大工哲弘・唄者生活40周年記念リサイタル『ゆんたしょーら6』
「こんどの『ゆんたしょーら』は“はじまり”である。自分にとって“音楽元年”だと位置づけてもいいと思っている」
開催直前にryuQインタビューでご紹介した際、このように語ってくださった大工哲弘さんの5年に一度のリサイタル『ゆんたしょーらpart6』が12/6(日)に那覇市民会館で行われました。
また“音楽元年”についての意味ですが、前回の5回目までは市の職員をしていたためで、今回は退職後はじめてのリサイタルということの意味だということなのだそうです。
八重山の言葉で“ゆんた”は労働歌のことを指しますが、“ゆんたしょーら”は“歌を唄いましょう”という意味。ステージでは合唱、独唱、ゆんたメドレー、大和流行歌(ジンタ)に八重山舞踊というバラエティー豊富な演目が繰り広げられました。
首里・若狭それぞれの公民館で学ぶ三線サークルの県内のお弟子さんと、全国の各支部から集まった「大工哲弘八重山うた会」のお弟子さんを含め、総勢約100名がステージに上がり、公演は第一部・第二部の二部の構成。幕開けは「赤馬節・しゅうら節」、「鷲の鳥・目出度節」を全員で披露。続いて「鳩間節」「下原節(そんばれーぶし)」など、屋嘉部充さんの笛、西表高康さんの太鼓と、良きパートナーでもある奥さんの苗子さんが奏でる箏曲と夫婦で唄う「安里屋節」も含め、八重山で歌い継がれてきた唄を7曲、たっぷりと独唱で聴くことができました。
ステージではアナウンサーでプロデューサーでもある上原直彦さんが司会として登場。歌と歌の合間でトークを交えながらリードし、観客を飽きさせない絶妙なトークで会場を賑わせていました。さらに苗子さんへの突っ込みも忘れません。しかし突っ込みをされても微動だにしない苗子さんの姿がさらに笑いを誘います。(苗子さんはステージにはかかせない存在です)
ちなみに『ゆんたしょーら』というタイトルは、上原直彦さんの命名だそうです。
第二部の前半は、前日にカフェ・ユニゾンで映像と音のトークショーを見せてくれたワールドミュージックの伝道師・久保田麻琴さんをギターに、キーボードにロケット・マツさん、そしてブラジルパーカッションに服部正美さんを迎え、バンドスタイルで“ジンタ”と呼ばれる大和流行歌が披露されました。
大工哲弘さんはピンクと白のかりゆしウェア、苗子さんは明るいマゼンタピンクの着物でステージを華やかに踊ります。大工さんの祖父がよく歌っていたという思い出の曲や、『憧れのハワイ航路』『さよなら港』。そして『望郷哀歌』のあとに、カラオケが準備され『望郷酒場』までもサービス!(こちらは上原直彦さんの巧みなリードによるもの)
八重山民謡の伝道者でありながら、自身がいろんなジャンルのミュージシャンとセッションしたCDなどでも聴くことができる大和歌が会場に流れると、往年の流行歌に口ずさむお客さんも多くいらっしゃいました。
中盤では、今年のとぅばらーま大会で優勝した伊藤幸太さんをはじめお弟子さんたちの独唱『月ぬ美しゃ』『与那国ションカネー』の2曲が演奏されました。緞帳が上がると再びステージの上に全員が揃い、タイトルにもある“ゆんた”がスタートです。
揃いのバサーを着けて全員が座り、三線を持たずにアカペラで『ゆんたしょーら〜とぅんぎゃーら〜猫ゆんた〜月出ぬはなむぬ〜安里屋ゆんた〜新安里屋ゆんた』をメドレーで歌いました。
“ゆんた”は作業をしながら歌っていたものと言われていますが、師匠を中心に全員の息がぴたりと合い手拍子・掛け合いで歌う姿は、心から八重山の歌を愛し門下生である喜びが溢れた温かい時間と空間を感じました。「先生からこういった“ゆんた”の歌詞を習えたのは本当に素晴らしく嬉しい体験でした」と終了後にお弟子さんの一人が語ってくれました。
舞踊を3曲挟み、最後は舞台の袖から再び洋楽器を交え『とぅばらーま』『くいちゃ踊り』、そして故・高田渡の『生活の柄』を唄いました。『生活の柄』は、山之内獏の詩で昭和の時代を感じさせる名曲です。
大工哲弘さんは八重山の民謡を中心としながらも往年の流行歌も唄い、さまざまなミュージシャンと時代時代の音楽を奏でてきました。今回は歳も同じだという久保田麻琴さんを交えてのセッションということで、二人の今後の展開も楽しみなステージとなりました。
終了後、リサイタルを観に来ていた女性に声をかけて感想を伺うと「八重山の歌会はいつも期待しているんです。大工さんが歌う素朴さが好きなんです」と語ってくれました。
楽屋を訪ねるとご本人からは「評価は皆がしてくれるから。僕はただもう一生懸命やったと思っています。久保田麻琴さんとも一緒に出来たことは光栄でした」というコメントを頂くことができました。
本土から参加したお弟子さんにもお二人ほど感想を伺いました。
[写真右] 高橋淳一郎さん(北海道・帯広)
「北海道から参加なんですが、力の限りやりましたが、あっと言う間でした。本当に良い経験でした。また5年後に向けて頑張りたいと思います」。
[写真左] 小西浩さん(大阪)
「今回で2回目の参加なのですが、毎回来るたびに舞台がスケールアップして楽しいです。観ているお客さんも楽しいと思うんですけど、参加しているものも凄く楽しくて、今後の歌の励みになります」。
最後に、司会のほかステージで自らも唄三線を1曲披露した上原直彦さんからは、
「20代には20代の、30代には30代の唄者として満足させることなく激励を贈り続けてきたわけです。5年後には5年後の出来映えを見せてくれるでしょう。表現というのは今日この日一度限りのものですから、まずは自分が歌って楽しむということ。そしてそれが共有して皆で楽しめる事が大切」とコメントを下さいました。
大工哲弘さんを中心に全国のお弟子さんの温かい歌声に包まれ、早くも5年後が待ち遠しい気持ちでそれぞれ帰路についた『ゆんたしょーらpart6』のリサイタルとなりました。
(文: NAYUTA、写真: KUWA)
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