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南島詩人・平田大一:シマとの対話・第53話『可能性にかけて』

第53話『可能性にかけて』(南島詩人・平田大一)
〜沖縄の過去と未来について考えるとき、僕はシマと対話する。シマとは、僕にとって老賢者のような存在〜『シマとの対話』第53話・可能性にかけて。

南島詩人・演出家として活躍する平田大一。県内外を縦横無尽に走り抜け、骨太な活動を続ける日々の中で、思索の森を歩き、刻む、真実の言葉たち。
(毎週水曜日更新)
南島詩人・平田大一:シマとの対話・第53話『可能性にかけて』
「演劇」と
「行政」と
「子ども」。

以前まで、
僕が嫌いで苦手だったモノ
ベストスリー!

まだ若かった頃、
ミュージカル舞台で主役に抜擢された僕は
一人舞台の癖が抜け切れずスタンドプレイ続出
当時の演出家といつも対立していた。
「平田!お前は、生意気だ。役者には向かん!」
「(カチンッ)僕も、そう思います。」
「お前みたいな、生意気なヤツは、演出家になるしかないぞ!」
「え?…演出家?」
自分の舞台同様に演技プランを次々提案する僕に
その演出家はこう言い放った。
「10年もやれば、お前だって一人前にはなるだろうよ。」
そのもの言いが悔しかった僕は
「自分が観たい舞台は自分で作るしかない。う〜ッ、やってやる!」
かくして嫌いだった「演出家 平田大一」への種が蒔かれた。

僕がまだ小浜島にいた頃。
島の青年会による海外派遣の重要性を説くため
予算確保の為に町役場に出向いた時のこと。
グルグル、課から課へまわされながらも、
ようやく辿りついた、担当さん。
「前例がないから無理。」
「予算と計画性が無いから無理。」
何よりも
「まず、企画書を出してよ。事業計画書と予算書とそれから
 鏡文もちゃんと付けてね。」
恥ずかしながら大学で
「企画書や事業計画書」の書き方なんて
教えられてこなかった。
「え?企画書?あの、鏡文?って、なに…ですか?」
恐る恐る聞く僕に上から目線で一言
「これ、いらなくなった某企画書だから、これで勉強して。」
この経験は僕にとっては結構、嫌なことだったらしく
「行政嫌い」のきっかけになった。

精神年齢が元々近い僕は
その反動で良い大人ぶって子どもと遊ぶうちに真剣になり
そのうち軽く裏切られたり振り回されたりして
嫌気がさしていた。
僕の顔を見ては「うんこ!」と叫び走って逃げる子ども達。
その言動に腹を立て追いかける僕。
「大人に向かって『うんこ』って、何事だ!おい!!」
でも、ある日気がついた。
僕に向かって「うんこ」と叫んだ後の彼らの顔は
何とも嬉しそう、いや、むしろ、その目が可愛く笑っている。
僕は、気がついた。
彼らの「うんこ」という言葉は、愛情表現の裏返しなんだと。
そう思ったら、気が楽になった。
やたら、子どもが可愛くなった。
等身大の自分で良くなったら、相手をしてくれる子ども達も
優しい対応になって、汚い言葉をかけなくなった。


嫌いな「演出家」のシゴトを受ける時、
僕は自分がやられて
嫌だったことは絶対にしないと決めた。
演出家におんぶに抱っこでなく、
自分の演出プランを演出家に投げる
雰囲気をつくることに気を遣った。

嫌いな「行政」とシゴトをすることになり
「公共文化施設の館長」に就任した時
僕は、自分の苦い経験から
「僕が、地域と文化行政をキチンと結ぶジョイント役になろう」
と決めた。
あんな、嫌な思いは地域の可能性の芽を
摘んでしまうかもしれない。

子どもの舞台を作ることになった時
子ども達の本心をキチンと解ってあげられる
一人の大人になろうと思ったのは
あの「うんち!」と叫んだ子のお陰である。

僕は思う。
可能性って実は「苦手意識」があるところにあるのかも。
だから僕は、今日も歩き続ける。

僕の恩師はこう言った。
「もしも岐路に立ったなら、棘の道を選びなさい。」

40歳を目前にした僕の前に
新たな道の「道標」がある。

そこには「初心」と
書かれている。

南島詩人・平田大一
南島詩人・平田大一:シマとの対話・第53話『可能性にかけて』
Profile
平田大一(ひらた・だいいち)
南島詩人・演出家・那覇市芸術監督
1968年11月7日沖縄県竹富町小浜(こはま)島生まれ。

進学先の東京で、アートユニット「I・N・U」に参加、自作の詩を朗読する舞台活動を開始。卒業後は生まれ島「小浜」に戻り、アーティストへの楽曲・詩の提供、実家の民宿を拠点に「キビ刈り援農塾」をスタートさせるなど、地域と文化に根ざした幅広い活動を行う。
2000年から与勝地域の子供達による現代版組踊『肝高の阿麻和利』の演出を手がける。
2005年3月に勝連町・きむたかホール館長を卒業、4月11日に有限責任中間法人TAO Factoryを立ち上げ、代表理事に就任。同年、那覇市芸術監督に就任。
うるま市、浦添市、八重山、金武町、那覇市、5つの地域の子供たちのための舞台を手がけるほか、毎年、新作舞台を精力的に制作。沖縄県内はもとより、県外、国外にも支持者を増やしている。
代表作に現代版組踊『肝高の阿麻和利』、現代版組踊『大航海レキオス』など多数。著書は詩集『南島詩人』、『歩く詩人』(冨多喜創)。

・平田大一ブログ『シマとの対話』:
http://hiratadaiichi.ti-da.net/


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Posted by ryuQ編集室 at 2008年11月05日   09:00
Comments( 1 ) 南島詩人・平田大一『シマとの対話』
この記事へのコメント
平田さん。新垣です。うんこです。いやうこんです。

勉強になり、また楽しくなり、初心と言う言葉を思い出しました。

ありがとうございました★♪
Posted by うこんうこん at 2008年11月05日 16:16
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