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燃えよ!!ドラゴンフルーツ(by.嘉手川学)

燃えよ!!ドラゴンフルーツ(by.嘉手川学)
今年の旧盆は新暦の9月1日がウンケー(お迎え)で3日がウークイ(お送り)になっている。
9月に入って旧盆がくる場合、だいたい旧盆より前の月にユンジチがある場合が多い。

燃えよ!!ドラゴンフルーツ(by.嘉手川学)本土の人はもちろん、ウチナーンチュの中にも「ユンジチ」って何?と思う人はいるかもしれない。でも、沖縄の人ならテレビやラジオで「今年はユンジチです。仏壇仏具のお買い求めはお早めに。○○漆器店へ」とか聞いたことはあると思うし、識名霊園や各地域の墓地公園の周辺には「今年はユンジチ。お墓購入のご相談に応じます。○○墓工事」といった内容のビラ看板が電信柱に貼られているのを見たことはあると思う。

ユンジチというのは閏月のウチナーグチ。閏月とは旧暦で同じ月が2度続くことである。何故、同じ月が繰り返されるのかというと、旧暦ではひと月はだいたい29日か30日で、1年だと354日になる。それだと新暦の365日に11日足りないことになり、そのまま旧暦を続けてしまえば、月と季節がずれてしまうので19年に7回の割合で閏月が設けられている。

19年に7回というと分かりにくいので、だいたい33ヶ月に1回の割合で閏月は来ると思えばいいが、不思議なことに閏月のある旧暦も季節との関係が見事にマッチしているのである。そういえば、今年もユンジチのある年で旧暦の5月が2回あった。だから、6月28日に平年より5日ほど遅い梅雨が開けても、閏月の旧暦5月だったため、眩暈を誘う灼熱の暑さにはならなかったのである。

ちなみに、ユンジチは何月になるか決まっておらず、8月に閏月のある年は不思議と夏がいつまでも終わらず、2月にあると冬は例年以上に寒く長く続く傾向にある。だから旧暦と季節は関係は深いと思う。

ところで、沖縄ではなぜユンジチに仏壇仏具やお墓を建てたりするのか。実は沖縄では神事や神様にまつわることを行うのにはいろいろしきたりがあって何かとうるさい。例えば家長が丑年なら丑年にはお墓を作れないとか、お墓尾引っ越したりお位牌の引越しとか何かと神様にお願いしたり、カミンチュと相談しなければならないのだけれど、ユンジチの月は、実は神様が管理していない月でもあり、神様が管理していないから知らないうちにお墓や位牌を新しくするのである。ユンジチが終わり月に変わってお墓が新しくなっても、神様は自分が知らない間にできたものに関しては、気にしないというか天罰の対象ではないので、だからユンジチに墓売りや仏具屋は必死にユンジチをアピールするのである。

燃えよ!!ドラゴンフルーツ(by.嘉手川学)で、今回の食べ物である。ユンジチの話でだいぶスペース使ってしまったが、今回紹介するのはユンジチとはまったく関係ないドラゴンフルーツ。なんでドラゴンフルーツかというと、うちの近所にドラゴンフルーツを庭で栽培している家があり、庭から伸びた枝?茎?が塀を伝いそこからいくつかの実が道路に向かって伸びており、それが大きくなるのを楽しみにしているからである。

5月のこのコーナーでアセロラの話で、道路にせり出した枝からアセロラ勝手に採って食べたと書いていたが、さすがにドラゴンフルーツは勝手に採るわけにはいかないので、その家の人にお願いをして、実が赤くなったら貰う約束をしたのである。ちなみにドラゴンフルーツの花は月下美人のような肉厚の花で、夜に甘い芳香を放ち咲き誇る。やがて花がしおれるとガクのほうが膨らみだし、日に日に大きくなっていく。それを毎日見ていてまだ青いドラゴンフルーツのその写真を撮っていたら、それを見たその家の人が「ドラゴンフルーツがたくさんできているから、熟したらあげるさーね」といったので、ボクは喜んで遠慮もせずに「貰う貰う。ありがとうございます」といった。
燃えよ!!ドラゴンフルーツ(by.嘉手川学)
ボクはふだんからこの家の人とあいさつを交わしたり、世間話をしていたのでので、ドラゴンフルーツが赤くなるのを心待ちしていた。

ところで、ドラゴンフルーツが沖縄で栽培されるようになったのはそれほど古い話しではない。ボクの記憶する限り沖縄でドラゴンフルーツを本格的に営業栽培したのは旧東風平町、現八重瀬町にある松永農園だと思う。ボクが始めて松永農園を取材したのが今から12年前。当時、いろいろな熱帯果実を栽培している農園の取材だったが、その時はまだドラゴンフルーツは栽培していなかった。当時、公設市場周辺の熱帯果実を売る店には輸入した熱帯果実でドラゴンフルーツの仲間の「ピタヤ」というのが1個1,000円近くで売られていたのを覚えている。

それから何年かして、公設市場周辺でドラゴンフルーツが出回ったころ、ドラゴンフルーツを栽培してるということで、松永農園を再び訪ねたのである。農園の代表の松永さんは台湾でドラゴンフルーツが人気名のを知り、沖縄でも栽培できると思いいろいろ調査研究をして台湾から苗を取り寄せ、ドラゴンフルーツを販売するようになったといった。

ドラゴンフルーツはサボテン科の植物で、果肉は濃い赤紫の色をしているものと、透明感のある白乳色にゴマのような種がちりばめられている2つの種類がある。味も赤紫と白とでは若干変わる。白いのはほのかな酸味と微かな甘みがあってややサッパリ系とした味わい、赤紫のほうは白の比べて甘みが強く、爽やかな酸味がある。どちらもサッパリとした味わいで、食感は寒天に食物繊維を加えた感じというか、スイカのシャリシャリ感を多少減らし少しネットリ感を加えた感じというか、そのままでも美味しいが細かくカットしてアイスクリームに混ぜ込んでも美味い。栄養素としては食物繊維、アントシアン、ブドウ糖、リン酸、ポリフェノール、食物繊維、カロチン、カルシウム、鉄、ビタミンC やビタミンB1・B2・B3などが豊富に含まれている。

燃えよ!!ドラゴンフルーツ(by.嘉手川学)
で、さっそくおすそ分けにもらったドラゴンフルーツをカットしたら中は白。ゴマのような小さな種粒が散らばっている。暑い夏の昼、炎天下で溶けそうなくらいグニャグニャになったとき、冷蔵庫に入れたドラゴンフルーツを食べると意外とシャキッとなる。今年の夏は例年以上に暑いので、このドラゴンフルーツの味わいと栄養素が暑さに負けた体を元気にさせてくれるそうな気がする。

ましてや今回、ご近所さんから貰ったドラゴンフルーツなので、美味しさはひとしおである。ドラゴンフルーツだけに……。
ウーン、えー、特に深い落ちが浮かばないので今回はここまで。

嘉手川 学の『ryuQ100味』バックナンバー:
http://ryuq100.ti-da.net/c73393.html

燃えよ!!ドラゴンフルーツ(by.嘉手川学)
筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。共著で『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売中。


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Posted by ryuQ編集室 at 2009年08月17日   09:00
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