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シマとの対話〜第II章(第19話)『膝の前の友達でありたい』

膝の前の友達でありたい
南島詩人・平田大一の“今この瞬間”に綴り出される詩、そしてそれに呼応するような1枚写真とのコラボレーションでお届けする連載『シマとの対話』。第II章を好評連載中!(毎月中旬更新)
シマとの対話〜第II章(第19話)『膝の前の友達でありたい』
第II章(第19話)『膝の前の友達でありたい』

久しぶりに実のあるシンポジウムに出席した。
シンポジウムで涙ぐんだことは初めてだった。

日本のアンデルセンと称され
口演童話行脚で世界中を駆け回った
児童文化の父
青少年健全育成運動の草分け的存在
近代児童文化の開拓者の第一人者
「久留島武彦」氏の没後50年の
節目を記念する式典でのことだ。


「子どもの膝の前の、友達でありたい」
「私は種をまく人で、終始したかった」

そう語り続けた久留島氏は、
自身の活動を顕彰した「童話碑」建立の折にも
「自分の名前はいれないで欲しい」と言われ
自らの名前ではなく「童話のこころ」が全国に、
否!全世界に広がることを強く願ったという。

なぜ!
彼は「童話のこころ」を基調とした
児童文化、青少年の教育に力を注いだのか?


その久留島先生の生誕の地
大分県玖珠町での顕彰記念式典は
2010年6月27日。
彼の50回目の命日の日に行われた。

シンポジウムへの登壇者は4人。

一人目は、総合司会の「後藤惣一」先生。
「久留島武彦資料集(全4巻)」の編集者をされた元大分大学教授。

二人目は、全国童話人協会会長の「樫葉和英」先生。

三人目は、植民地時代の朝鮮半島での久留島武彦氏の活動を調査研究し
日韓の児童文化の架け橋となった「キム・ソンヨン(金成妍)」女史。

そして、四人目が地域に根ざした青少年主体の活動に対して
2002年に「久留島武彦文化賞」受賞した僕!「平田大一」

それぞれが、それぞれの立場で久留島先生への想いを語る。
一番、印象に残ったのが「金女史」の発表だった。

植民地時代の朝鮮半島での公用語は「日本語」。
家庭博覧会なるイベントの視察で
朝鮮半島を訪れた久留島先生に気がついた来場客によって
先生を取り囲んでの即席演台が用意され
そこで久留島先生の飛び入り口演会が開催された。

金女史が紹介したのはそのときの模様を報道した
朝鮮半島の新聞記事と掲載された写真!
小さな台の上にぽつん…と一人立つ久留島先生の姿を
何重にも、何重にも取り囲んだ人、また人の波が
幾重にも幾重にも折り重なった状態で燃え上がっているような
情熱的な光景にまず圧倒された。

口演童話の特徴はあくまでもマイクや拡声器を用いず
肉声のみで発せられるというから驚きだ。

そして極め付けが2枚目の記事と写真。
朝鮮半島の子ども達のアップの顔写真だが
大きく目を見開き、何か大きな口で「うわー!すげー!!」
とでも、聞こえてきそうな勢いのある写真。
その何かにビックリしたような表情は
日本人の子ども達と同じ好奇心に
わくわくした見事な表情をしている。

なんと1枚目の記事の写真に写っている人の数は
約2000人以上。
また、朝鮮半島に滞在中は
毎日こういう口演活動を行い
請われれば小さな会場でも積極的に行ったという。


金女史は言う。
「朝鮮半島の児童教育の未熟さと
自国の文化を軽視する傾向性を指摘して
『ゆえに、植民地にならざるを得なかったのである』
と、彼は結論づけ、報告書に記しております。
今日、彼の成しえた最も偉大なる偉業は
国づくりの根幹をも担う重要な役割として
児童文化・教育の醸成とシステム作りが必要不可欠であり
そのために新たな挑戦を次々と手がけてきたことにあります。」

なぜ!
彼は「童話のこころ」を基調とした
児童文化、青少年の教育に力を注いだのか?

それはおそらく未来の国づくりへの
大事な宝モノが何であるか
彼は熟知していたからだと僕は思う。

亡くなるまでの86年間、
主要な国々を踏破され世界中を歩き
口演童話というカタチで子ども達の心に
感動の灯をともしていった久留島武彦先生。

「私は、子どもの膝の前の友達でありたい」
「私は種をまく人で、終始したかった」

その彼の偽らざる心情に
僕の想いも交差して
不覚にも涙があふれる。

子どもの心の声に耳を傾けると…

「自信の無い大人」の不条理に
振り回され悲鳴を上げる
現代社会の子ども達の
悲痛な叫びのような声が
今日もまた、僕の胸に突き刺さるからだ…。

大人って何だろう。
本当の「大人」とは何だろう?

その答えを、僕は久留島先生の言葉の中から感じ取る。

                (南島詩人/平田大一)
Photo_KUWA
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Profile
平田大一(ひらた・だいいち)
南島詩人・演出家・那覇市芸術監督
1968年11月7日沖縄県竹富町小浜(こはま)島生まれ。

進学先の東京で、アートユニット「I・N・U」に参加、自作の詩を朗読する舞台活動を開始。卒業後は生まれ島「小浜」に戻り、アーティストへの楽曲・詩の提供、実家の民宿を拠点に「キビ刈り援農塾」をスタートさせるなど、地域と文化に根ざした幅広い活動を行う。
2000年から与勝地域の子供達による現代版組踊『肝高の阿麻和利』の演出を手がける。
2005年3月に勝連町・きむたかホール館長を卒業、4月11日に有限責任中間法人TAO Factoryを立ち上げ、代表理事に就任。同年、那覇市芸術監督に就任。
うるま市、浦添市、八重山、金武町、那覇市、5つの地域の子供たちのための舞台を手がけるほか、毎年、新作舞台を精力的に制作。沖縄県内はもとより、県外、国外にも支持者を増やしている。
代表作に現代版組踊『肝高の阿麻和利』、現代版組踊『大航海レキオス』など多数。著書は詩集『南島詩人』、『歩く詩人』(冨多喜創)、写真詩集『シマとの対話【琉球メッセージ】』ほか。

・平田大一ブログ『シマとの対話』:
http://hiratadaiichi.ti-da.net/


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Posted by ryuQ編集室 at 2010年07月20日   09:00
Comments( 0 ) 南島詩人・平田大一『シマとの対話』
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