「島ラッキョウ食べて、ラッキーラッキー」(嘉手川学)
毎年この時期になると嬉しいことが、旬の島ラッキョウ(ウチナーグチではラッチョウという)が味わえることである。沖縄料理の店や居酒屋で薄塩に漬け込んだ美味しいラッチョウがでて、花鰹をかけて食べると泡盛が何杯でも飲めてしまうので、なんだか得した気分になり「ラッキー、ラッキョー、チェケラッチョウ!!」といってみたくなる。
島ラッキョウは本土のラッキョウに比べて球の大きさが小さく、球体にならずにスラリとスマート。香りは強く味が濃いので本土のように甘酢漬けにしないで、主に浅漬けにして、食べるときに鰹節を花鰹をふりかけ、ほんの少量の醤油をたらして食べるとメチャクチャに美味しくて、ビールはもちろん泡盛や焼酎、ウィスキーだって飲めてしまう。あ、でも、ワインには合わなかったけど日本酒はまあまあいけた(そこまで飲むか!)。
何よりもご飯にもよく合うことが島ラッキョウファンを増やしている。特に細かく刻んで花鰹と醤油をまぶしたものは、ご飯が何杯でもいけてしまう。旨い酒の肴はご飯にもよく合うといわれているだけあり、ご飯好きのボクのカアちゃん(女房のことね)はこれだけでご飯3膳は食べてしまう。ボクが他に美味しい夕食のおかずを準備しても、まず細かく刻んだ島ラッキョウでご飯を3杯食べた後、ボクの作った夕食に手をつける有様である。
島ラッキョウには体力の低下や風邪の引き始めに食べるとケッコウがよくなり体が温まり、疲労回復に効果があるといわれている。また、殺菌効果も高く味覚低下を改善する亜鉛を多く含み、食物繊維も豊富なので腸を整える作用もある。
島ラッキョウの主な食べ方としては、前述の薄塩の浅漬けがポピュラーだが、薄皮を取り除いた島ラッキョウを豆腐と一緒に炒める「ラッチョウチャンプルー」も美味しい。島ラッキョウに熱を加えることで、特有の香りが陰を潜め辛味は甘みに感じられるが、シャキッとした食感と豆腐とのバランスが食欲をかきたてる。さらに10年ほど前から居酒屋のメニューとして並ぶようになったのが、「島ラッキョウの天プラ」。
きっかけはオリオンビールのCMからだった。あの江守徹が「島ラッキョウの天プラ、塩が旨い」といいつつ、オリオンビールをングング、プハーッとやったもんだから、島ラッキョウの天プラの人気に火がついて一気に広まった。
それまでボクの周りには食べた人がまったくいなかったから、島ラッキョウの天プラは多くのウチナーンチュに衝撃を与えた一品だったといえる。島ラッキョウの球の部分がホッコリとして甘くなり、サクッと揚がった衣との食感が絶妙で塩味が全体の味を引き締めて、まさにオリオンビールの美味しさを引き出す最高のつまみの一つになった。ただ、当時は上手に天プラを揚げきれてない店も多く、ベチョッと油っぽい島ラッキョウの天プラは島ラッキョウ本来の美味しさを損なうものだった。
今では一時的なブームも去り島ラッキョウの天プラも定番料理になっているが、やっぱり美味しい島ラッキョウといえば薄塩でつけた島ラッキョウである。
今の時期はスーパーでも泥つきのものが売られているから、そのほうが新鮮で美味しい島ラッキョウの浅漬けができるから買うとよい。作り方はいたって簡単で、島ラッキョウ泥をきれいに洗い流し、薄皮を剥いで透明な真珠色の球が出てきたら、根の部分を切り落としたらOK。球がキュッキュッというまで洗って、水気を切ったら適当に塩を振りよくかき混ぜ、ザルに入れある程度水分を出しビニール袋にいれ冷蔵庫に一日寝かせれば完成。塩は適宜でかまわないが、余り多すぎるとしょっぱいので、最大でも島ラッキョウの重さの5%を目安にするといい。完成した島ラッキョウはそのままでも天プラ、チャンプルーにしても美味しい。
薄皮を剥いたり、根を切ったり時間はかかるし、薄皮を剥いたつもりが根のほうでは厚く剥けてあせったりして、意外と時間と手間がかかるけれど、自分で漬けた島ラッキョウは買ったものより愛着がある。だから、バクバク食べるのがもったいなく思え、ちょっとずつ食べてしまい、気がつくと浅漬けで食べていたはずが、いつの間にか古漬けになってしまうこともあると思う。まぁ、つけて二週間ぐらいまでは美味しく食べられるのも島ラッキョウの魅力でもある。
この夏は島ラッキョウの浅漬けとビールで一息ついたあと、「ラッチョウチャンプルー」や「島ラッキョウ入り、ソーメンタシヤー」を食べつつ、泡盛をゆっくり飲んで、沖縄の暑くて長い長をのんびり過ごしたいと思うボクなのであった。
●嘉手川 学の『ryuQ100味』バックナンバー:
http://ryuq100.ti-da.net/c73393.html
筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。共著で『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売中。
薄皮を剥いたり、根を切ったり時間はかかるし、薄皮を剥いたつもりが根のほうでは厚く剥けてあせったりして、意外と時間と手間がかかるけれど、自分で漬けた島ラッキョウは買ったものより愛着がある。だから、バクバク食べるのがもったいなく思え、ちょっとずつ食べてしまい、気がつくと浅漬けで食べていたはずが、いつの間にか古漬けになってしまうこともあると思う。まぁ、つけて二週間ぐらいまでは美味しく食べられるのも島ラッキョウの魅力でもある。
この夏は島ラッキョウの浅漬けとビールで一息ついたあと、「ラッチョウチャンプルー」や「島ラッキョウ入り、ソーメンタシヤー」を食べつつ、泡盛をゆっくり飲んで、沖縄の暑くて長い長をのんびり過ごしたいと思うボクなのであった。
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