カクマクシャカ前編「社会的な現象があったから歌が生まれた」
沖縄の音楽シーンの異端児といわれるカクマクシャカが、いよいよ初のCD『シャカの掌の惑星』をリリース!
世界的なラッパーShing02との共作『無知の知』が大きな反響を呼んだり、加藤登紀子さんとフジロックフェス'06で共演して話題となったり、その活動のスピードと具体的な行動力は驚異的。
今注目されるカクマクシャカに2日間にわたる特別ロングインタビューでダイレクトにメッセージをお届けします。
――現在ではラップの印象があったカクマクシャカが、初のCD作品で気持ちよくそれを裏切ってくれましたね
カクマクシャカ(安村磨作紀):元々は、角膜釈迦というハードコアパンクの4人組のバンドだったんです。今でこそ、メッセージをのせて歌っていますけど、その頃は歌詞も何もなくただ叫んでいましたね。
前身のバンド・武士道魂には歌詞がありましたけど、カクマクシャカには一切の詞がありませんでした。
考えすぎていたのか、簡単にコトバを書けばいいというものでもないとそう思いこんでいたんだと思います。
――その後、『民のドミノ』などで知られるユニット・DUTY FREE SHOPP.×カクマクシャカでの表現や、世界的なラッパーShing02との共演で“言葉で表現する”ことの印象が強いですから、まったく歌詞が無かったというのは意外なほど衝撃ですね
カクマクシャカ:言葉を書く、ということが僕の中で特別だったんですね。
『民のドミノ』という曲は作ろうと思って作ったのではなく、その時沖国大ヘリ墜落事件が起き、歌う必然性があったので生まれた曲なんです。そもそもはそういう活動の為に結成したユニットでは無かったんです。
――異常事態を前にして流通も通常の手段ではなく、あの歌を無料配布していたんですよね?
カクマクシャカ:身近なところでああいう事件が起こってしまって、時間が経つと“あんなことがあったね”って忘れてしまいそうな自分がいたんですね。それを「忘れさせちゃいけない」と思ってあの歌が生まれ、フリーでCDを500枚は配りました。
そのほか、ネットにも開放しフリーダウンロードで配布しました。とにかくスピードが命だと思ったんです。
――“そこに社会的な現象があったから表現したい歌が生まれる”というタイミングに、Shing02との共演も似たような運命で派生したともいえますよね
カクマクシャカ:Shing02さんには、DUTY FREE SHOPP.×カクマクシャカの『音アシャギ』がリリースされた時にコメントを頂いていたんですよ。それに恩返しできることは何か無いかなって探していたんですね。
Shing02さんと坂本龍一さんが『STOP ROKKASHO』のムーブメントを起こしていて、そこでアート作品を募集していたんです。これはいい機会だと思い、坂本龍一さんとShing02さんが公開したトラックをサンプリングし、詩を書いて歌った音源を送ったんですよ。
そしたらShing02さんも「ソレいいね。でももっと音質を良くしたほうがいいんじゃない?」ってそのやりとりをしている段階で「よかったらShing02さんにも歌ってもらえませんか?」って相談したらOKを頂いて『無知の知』が誕生しました。
――それも驚異的なスピードで生まれたとか?
カクマクシャカ:3日くらいで作りました! DUTY FREE SHOPP.×カクマクシャカがライブ出演の為の東京出張予定が先にあって、その時のスケジュールが3日間しか無かったんです。
時差を利用してShing02さんが寝ている間に詩を作ってアメリカに送り、僕が寝ている間にShing02さんがリリックを作って沖縄に送ったりと、時間をフルに活用して作りました。
そして上京した際に、ある音楽関係者をビックリさせようと思って、何も説明しないままShing02さんとの『無知の知』を聴いてもらたんですね。
歌の中で「Shing02」と叫んでいる場面があったりしても、その方は最初のうちは「モノマネが上手いね」ってまったく信じてくれなかったんですが、「実は一緒に作ったんですよ」と本当の話をしたら大変驚かれて(笑)。
「じゃあ、これからある会合があるけど、良かったら一緒に参加してみないかい?」と誘われ、そこに坂本龍一さんもいらっしゃったんです。坂本さんが「Shing02とこういう曲を作りました」と発表されていて、「実は僕もShing02さんとこういう歌を作ったんですよ」とお話させて頂いたんですが、何せネットで公開してまだほとんど日も経っていなかったので誰も知らなかったんですヨ。そこで出来たての音源をその場で聴いてもらったんです。
そのあとからですかね、1日に何千件という驚異的なダウンロード数が記録されるようになり、『民のドミノ』の時の記録を塗り替えてゆきました。
実はShing02さんが日本人と共演するのは1st以来なのでかなり珍しいようです。それも日本というかいきなり飛び越して沖縄という。
それまで自分の中ではバンドマンという意識があったのですが、それがきっかけでラップで表現することが躊躇なく出来るようになりました。
――そのあと、加藤登紀子さんとも共演することになったとか
カクマクシャカ:夢みたいな話ですよね。
実はその『無知の知』がきっかけとなって、坂本龍一さんが出演する明治大学でのイベントにも呼ばれて、初日に加藤登紀子さんの前座をすることになったのですが、実は何かの手違いで僕も出演するということが加藤登紀子さんにまで話が通っていなかったんです。だからリハーサル現場では“じゃぁ、目の前でやってみなさいよ”みたいな緊張した空気が漂っていて。
そこで『深海魚』という歌を歌わせてもらったんです。で「いいんじゃない?」ということになって、本来前座として別々のステージだったはずなのに、加藤登紀子さんのステージの呼ばれて、一緒に共演させてもらうことになって、登紀子さんの歌に僕がフリースタイルで絡むっていうのがとっても楽しくって。
そんなエピソードがきっかけで、昨年のFUJI ROCK FESTIVALには加藤登紀子さんと共演することにまで発展してゆくカクマクシャカ。いったいどこまで行くのか?! 言葉にして歌う意味について、まだまだ興味深い話は続きます。インタビュー後編では、結成以来初のCD作品について語って頂くことになります。
(つづきはコチラ)
■関連HP:
カクマクシャカ公式HP:
http://kakumakushaka.com
Shing02『僕と核』:(必読)
http://www.e22.com/atom/
STOP ROKKASHO:
http://stop-rokkasho.org/
キャンドルナイトOKINAWA 2007紹介記事:
キャンドルナイトOKINAWA '07 インタビュー(カクマクシャカ+KEN子)
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(取材:KUWAこと、桑村ヒロシ)
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この記事へのコメント
KUWAさん、インタビューした場所
私が知っているあそこ・・・ ですか?
カクマクシャカ さんのこと 全然知りませんでした。
沖縄のミュージックシーンに新しい方が出てきたんですね。
その辺のことを全くしらないので、今回の記事は新鮮でした。
私が知っているあそこ・・・ ですか?
カクマクシャカ さんのこと 全然知りませんでした。
沖縄のミュージックシーンに新しい方が出てきたんですね。
その辺のことを全くしらないので、今回の記事は新鮮でした。
Posted by 銀龍 at 2007年06月27日 20:29
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