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小さな二人の大きなニライ社の巻(by.新城和博)

小さな二人の大きなニライ社の巻
相次いで大型店舗の書店がオープン先月那覇で相次いで大型店舗の書店がオープンした。元ダイエー跡に沖縄初進出のジュンク堂那覇店と、沖縄にやって来て20年以上たち県内各地に店舗をもつ宮脇書店のとまりん本店である。それぞれ沖縄・郷土本コーナーのスペースもたっぷりとっているので、沖縄県産本版元も4月は大量納品ラッシュだった。新規開店で、しかもこれまで経験したことない大型店舗だったので、各版元とも本を搬入するのはひと仕事だったのだ。県産本版元の殆どは書店との直取引なので、自分たちで搬入するのだが、このくらい規模が大きいと段ボール箱につめて、台車に乗せて、よっこらしょなのである。

宮脇書店とまりん本店は、とまりんの3階のフロアー全部と二階の一角が店舗で、特に2階は「沖縄郷土図書センター」として、沖縄県産本を中心に置かれている。版元ごとに並べられていて、現在の沖縄版元勢力図が垣間見られる配置になっている(気がする)。離島と那覇を結ぶ船が行き交う港の風を味わいつつ、選んだ沖縄本を片手に、一階のウッドデッキにあるコーヒースタンドで一服するというのは、ちょっと乙なものである。新しい那覇の読書スタイルとして提案しておきましょう。

小さな二人の大きなニライ社の巻(by.新城和博)話はまったく飛ぶが、今回ご紹介したいのは、ニライ社である。
1985年6月に設立された沖縄を代表する版元で、86年刊行の『私のひめゆり戦記』(宮良ルリ)からつづく沖縄戦に関する書籍、87年に出した『青い目が見た大琉球』(ラブ・オーシェリ/上原正稔 編著)、89年から刊行を開始した、写真家・比嘉康雄氏のライフワークともいえるシリーズ『神々の古層(1)〜(12)』などの厚みのある企画、そして仲程昌徳、船越義彰、大城立祐氏らの沖縄の文学者たちの作品など、沖縄県産本の正道を歩むような書籍をじっくりと出してきた出版社である。沖縄出版界の良心、と言って差し支えない良質の本が並んでいる。(これは余談だが、沖縄県産本のアナザー・サイドともいえる沖縄独特の「トンデモ本」を出していない、ということも指摘しておきたい)「ニライ」とは、もちろん「ニライカナイ」からきている。

小さな二人の大きなニライ社の巻(by.新城和博)現在は、創設者の島袋捷子さんと娘さんとのお二人で、編集・営業を切り盛りしている。点数を多く出すのではなく、歩みはゆるやかでもかっちりと芯の通った沖縄本を出版しつづけている。

先日の大型書店でも、たくさんの本を台車に乗せてえっちらほっちりとお二人で運んでいるのを見て、県産本版元の某ボーダーインク女性社員たちが思わず手助けにいったという。荷物に隠れて台車を押している本人たちの姿が見えなかったらしい。

小さな二人の大きなニライ社の巻(by.新城和博)僕が印象に残るニライ社の本といえば、やはり『青い目が見た大琉球』だったりするのだが、最近お世話になっている一冊といえば『初心者のための琉歌入門』(石川盛亀著)である。1998年に初版が出ている。もとより琉歌を詠むという趣味などない僕だが、入門編というだけあってわかりやすい内容で、知らなかったうちなーぐちの言い回しにうなったりするのが楽しくて、時折ぱらぱらめくっているのだ。530ページもする厚みもまたよし。

特徴としては、きわめて実践的ということで、「第三章 琉歌の作り方」では、まず「まねること」としている。〈琉歌をまねして、後は自分なりの発想を考えて臆することなく、まずくても良いから自分のものを作ってみるということである〉。

「第五章 琉歌基礎用語の解説」が、この本のハイライトと言っていいだろう。まさに初心者の人のための使える「琉単」である。五十音順に基礎用語を紹介している。
小さな二人の大きなニライ社の巻(by.新城和博)
「【あ】の部」だと、例えば〈あかがり(アカガイ)名詞 あかり。燈火。明るい所、明るみ、クラシン(暗い)の対〉という感じ。そして作品を挙げて使い方の実例を示している。「あがきよらさ」「あがた」「あがと」「あかぬ縁」………【あ】の部をただ続けて見ていても、ふんわりと琉歌の世界が浮かびあがってくるようだ。

新城和博の『ryuQ100冊』バックナンバー:
http://ryuq100.ti-da.net/c73391.html

小さな二人の大きなニライ社の巻(by.新城和博)
プロフィール:新城和博(しんじょうかずひろ)
沖縄県産本編集者。1963年生まれ、那覇出身。編集者として沖縄の出版社ボーダーインクに勤務しつつ、沖縄関係のコラムをもろもろ執筆。著者に「うっちん党宣言」「道ゆらり」(ボーダーインク刊)など。
ボーダーインクHP:http://www.borderink.com/

タグ :沖縄

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Posted by ryuQ編集室 at 2009年05月04日   09:00
Comments( 0 ) 琉球百科シリーズ
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