嘉手川学のryuQ100味'08年1月号(ムーチー)
新暦のお正月は過ぎたけど、沖縄の旧正月はこれからだからあらためまして今年もどうぞよろしくお願いしますね。
昨年はボクの「沖縄100味」をはじめその他の100シリーズ「琉球百科」のコーナーを読んでくれてありがとうございます。このコーナーを担当しているボクはもちろん、ボク以外の新城和博さんや小浜司さん、比嘉淳子さんたちに代わってお礼を申し上げます。
(っていうか、3人に断りなしで勝手に名前を使ってお礼のあいさつしたけど、3人とも友達だからいいよね、担当のKUWAさん)
ま、そんなわけで、今年も全力を挙げて沖縄の美味しいものを紹介するのでよろしく。
ところで、前回、沖縄では冬至の頃になると寒くなることから「トゥンジービーサ」というと書いたのだが、昨年のトゥンジーはボクの期待とは裏腹に、大陸からの寒気団の怠慢な働きせいで、北海道と東北の一部だけをちょっと冷やしただけで、ちっとも寒くなかった。むしろ太平洋からの湿った空気が流れ込み、12月としては異例の大雨が降り、冬至の当日(駄洒落じゃないよ)沖縄県地方の最高気温は25度まで上昇。トゥンジービーサどころかトゥンジーアチサ(暑さ)になっていた。ボクはあっちこっちで沖縄の季節は旧暦や24節気通りの運んでいると書いていたが、地球温暖化は沖縄にも影響しているようで、旧暦と季節感が微妙にというか大幅にずれている気がする。
それでも季節はとどまることなく巡り、さて今月の年中行事である。
1月(旧暦12月)の大きな行事といえばずばり「鬼餅(ウニムーチー)」と呼ばれる行事である。単に「ムーチー」といえば「餅」のことであるが、12月のムーチーとは「鬼餅」のことをいう。もち米の粉に水を加え練って形を整え、サンニン(月桃)と呼ばれる生姜科の植物の葉や椰子科のクバ(ビロウ)の葉、バサナイ(芭蕉)の葉などで包んで蒸したもので、一般的にはサンニンの葉が用いられ、蒸したムーチーは仏壇とヒヌカン(火の神)、神棚に供え、悪鬼払いや健康を祈願する行事として首里・那覇を中心に本島各地で行われている。ちなみにサンニンなどの包まれたムーチーのことを「カーサムーチー」といい、「カーサ」とは食べ物を包んだり盛ったりする幅の広い植物の葉のことである。
ところで、生まれて初めてムーチーを迎える赤ちゃんは「ハチムーチー(初餅)」といって、特に男の子には(現代では女の子もだけど)に大きく作ってクバの葉に包んだチカラムーチ-(力餅)と呼ばれるムーチーを持たせて、元気でたくましい男の子に育つように祈ったりしたのである。そしてさらにたくさんのムーチーを作り親戚や知人、友人、近所に配りみんなと一緒に赤ちゃんの健康と無病息災を願うのである。
現在小学校6年になる息子が生まれたときも、義理の母が息子のためにたくさんのムーチーを作ってくれたので、ボクは兄弟や親戚、友だちにムーチーを配り我が子の無病息災と健康に成長するように願うという口実を作り、飲み歩いたものである。子供の健康と無病息災を願い、父親が不健康になっていく。これもまた初ムーチーならではの大人の楽しみ方である(ウソだけど)。
ところで、ムーチーの日が沖縄に近づくころ…
今度こそ間違いなくムーチービーサはやって来るだろうと。ここ20年ばかり沖縄で冬至のころにトゥンジービーサがあったのは去年と数年前に一回あったきりなので、ムーチービーサはわりと正確に訪れているからだ。それに、大陸からの寒気団だって己の怠慢を反省し、近いうちに必ず巻き返しを図るため、日本全土を強力な寒気を伴なって日本列島を覆う日が来るかも知れないと。その日がちゃんと寒い日が訪れるムーチーの前後だと私は推測していたのである。
何しろトゥンジージューシーのころには充分に南下できなかった寒気団なので、捲土重来、ムーチーのころにはトゥンジーの反省も踏まえて思い切り冷えた寒気団を送り込むかもしれないからある。
ところで、寒気団って耳だけで聞くと、なんだか管楽器でマーチを吹きながら紙吹雪や紙テープを手に、陽気な感じで沖縄まで来るような気がしない?
「大陸からの寒気団の南下にともない」と聞くと「歓喜しながら沖縄に来る」というイメージがあるけどな。
とにかく、旧暦12月8日(今年は新暦1月15日)はムーチーを食べて、歓喜しながらやって来る寒気団を蹴散らして、無病息災で新しい歳を迎えたい。
筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。今年になって共著で3月に『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、5月には『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売。
何しろトゥンジージューシーのころには充分に南下できなかった寒気団なので、捲土重来、ムーチーのころにはトゥンジーの反省も踏まえて思い切り冷えた寒気団を送り込むかもしれないからある。
ところで、寒気団って耳だけで聞くと、なんだか管楽器でマーチを吹きながら紙吹雪や紙テープを手に、陽気な感じで沖縄まで来るような気がしない?
「大陸からの寒気団の南下にともない」と聞くと「歓喜しながら沖縄に来る」というイメージがあるけどな。
とにかく、旧暦12月8日(今年は新暦1月15日)はムーチーを食べて、歓喜しながらやって来る寒気団を蹴散らして、無病息災で新しい歳を迎えたい。
筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。今年になって共著で3月に『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、5月には『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売。
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