2008年06月04日
南島詩人・平田大一:シマとの対話・第31話『流れ星』

〜沖縄の過去と未来について考えるとき、僕はシマと対話する。シマとは、僕にとって老賢者のような存在〜
南島詩人・演出家として活躍する平田大一。県内外を縦横無尽に走り抜け、骨太な活動を続ける日々の中で、思索の森を歩き、刻む、真実の言葉たち。
『シマとの対話』第31話(毎週水曜日更新)

君の島のほうに、「流れ星」が落ちていくのが見えた。
僕は「サバニ」に乗って、その星をひろいに海に出る。
君に、あの星をプレゼントしよう…。
真っ黒い海の道を僕はひたすらに舟を走らせる。
あの星をどうしても君に届けたい、そして僕は
君に笑顔を取り戻してほしかった。
途中、海に浮かぶ大きな「三日月」を見つけた。
まるで海に浮かぶ、「船」のようだ。
「すみせん、ここに星が落ちてきませんでしたか?」
僕は聞いた。
「いいや、知らんな…。」
ぷかりぷかりと三日月の船は海の上を泳ぎながら
僕の前から遠ざかっていった。
今度は海で眠るマンタを見つけた。
「あの、すみません。ここに、星が落ちてきませんでしたか?」
僕はマンタが不機嫌にならないか心配しながら聞いた。
「ああ、びっくりした。驚かすなよ。寝てたんだ。」
マンタは少し飛び上がって、それから
「ここには、ないよ。」と僕に告げた。
真っ黒い海の上に気持ちよさそうに浮かんでいたマンタは
ちゃぷん、と海の底に帰っていった。
僕はすっかり途方に暮れてしまった。
勢い込んで海に飛び出したのに
探すべきその星は見つからない。
さて…、どうしよう。
僕は君の笑顔を思った。
そして、大きく深呼吸して夜空を仰いだ。
見るとさっきの「三日月」がその夜空にあった。
…全く、仕方ね〜な〜
僕の頭の中で「三日月」の声が聞こえた。
すると、その船のカタチをした月から
優しい光が降りそそいだ。
あ…、僕は息を呑んだ。
黒い海の上に、ぼんやりとした光の道が見えてきた。
「…星に続く道だ」
僕ははやる気持ちを抑えてゆっくりと
サバニを走らせ始めた。
三日月の光を浴びてキラキラと光る星。
月明かりで輝く海の道は、
きっと流れ星まで僕を導いてくれる。
遠くの水平線でマンタがジャンプする。
パチャッ!
おおい、お前の捜し物はここにあるぜい!
マンタの声は海風に乗って、
僕にもハッキリと聞こえた。
もうすぐ流れ星に辿り着く
その星を君に届けよう
君はこの星に、幾つお願い事をするんだろう…
やっと、君の笑顔が僕にも見えた。
南島詩人・平田大一

●Profile:
平田大一(ひらた・だいいち)
南島詩人・演出家・那覇市芸術監督
1968年11月7日沖縄県竹富町小浜(こはま)島生まれ。
進学先の東京で、アートユニット「I・N・U」に参加、自作の詩を朗読する舞台活動を開始。卒業後は生まれ島「小浜」に戻り、アーティストへの楽曲・詩の提供、実家の民宿を拠点に「キビ刈り援農塾」をスタートさせるなど、地域と文化に根ざした幅広い活動を行う。
2000年から与勝地域の子供達による現代版組踊『肝高の阿麻和利』の演出を手がける。
2005年3月に勝連町・きむたかホール館長を卒業、4月11日に有限責任中間法人TAO Factoryを立ち上げ、代表理事に就任。同年、那覇市芸術監督に就任。
うるま市、浦添市、八重山、金武町、那覇市、5つの地域の子供たちのための舞台を手がけるほか、毎年、新作舞台を精力的に制作。沖縄県内はもとより、県外、国外にも支持者を増やしている。
代表作に現代版組踊『肝高の阿麻和利』、現代版組踊『大航海レキオス』など多数。著書は詩集『南島詩人』、『歩く詩人』(冨多喜創)。
・平田大一ブログ『シマとの対話』:
http://hiratadaiichi.ti-da.net/
→そして、沖縄の人気blogランキングはこちら
平田大一(ひらた・だいいち)
南島詩人・演出家・那覇市芸術監督
1968年11月7日沖縄県竹富町小浜(こはま)島生まれ。
進学先の東京で、アートユニット「I・N・U」に参加、自作の詩を朗読する舞台活動を開始。卒業後は生まれ島「小浜」に戻り、アーティストへの楽曲・詩の提供、実家の民宿を拠点に「キビ刈り援農塾」をスタートさせるなど、地域と文化に根ざした幅広い活動を行う。
2000年から与勝地域の子供達による現代版組踊『肝高の阿麻和利』の演出を手がける。
2005年3月に勝連町・きむたかホール館長を卒業、4月11日に有限責任中間法人TAO Factoryを立ち上げ、代表理事に就任。同年、那覇市芸術監督に就任。
うるま市、浦添市、八重山、金武町、那覇市、5つの地域の子供たちのための舞台を手がけるほか、毎年、新作舞台を精力的に制作。沖縄県内はもとより、県外、国外にも支持者を増やしている。
代表作に現代版組踊『肝高の阿麻和利』、現代版組踊『大航海レキオス』など多数。著書は詩集『南島詩人』、『歩く詩人』(冨多喜創)。
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