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Shing02「歪曲巡礼・沖縄」インタビュー【前編】

Shing02「歪曲巡礼・沖縄」インタビュー【前編】
カリスマ的人気を誇る日本人バイリンガルMCとして、世界的にもリスペクトされているヒップホップ・アーティスト「Shing02」(アメリカ在住)が、沖縄に初上陸! それは今年のフジロックフェスティバル出演のわずか数日前の出来事だった。

6年ぶりの待望の最新作『歪曲』をひっさげ、北海道から沖縄まで三十三箇所を巡る『歪曲巡礼』(わいきょくツアー)の真ん中のあたりに、初の沖縄公演が実現。

Shing02をはじめ、メンバー(歪曲クルー)も全員初来沖。とくにShing02は、ルーツが南の島にあったのだという。
「祖父が屋久島なので、成人してからは何回か屋久島には行ったことがあり、沖縄にも行きたかったのだがその機会は無かった」とのこと。それを今回つないだのが、オープニングアクトもつとめたカクマクシャカ(from具志川)だった。

Shing02とカクマクシャカとの出会いは、Shing02が『民のドミノ』(DUTY FREE SHOPP.×カクマクシャカの代表曲)を聴いたことがきっかけでメールで交信するようになったという。その後、Shing02が坂本龍一氏とのプロジェクト『STOP ROKKASHO』では、彼らが公開したトラックをカクマクシャカがサンプリングし詩を乗せて歌った音源をShing02に送ったものから、後に『無知の知』という話題作が誕生した経緯がある。

あれからステージで顔を会わせるのは、'06年の夏フェス『ライジングサン』以来。それも沖縄で!
初日は那覇のライブハウス『桜坂セントラル』、最終日はヘリパット問題でも揺れる東村高江の森の中にあるカフェ『山瓶』にて開催することに。

南の都心のハコと、北のやんばるの野外ステージでは、ヴァイブスにも変化があるはず。もちろん両日とも伺い、そしてShing02への単独インタビューを敢行することが叶った。沖縄の地で発するShing02からのメッセージを届けてみよう。

Shing02「歪曲巡礼・沖縄」インタビュー【前編】――今回、6年という歳月の中で生まれた新作『歪曲』には、どのような想いが込められているのでしょうか。

Shing02:アルバムを作りはじめた時に、テーマは自由かつ大きく作りたいというのがあって、響きもいい『歪曲』(わいきょく)という言葉をとっておいたんです。
通常は“話やモノをねじ曲げる”という意味で使われていても、自分には“響きが綺麗な言葉”だと思っていて。それに歪曲の“曲”は“音楽の曲”でもあり、“歪”は“Y”というサインや、いろんな角度からも捉えることができると思うんです。
それはリリック(詩)でも同じことで、ひとつの歌詞からいろんな捉え方ができるというのが好きなので。

また、これまでの曲の作り方は、レコードからサンプリングしてつなぎながら、そこに持っている世界感に自分で言葉を足したり、というのが主体だったのですが、今回は、サンプリングは一切使わずに、“自分たちでゼロから音を作りたい”というのが、今までの趣旨とは正反対に違う方向で始めたんですよ。

打ち込みも使わず、ドラムは山口元輝(歪曲メンバー)が叩く生音をはじめ、“人から音を作っていった”のがこのアルバムです。

――“人から音を作っていった”!!

Shing02「歪曲巡礼・沖縄」インタビュー【前編】Shing02:友人たちが奏でる音を音源にしたので、“人源サンプリング”と呼んでいます。述べ30名ほどが参加しました。

――それもいくつもの生楽器の音が入っていますね。ヴァイオリン、琵琶、尺八、そして沖縄の三線と。意外な音源ばかりですね。

Shing02:まず、楽器よりも“人の縁”が先にあって、音楽よりもまずはお互いの人間性をわかり合った上で初めて依頼ができるのであって。そういう意味では(出会いに)恵まれ、とても幸運でしたね。
Shing02「歪曲巡礼・沖縄」インタビュー【前編】
――それを6年間という歳月のなかで培ってきたわけですね。

Shing02:逆にそれだけ時間を掛けなければ、本当の意味でのセッションができないと思うんです。ただミュージシャンたちと音のやりとりをするだけではなく、関係性もやはり大切だと。

――セッションといえば、今回の歪曲巡礼in沖縄では、カクマクシャカとの再会(御縁)もありますね。
今回ご一緒されるのは、'06年の『ライジングサン』以来のことになりますね?


Shing02「歪曲巡礼・沖縄」インタビュー【前編】Shing02:そうですね。彼をはじめ、スタイルは違ってもそこに志しがあるミュージシャンであれば、住んでいる場所や役割は違っていても、いつでも会った時にはまた出来るというのが素晴らしいと思うんですよね。

カクマクシャカ:たとえば今回の歪曲クルー(メンバー)である、DJ A-1さんやドラムの山口さんにしても、いつも会っている訳ではないのに、今日、Shing02さんたちと一緒にいる様子をみていると、近いヴァイブスを(共有して)持っているんだなっていることを感じました。

Shing02:人種も年齢もカルチャーの違いも関係ない。と同時に“皆が違ったものを持ち寄る”というのが良さだと思うんですね。
それと、アルバムとも違い、ライブは“生のエネルギー”なので。
ステージから「歪曲巡礼ということで、沖縄の土地と人々と神々に巡礼をして、リスペクトを示して参りました。」と切り出したShing02。そして僕らは、次第にShing02ワールドへと引き込まれていった。
「人を繋げるのは言葉なり」(『旋毛風』)。その言葉(リリック)を繋げてゆくと全曲で何万語になるのか。膨大な言葉はただ洪水のようではなく、そのひとつひとつにエネルギーがあり、メッセージがあったからこそ、終演後の客席からはいくつもの「ありがとう」「ありがとう」と感謝の言葉が返ってきたのだろう。

Shing02「歪曲巡礼・沖縄」インタビュー【前編】
——これから、歪曲巡礼も後半(8/15のライジングサンほか、各地)に入ってゆくことになりますが、ファンの皆さんも楽しみにしていると思うんです。

Shing02:そうですね。ライブ毎に良くなってゆく面があったり、余裕が出てくると、“今度はまた新しいことを試してみようか”ということが出来たりとかすることがあるので、そこは自分たちが楽しまないといいツアーといえないので。
メンバーも不定期に変わる予定なので、DJとドラマーとのコアをしっかりしてゆきながら、自分たちも工夫してやっていきたいと思います。
Shing02インタビュー【後編】につづく→

※ライブスケジュールなど、Shing02公式HPはコチラ→
※Shing02の東京ライブ音源が『iTunes STORE』にて8/13より発売中→

(文+写真: 桑村ヒロシ、取材協力: MARY JOY RECORDINGS、覚醒レコード、416)



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Posted by ryuQ編集室 at 2008年08月15日   09:00
Comments( 0 ) 沖縄の人々
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