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「バンシルー」食べて「万事を知る」、わきゃないか。(嘉手川学

「バンシルー」食べて「万事を知る」、わきゃないか。(嘉手川学
沖縄の夏は梅雨が明けて以降、イヤが上でも盛り上がり、サンサナー(クマゼミ)は朝から大合唱をして連日熱い一日の始まりを予感させている。今年は5月からずっと雨が少なかったせいか、例年に比べてクマゼミの大合唱が強く大きく長いような気がする。

特にうちのマンションの踊り場前にある木には大量のサンサナーが集合し、一斉に大合唱するものだからそう思えるのかもしれないが、そのうるささといえば「犬が吠えるくらい」に値する90デシベルをゆうに超えていると思える。たぶん。

そんな、サンサナーの大合唱を目覚まし代わりに起きている8月だけど、今月の大きな年中行事といえば旧暦7月13〜15日のお盆である。新暦だと8月13〜15日で今年はくしくも本土の月遅れのお盆と重なっている。ちなみに諸物価高騰で今年の夏休みのレジャーが「安近短」といわれているが、沖縄観光はまだまだ人気が衰えておらず旧盆の時期になれば観光客がウジャウジャいて沖縄中を徘徊しているであろう。そして夜ともなれば偶然目にした県内各地のエイサーを見学するであろう。旧盆の道じゅねーのエイサーは、街中や運動公園と見るエイサーと違い、あの世の人たちをグソー(冥界)へ送り出すための踊りでもある。エイサーに夢中になりすぎてあとをつけているうち、グソーの入り口付近で迷子になることもあるから気をつけたいものである。
「バンシルー」食べて「万事を知る」、わきゃないか。(嘉手川学
ところで食べ物の話である。沖縄では旧盆になるとクヮッチーを食べるが、旧盆のクヮッチーは去年の8月に書いたので、今月は沖縄の果物の話をしよう。

「バンシルー」食べて「万事を知る」、わきゃないか。(嘉手川学沖縄の果物といえばパイナップルやマンゴー、パパイヤを思い浮かべるかもしれないが、沖縄の一般ピーポーは観光客に比べそれらの果物をあまり食べない。パイナップルは旧盆が終わり、仏壇に供えられた場合に皮を剥いて一口大に切り砂糖で煮て食べることはあるが、何しろボクが子供のころは仏壇に飾られるパイナップルは完熟ではないので酸味が強く、生ではとても食べられなかったのである。最近では完熟パイナップルも出回るようになったが、それでも買うことはなく、たまにやんばる方面にドライブしたとき、道の駅やJAの青果売り場、沿道の特産品売り場などで安いときに買うことはあるが、パイナップルの生食は習慣付いていない。

それから県産マンゴー。沖縄のマンゴーは確かに美味しい。できればマンゴーを大量に買い込んで、食べる数時間前に冷蔵庫で冷やして食べたいと夢想するけれど、いかんせん県産マンゴーは庶民には高すぎて手が出せず、買ってまで食べないのである。ところで、マンゴーといえば…
沖縄でもついに産地偽装のマンゴーが通販で売られてしまったけれど、マンゴー産地偽装は沖縄県民の一人として申し訳なくてなおかつ怒りも覚え、さらにウチナーンチュとして恥ずかしく思う。偽装された宮古島のマンゴーはジューシーで甘さが上品でかつコクと深みがあり、香りもよくホントに美味しいので、みんなも被害者である本物の宮古島産マンゴーを悪く思わないでもらいたい。とはいっても、宮古産マンゴーは取材で数回しか食べたことがないけど…。とにかく沖縄の人は県産マンゴーは好きだが経済的理由で買ってまで食べないけれど、宮古島のマンゴーをとにかくよろしく。

それからパパヤー(パパイアのことね)。沖縄の人のとってパパヤーは果物ではなく、ずばり野菜である。スーパーや八百屋でごくフツーに青いパパヤー売られ、皮を剥いてシリシリーして売られているのもある。食べ方はパパヤーイリチーやンブシー、テビチ汁やソーキ汁の具する一般的な野菜といえる。今でも自宅の庭にパパヤーを植え、青い実を野菜として利用している人もいる。最近はフルーツパパイアというのが出回っているけれど、パパヤーを果物と意識して買う人はボクの周りにいない。

それでは沖縄の人は普段どんな果物を食べているかというとミカンやリンゴ、イチゴやスイカ、フィリピンや台湾、エクアドル産のバナナなどである。

「バンシルー」食べて「万事を知る」、わきゃないか。(嘉手川学
が、しかし、沖縄には庭やそこら辺の空き地に自生して、あまり大量に実が成りものだから、当たり前すぎて地元民に見向かれない果物が、バンシルーである。長い枕だったがやっと本題のバンシルーの話しである。バンシルーとは簡単に言えばグアバである。バンシルーは一本の木から大量に実がなるため、ほっとくと実がすぐの熟してボタボタと落ちてしまうため、よその家に庭にあるバンシルーでも家人に断れば簡単にもらえたりする。だから市場などでバンシルーが売られているのを見ると、売っている人が観光客を相手になんだかあこぎな商売をしているように思えてならないのである。

ボクが子どもころウチの庭にもバンシルーの木があり、夏になるとたわわに実り庭や通りにボタボタと熟した実が落ち、熟した実から鼻腔の奥にこびりつくようなムッとするほどの甘く酸っぱい香りがいつまでも漂っていた。今でもボクは眩暈を覚えるようなバンシルーの香りを嗅ぐと子供のころの記憶がよみがえり食べたくなるのである。

「バンシルー」食べて「万事を知る」、わきゃないか。(嘉手川学
ちなみにバンシルーとは和名をばんじろう、中国名は「蕃石榴」と書き読み方は「ふぁんしりゅう」という。子供のころは熟すとやわらかくなり果肉が甘くピンクになるものを水バンシルー、水分が少なく熟してもやわらかくならず甘みもなく果肉が白いままのものを石バンシルーと呼んだ。ところで、今年は開花の時期に雨が少なかったせいかアッチコッチでたわわに実をつけたバンシルーをやたらと目にする。これはあくまでも僕の個人的な意見だが、子供の頃からの経験として、サンサナーがうるさい夏はバンシルーが大豊作のような気がする。データや裏づけはまったくないが、沖縄では「デイゴの花が咲き誇った年は大きな台風が来る」という言い伝えと同じくらいボクは信じているけど。

今年はビタミンCや鉄分、カルシウムやポルフェノールをたっぷり含んだバンシルーをたくさん食べて、夏を元気に過ごしたいと思っている。

●嘉手川 学の『ryuQ100味』バックナンバー:
http://ryuq100.ti-da.net/c73393.html

「バンシルー」食べて「万事を知る」、わきゃないか。(嘉手川学
筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。共著で『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売中。



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Posted by ryuQ編集室 at 2008年08月18日   09:00
Comments( 1 ) 琉球百科シリーズ
この記事へのコメント
最近の子供は食べないそうですね。バンジルー
こんなに美味しいのに。
ビールとのおつまみにもあうし
上等です。
Posted by FT at 2008年08月18日 19:01
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