覚悟したんです。まさかここで死ぬとは思っていなかったけど、これも運命なんだと。
その時、自分がとても穏やかなスペースである事に気がついたんです。すべての執着が取れ、自分の運命に身を委ねるということをした瞬間に、「死ななくていい」という結果になったんですね。
木内鶴彦:僕がいつも思っている事なんですが、本当の武士道の精神は“戦わずして勝つ”という事なんです。もの凄い実力を持った達人だったら、いかに人と戦わないで過ごせるかという事を美学とします。
ですからこれからいろんな活動をしていく時には“敵を作るんじゃなくて味方にしていく”という事なんですね。
例えば、いろんなゴミの問題では、企業ばかりに文句を言うんではなくて、これはみんなの責任なんだと。だから一緒に作っていく体制を考えていく。
そして実際にそれを作る事ができた時に、(例えば新エネルギーの場合は)電力会社と喧嘩する必要性なんか無いんです。電力会社も気が付いてくれて仲間になってくれたら、そのほうがもっと早く進むわけですよね。
ただ、彼らがわかってもらえるようなものに変えていくという事が、戦わずして勝つという知恵だと思うんですね。
本当の知恵というのは戦わない、という事なんです。
いろんな国々でいろんな争いがありますけども、これまで争いで自分たちを誇示してきたんですが、これからの時代は違う。地球人としてのモラルを作っていけるか、という事だと思うんですね。
ポール・コールマン:私もいろんな危険な状態の場所にも行かなければならない時があったりするのですが、「どうやって自分の身を守りますか?」とよく訊かれます。そこで「私の自己防衛は“防衛しない事”なんです。」と答えています。
フレンドリーに(親しみをもって)いつも笑顔で、いつもオープンにしながら、深呼吸して“さぁ、何が起こるか見てみよう”という状態を保つようにしています。それから“敵を作らないようにする”こと。
よく言うのですが「私は何かに反対していたり、反戦運動をしているんじゃ無いんですよ。」というんです。何かの反対というのではなく、前に向かって地球の為に、平和の為にいつもそういうふうにやっています。
それがポジティブなエネルギーになって、物事がいい方向に進んでいくようになります。
木内鶴彦:そして、自然界から学ぶものは多いですね。
星空の観察のため、夜、自然の中に長く滞在することがあるのですが、動物は夜行性なので、野外で寝ているとそのまわりをうろちょろしたりしているんです。それらをよく観察していると、夜行性でもそれぞれに出てくる時間帯があるんですよ。
それぞれの動物はお互いの領域を侵さないんですね。“侵さない自由”というものを学ぶんですね。
人間はつい自然を相手に“人間様”みたいな感じになったり、人と人が歩く時でもすぐ衝突しそうになったりする。
本当の自由とは“相手の世界を阻害しない自由”が本来の自由だと思うんですね。相手の事を尊重できるという事をとても学ぶ事ができるんです。
他の動物たちは本能としてそれを知っていて、ただし、そのルールを破ると怖いんですね。だから私たちもその自然界のルールの中で生きていくと共存出来たり、森の中で熊と遭遇しても一緒に過ごす事も出来たりするんです。
ポールさんはそういった経験はありますか?
ポール・コールマン:そうですね。
私が、世界に木を植えていくきっかけとなる体験をした旅では、どんな国境も見たくない、どんな境界も欲しくないと思いました。
本当の自由とは、人間が持っているプライドや偏見や傲慢さや自己中心的な考え、そういうところから自分が解放されたら“本当の自由”になるのではないだろうかと思うんです。
そういう感情から自由になった瞬間に、人間はとても素晴らしいことができる可能性が生まれる。
執着とか、物質主義とか、お金とか、そういうものもある程度は必要でしょうけれど、それが重いブーツのように自由な可能性の世界へとは抜け出す事が出来無いのかなと。
そういう重いブーツ(執着などの感情の重みのようなもの)を取り払えると(意識が)宇宙へ行ける(つながる)。
木内鶴彦:なるほどね。
私の出身は長野なんですが、長野だけに限らず日本には古来からの考え方があって、特に山岳に生きる人にとっては自然と共に暮らさなければならないですよね。
別に宗教という意味では無いんですが、身近に神社があり、八百万の神、といって自然界そのものが神(木・川・岩など万物に宿ると)。
ですので、山の作業をするときに手を合わせて「今日は山の作業をさせてもらいます。」と誓いを立て、仕事が終わると「今日は無事作業が終わりました。」というご挨拶をするのが、本来の神社(と人の向き合い方)であるといいますから、人間にはそういう謙虚さがあって生きていかなくてはならないのかなと。
それから、神社の色をよくみると何も塗っていないんです。なぜ色を塗らないかというと腐る(自然に朽ちる)ことに意味があるのだそうです。次にお宮をまた建てていく為に、森(自然)を作らせていくという文化を継いでいる訳ですからね。
それを作り続けなければ(自然との循環)、地球は出来ていけない、という事を教えてくれていると思います。
それから今みたいに、お社というところが高床式になっていますけど、穀物など収穫されたものをそこに捧げて、それを有り難く頂くという風習がいまだに残っている。
もしそれ(自然)が神様であれば、地球生態が神様で、動物・植物や生きるものがすべて神であるという文化であるという事を私は学んできたんですけども、
それは別に宗教という訳ではなくて、こういうのってこれからの時代に必要なのでは。地球生態(地球全体)が大切なんだよと伝えられたらと思うんです。
ポールさんも様々な国を歩いてこられましたが、僕もいろんな国を渡ってきていろいろとそう感じる事が多いですね。
——そしてみんなで考えていきたい場にしたいという事もあり、このあと、会場から質問がいくつかありました。そのうちいくつかをご紹介します。
質問者1:夢について伺いたいのですが、実は夢に見た事が必ず実現したりしているんです。どう思われますか?
木内鶴彦:夢の話についてですが、人間というものは本来、動物・植物を問わず、意識というものは全部つながっています。人間だけがある時期からそれを閉ざすようになりました。それが閉ざしきれていない場合は、時間とか空間をあれこれ行き来するんです。ですのでそういう夢を見てもおかしくないですし、そういう能力のある人がいてもおかしくはないと僕は思っています。
質問者2:おふたりは、いろいろとビジョンを見られて来られたとの事ですが、これから、5年後、10年後の沖縄、地球はどうなっているのでしょうか?
ポール・コールマン:10年後のビジョンですが、沖縄(や世界)の人たちがこのまま自然を守ることも何もしないとしたら、沖縄に限らず世界中が大変な事になります。
もしみなさんが、今日から動き出し、何か小さな事からでもいいから意識を変えて行動をはじめる事。それが10年後の沖縄の未来が明るくなっている事でしょう。今日からみなさんがどういう選択をしてどうするかによって、未来が全然違ってくると思います。
これまで20年間、地球を歩き環境活動をやってきて思うのは、私たちのスピードが遅いんですよ。
環境破壊のスピードに追いつけていないんです。まだ自分は楽観的でもあるしこれから新しい芽を作れると思っていますが、とにかく私たちはスピードが遅いんです。
だからみんなで力を合わせて走っていくくらいじゃないと追いつかないです。
だから来年は『セレブレーション・アース』というピース・キャンペーンを起こしたり、世界中で『植林フェスタ』を起こしたりしているのは、今、皆全員でやらないといけないと間に合わないので(環境破壊のスピードに追いつけないので)、みんなでスイッチオンしてほしいのです。そしてエネルギーを高めてみんなで行動して、とにかく全員で前向きにやろうと行動しているわけです。
もし、みんなの選択次第で未来が架かっているとしたらですよ。やっぱり今日からでもすぐ始めないと。というのは“それがそのままその通り(行動が実現に)”に現れるからなんです。
一人一人の行動と意識に架かっているんですね。わたしたちの行動次第で地球の未来が変わる(光にも闇にも)。だから今、今日からなんです。
・関連記事1:「地球環境再生は沖縄・宮古島から」(木内鶴彦)
→http://ryuqspecial.ti-da.net/e2376079.html
・関連記事2:沖縄から「セレブレーション・アース」(ポール・コールマン)
→http://ryuqspecial.ti-da.net/e2376103.html
(取材: KUWA)
(取材協力: CELEBRATION EARTH実行委員会)
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この記事へのコメント
素晴らしい対談の記録を分かち合って下さって、
本当に有難うございます!!
2009年9月21日、
セレブレーションアースで、
ポールや鎌倉の皆と、
平和を宣言して、アースジャンプしてこよっと!!
感謝を込めて、
豊田 義信 yoshinobu000-lj(a)infoseek.jp
平和つむぎブログ http://heiwa0.seesaa.net/
●祝 鎌倉市平和都市宣言50周年(日本初)●
●2010年 あんぽ条約50周年改定でなく平和条約でいこ●
本当に有難うございます!!
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Posted by 豊田義信 at 2009年07月02日 05:48
木内さん繋がりでこちらへ来ましたが、とてもためになりました!
Posted by 岩谷薫 at 2010年03月26日 20:57
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