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精霊キジムナーが宿る樹『がじゅまる』写真展

精霊キジムナーが宿る樹『がじゅまる』写真展
これまで1000本以上のガジュマルを撮り続けてきた写真家の小町剛廣さん。元々は人物写真を撮り続けてきた写真家がなぜガジュマルの木に惹かれたのか。
「沖縄に通いはじめてから25年以上経つけれど、当時は出会う人たちがみんなエネルギッシュで個性が強く、堂々としていて、時としてもの悲しくて、喜怒哀楽がもっと強かった印象がある。それから10年、20年と経って写真を撮ろうと思ったら、すっかり沖縄も当時とは変わってしまっていた…。
精霊キジムナーが宿る樹『がじゅまる』写真展当時感じたエネルギーと変わらないのは、カジュマルの木だけだった。だから、人物を撮っているようなつもりで木を撮っているのです。この木には不思議な生命力がありますからね…」と語り出した小町さん。そしてとても深い話へと展開。彼が、感じ・写し続けたガジュマルとは。写真集『がじゅまる』の写真展が開催されている玉泉洞・ガンガラーの谷のケイブカフェから、スペシャル・ロングインタビューをお届けします。

——なぜ、ガジュマルの木(樹)に惹かれているのでしょう?

写真家・小町剛廣:まず、一本一本に個性があり、外側から充分楽しめますね。
そしてカタチだけでは無く、この木は、内側から来るものがありますよね。

——ガジュマルの木から何かを感じていらっしゃるのですか?

小町剛廣:感じるというか、もろ、ストレートにもらっていますね。また時には、撮れない、撮らせてくれない場合もありますよ。
例えば、「これ以上、入って来ないで」とガジュマルのほうが言っていたり。
逆に、「今だ、早く撮れ!」と訴えてくるような、ほとんど人の声のようなものが感じられますね。
小町剛廣
——ガジュマルと対話しながら撮影されていらっしゃるのですね。
撮るときの心構えなどはありますか?


小町剛廣:そうですね、対話しながらですね。また、やはり聖なる木でもありますから、勝手に土足でズカズカ入っては行かず、まずは一礼はしますよね。そして向き合ってストレートに撮る。

それからガジュマルの樹木は大きいので、大きい被写体は大きく撮ったほうがいいので、大判カメラで4×5と大きめのフィルムで撮って、モノクロで大きくプリントしました。

——とても大きなプリントですが、この写真展ではどれくらいの大きさのプリントを展示されているのですか。

小町剛廣:最大のプリントで、左右110cmの20メートルのロール巻きを3枚つなげています。
玉泉洞の『ガンガラーの谷』にある県内最長クラスのガジュマルの木も写真に撮り、写真集はもちろんのこと、今回の写真展でも2枚ほど展示していますよ。

——ガジュマルからは、男性的なものを感じますか?それとも女性的なものを感じますか?

小町剛廣:どちらもモノ凄く感じることがありますね。見た目がゴツイのですべて男性的にも見えるんですが、なかには女性的な印象を感じるガジュマルもありますよ。

がじゅまる——それから、沖縄県内の小学校すべてにこのガジュマルの写真集を寄贈されたそうですね。

小町剛廣:280校ほどもある県内の小学校に、なぜガジュマルの写真集を配ろうと思ったのかというと、
“子供が木に登らない時代”と言われているんですよね。
逆に言えば“登らせてもらえない”、それは木登りが危ないからというちょっと過保護なイメージがあったりして。
沖縄の人に訊ねると、「昔はよくこの木に登ったよ」と話を聞くんですけど。今の沖縄の子たちはあまり登らなくなったようなんですよ。
ひょっとしたら木に登ることでかすり傷ができたりするかもしれないけど、そういう事も学びと思うんですよ。僕はもっともっと木に登ってほしいなと思って、唯一写真集の中では「こんな木に登ってみたいな」とイメージするのはせめてもの自由ですよね。
そういう意味を込めて、この木の事を知ったら、親しみを持って登ってもらえるんじゃないかなと思って。1000本以上の木を撮ったうち、118点を厳選して写真集にしました。
がじゅまる
——この写真集を通して、皆さんに伝えたい事とは?

小町剛廣:写真集の一番後ろのほうに何気に書いた、“Let's enjoy the Climb tree.”ですね。
大人も子供もどんどん木に登ろうよ。触れ合おうよ、と。
よく、木の下には癒しがあるとか、マイナスイオンが流れているとか言うけれど、大人になってからも木に登るとめちゃくちゃ気持ちいいんですよね。10分もあれば身体の氣が浄化されますよ。

——木に触れるといい氣を頂けるともいいますものね。

小町剛廣:木に登るということはその木の全体に包まれている状態になるというか。例えば、とてもイライラしている状態で木に登ってみると、一瞬で氣が収まったりしますからね。

今、世の中で、いろんな悲しい事件とか、訳が分からない事件とかが増えてきているんですけど、木に登ったりとか、人が自然と触れることで、そういう変な事も少なくなってくるんじゃないだろうかと思うんです。

——自然との触れ合いが昔と比べて少なくなっている自体が、自然(地球)の一員である人間らしさが無くなってきているんじゃないだろうかと。

小町剛廣:もうひとつ言いたいのは、だからと言って、自分が調子悪い時だけ、木からエネルギーをもらおうなんて思ったりするんですけど、木のほうも大変じゃないですか。

——本当は、氣を“交換”のほうがいいですよね。

小町剛廣:そう、お互いフィフティー・フィフティーで。木だって弱っている時もありますから。
だからたまには声を掛けてあげたりとか、触れてあげたりとか。すると、木も返して来てくれるんです。
だから、“人と木の共生”というか、そういうのが大切だなって思っています。

——そういう事に気が付き始めたのはいつ頃なのでしょう?

小町剛廣:ガジュマルの木を撮影しはじめてから、そういう事に気が付き始めました。ただ木が生えているんじゃなくて、もの凄く生命力のある生き物だということに。

それを写真集にも書いた言葉にすると「生命を越えたまだ見ぬ未知なるもの」というか。そういうところが魅力ですね。

写真集『がじゅまる』(撮影: 小町剛廣、言葉: 名嘉睦稔、大城美佐子、佐渡山豊)
※写真展は、おきなわワールド玉泉洞向かいのガンガラーの谷・ケイブカフェにて。3月20日(金)〜5月10日(日)まで(入場無料です)。
精霊キジムナーが宿る樹『がじゅまる』写真展会場までの地図はコチラ
(住所:南城市玉城字前川202番地)

(取材: 桑村ヒロシ、取材協力: おきなわワールド玉泉洞、青山通り出版)


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Posted by ryuQ編集室 at 2009年03月25日   09:00
Comments( 0 ) 写真でみる沖縄
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