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「シマナーからチキナーへ変身を遂げる野菜の旨さ」(嘉手川学)

「シマナーからチキナーへ変身を遂げる野菜の旨さ」(嘉手川学)
 この夏、夏の甲子園とオリンピックで燃え尽きてしまったボクであったが、沖縄の気候もオリンピックが終わってしばらくすると、真夏の灼熱を少しずつ削るように朝晩の熱気は平常心を取り戻し、昼間の熱風の中に少しだけ秋風が感じられるようになった。そして旧暦7月30日の早朝の空気には、明らかに秋の風が溶け込んでいた。まだ9月だというのに、沖縄は例年に比べて早くも秋の気配が感じられるのである。

 ところで、9月(旧暦8月)の年中行事といえば旧暦八月十五夜。トートーメーにフチャギを供えて、名月を眺めつつフチャギをほお張るのだが、去年もフチャギのことを書いているので今回は沖縄の野菜の話しである。

 夏も終わりゴーヤーやナーベーラーが幅を利かせていた八百屋の店頭にはそろそろ葉物の野菜を並び始めている。沖縄は一年中葉野菜が取れる地域だけど、それでも真夏のピーク時にはあまりのも暑すぎて、葉野菜が萎びてしまうので、ウンチェーバーやカンダバーなど暑さに強い2〜3種類のウチナー産葉野菜しか店頭に並ばず、暑さがやわらぐ頃になってやっと豊富に出回るのである。

 で、今回紹介するのがシマナーである。漢字で書くと島菜。文字でもわかるように沖縄では特産品に「島」をつけるのは特別な存在である。いわく「島豆腐」「島ラッキョウ」「島ニンジン」「島バナナ」「島米」「島マース」「島酒」「島唄」「島ゾーリ」「島倉千代子」と、BEGINがうたっている「オジー自慢のオリオンビール」の歌詞にもある通り、ウチナーンチュは「島」が着くのが大好きで、特別な思いをもっている(島倉千代子は別だけど)。

 そんな中のシマナーである。「島」とつくからにはさぞアッチコッチの料理に顔を出し、大活躍をしている野菜と思うかもしれないけれど、実はこの野菜、食べ方としてはツナと一緒に炒めたり味噌汁の実にするくらいであまり活躍はしていない。が、しかし、シマナーを塩漬けにするとチキナー(漬け菜)と名前が変わり、風味もよくなりそのままでももちろん食べられるのだが、島豆腐やツナと一緒に炒めたチキナーチャンプルーにすると、超美味しくなりご飯が何杯でも食べられるのである。
「シマナーからチキナーへ変身を遂げる野菜の旨さ」(嘉手川学)
 ちなみにシマナーとはアブラナ科の植物で、和名は高菜とかからし菜と呼ばれている。本土のからし菜に比べて辛味は弱いが、シマナーのすごいところはチキナーにすることで味と香りが深くなり独特な風味が生まれ、また、適量の塩で辛味と塩気とのバランスも絶妙になり、炒めることでさらに風味が増し食欲中枢を刺激してご飯を何杯もお代わりさせるのである。チキナーチャンプルーには豆腐と豚肉(ポークやコンビーフハッシュ)を使うときもあるが、ボクは何よりもツナが一番合うと思っている。ツナの旨味はあるが素材の風味を活かした味わいが何よりも、辛味と香りのあるチキナーの個性が引き立つからだ。もちろん豚肉やコンビーフハッシュも美味しいけれど、チキナーの風味を考えるとやっぱりツナが一番である。蛇足だが沖縄ではツナ缶のことをツナといわずに「トゥーナァ」という。だから気のせいかもしれないけれど、ボク的にはチキナーチャンプルーに合うのは島豆腐とトゥーナァだといいたい。トゥーナァ入りのチキナーチャンプルーは、ゴーヤーチャンプルーやマーミナチャンプルーに負けず劣らず、沖縄チャンプルー界のチャンプでもある。

 ところで、沖縄チャンプルー界のチャンプのひとつでもあるチキナーチャンプルーであるが、シマナーからチキナーにするひと手間がかかるせいか、居酒屋や食堂ではあまり見かけないけれど、沖縄市の「家庭料理の店よね」のチキナーチャンプルーは美味しかった。シーチキンではなくポークと一緒に炒めていたけれど、ベテランお母さんが作る味わいはさすがである。
「シマナーからチキナーへ変身を遂げる野菜の旨さ」(嘉手川学)
 話しはまったく関係ないけれど、ボクの息子は那覇の識名小学校を卒業した。ボクはいつも小学校に行くたび「識名」と「チキナー」は語感が似ている思い、心の中で「チキナー小学校」と呼んでいたのであった。PTA会長にもかかわらず。

 そんなわけでシマナーを見つけたらチキナーを作り、チキナーチャンプルーを作って食べることをオススメします。(Byチキナー小学校元PTA会長)
●嘉手川 学の『ryuQ100味』バックナンバー:
http://ryuq100.ti-da.net/c73393.html

「シマナーからチキナーへ変身を遂げる野菜の旨さ」(嘉手川学)
筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。共著で『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売中。



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Posted by ryuQ編集室 at 2008年09月15日   09:00
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