2007年06月15日
松田一利インタビュー

沖縄観光スポットとして人気の高い“美浜・アメリカンビレッジ”“巨大な観覧車”や“サンセットビーチ”などで知られる北谷町(ちゃたんちょう)は、ここ数年は夏になると全国のエイサーファンのおっかけが大勢つめかけるほど、今、北谷のエイサーが大人気です。
その北谷で生まれ育ち、幼い頃からエイサーに魅了され、エイサーの地謡(じうてー)になりたくて三線を始めたという松田一利(かずとし)さんが、民謡歌手として6月15日待望の1stアルバム『ディーグニー』(TUNDAMIレーベル)を発売。数々のすばらしい民謡歌手を輩出している北谷から、またまた注目の新星登場です。
夏本番を前に、すでに始まったエイサー練習もかかさないという松田一利さんに、CD発売直前インタビューしてきました。

——松田一利さんは北谷町謝苅(じゃーがる)エイサー青年会での地謡として、2006年に2枚組CD『エイサーDEスリサーサー』(リスペクトレコード)で北谷町『栄口エイサー』と一緒に北谷町『謝苅エイサー』を出し話題を集めました。
実録・青年団体エイサーの記録として、謝苅青年会のエイサーならではの音作りにもこだわりとその魅力ある個性を大いに発揮されました。
これをきっかけに謝苅エイサーは今や全国からも、エイサーを見にくる観光客の数は急増しているそうですね
松田一利:お盆の時はもう大変な車の渋滞になりました。ほとんど“わ”ナンバーのレンタカーの列で、観光で沖縄にきて北谷のエイサーを見たいと、大勢の方がものすごくきてくださいまして驚きましたが、大変嬉しく思っています。——謝苅青年会のエイサーは大所帯ですよね。一堂に並ぶと迫力だなぁと思うのですが、今どのくらいの人数で構成されているのですか?
松田一利:だいたい80名ぐらいです。
昨年の北谷エイサーのCD発売の好い反響で、見学や観光で見に来る方の数は相当数ですごい驚きもありますが、やりがいがあり、熱が入りますヨ。
今ではエイサーに参加しているメンバーにも地元地区以外からも、熱烈なファンだからと参加している人もでています。
——まもなく今年もエイサーの夏がやってきますね。練習も始まっているようですね
松田一利:5月より今年は練習も早めに始まっています。
実は今、謝苅エイサーの演舞を収録してDVDを作り、発売予定があるので、例年は6月ぐらいからの練習ですが繰り上げて始めています。
エイサーの練習が始まったらほぼ毎日、僕なんかは好きですから欠かさず練習やりますよ。
——現在、一利(かずとし)さんはその謝苅青年会エイサーの地謡を担当していらっしゃいますが、エイサーにはいつから参加しているのですか?
松田一利:16歳からです。小さい頃からエイサーが大好きで、エイサーの道じゅねー(道筋を練り歩くこと)を追っかけていましたよ。そしてはじめは手踊りをやって、太鼓に、それから三線の地謡になりました。23歳の時にはチームの青年会長になり、リーダーとしての役目もつとめました。夏はもうエイサーに、そして今も夢中です。——三線を始めたきっかけは? また、ご両親のどちらかが三線をやっていたのですか?
松田一利:エイサーの地謡になりたくて始めました。2000年に松田弘一師匠に習う前から、独学で家の三線を弾いて練習していました。
また、両親は民謡はやりませんが、おじいちゃんの三線が家にありました。三線はおじいちゃんのを使っていました。
母方のおじいちゃん(故・祖父)は、沖縄市泡瀬の伝統芸能『泡瀬の京太郎(チョンダラー)』の伝承者だったんですよ。
——それは凄いですね。昨年、泡瀬の京太郎は100周年でしたね。ところで三線を習いに行ったのは、同じ北谷町在住の民謡歌手の大御所松田弘一さんのところに2000年に入門されていますね。師匠の松田弘一さんは、同じ名字で親子と間違われることも多いかと思いますが、親戚なのだそうですね?
松田一利:名字は同じでも親戚です。でも入門の時まで親戚とは知りませんでした。どこどこの誰々のという松田の血筋を説明して初めて知りました。僕たちの世代なんかは、全部の親戚までまだ把握できません。
でも、同じ北谷でも屋号などで血筋、縁筋が同じか違うかなどはわかります。
——そういえば、今回CDのタイトル『ディーグニー』は一利さんの家の屋号から名づけたそうですが、初めて師匠にあったときもそんな屋号話も出たわけですね。
屋号は沖縄では生かされている名称ですが、なかなか沖縄以外の地域で、特に若い世代は“屋号って何?”とわからないという感じがあるかと思いますが
松田一利:屋号は、沖縄では家の姓(名字)に代わるものとして用いられたので、今も年輩の方々や親戚の話などは、屋号の名前をいったほうがわかりやすいこともあるぐらい身近なものです。
たとえば僕の家は『ディーグニー(デイゴの木の根)』という屋号なので、自分の歴史を大事にそして沖縄に根を張り唄いたいと思って、CDの題名にも使うことになりました。
——沖縄ならではの想いが感じられますね。
ところで、今回のCDは一利さんの作詞作曲のオリジナル作品をはじめ、かなりこだわって製作したそうですね?
松田一利:はい、たとえば唄う時にも、純粋な地元(北谷町謝苅)の言葉遣いにこだわりました。つまり北谷言葉、北谷アクセントを忠実に唄いたく、松田弘一師匠にも指導して頂きました。またCDの1曲目に収録した『北谷ぬ前ぬちり弾ち宮古根〜山原汀間当』ですが、この北谷のナークニー(宮古根)を唄わせてもらえるようになったのも、昨年やっと師匠から許されて習ったもので、とても嬉しい1曲なんです。
沖縄では各地にナークニー(宮古根)あり、地域ごとにナークニーは大変好かれています。
たとえば本部ナークニー、今帰仁(なきじん)ナークニーなど有名ですが、実はずっと前から、師匠が北谷のナークニーを隠すように唄い継いでいるのを知っていまして、民謡をやっているものとしてナークニーはとても魅力ある歌で、しかも北谷の地元のナークニーは師匠だけが歌ってきていたので、いつか自分も北谷生まれとしてこの歌を唄いたい習いたいと願っていました。
やっと昨年許可が出て、習えるようになり、このCDで録音できたことは大きな喜びです。
北谷のナークニーがたくさんの人に知られるようになるわけで、北谷ならではの魅力のひとつとして是非聴いて欲しいです。
——北谷にもナークニーが伝承されてあったとは本当に嬉しい驚きでした。
若い一利さんが念願かなって堂々と受け継ぐことが許されたのは、未来への大きな力として期待されたのですね。師匠からの信頼の大きさも感じられ素晴らしいですね。
今回のCD製作では同じ北谷同士で同級生のよなは徹さんや、内里美香さん、謝苅青年会エイサーのみなさんも参加され、とても若いメンバーの方々ですが、音の響きがとても美しいのが印象的でした。単に新鮮ということだけではなく、三線、歌声それぞれの素直な持ち味が光っていますね。収録の際のエピソードや苦労した点はありましたか?
松田一利:最後の12曲目の『浜育ち』という曲は思い入れがあって、自然の中で録音しようということになり、実際に海辺で録音したんですよ。だから、波の音や風も一緒に沖縄を感じてもらえるかなと思っています。
——そうでしたか、海辺で録音だったのですね。それを知ってあらためて聴くとまた味わいが違いますね。
それでは最後にメッセージを頂けますか
松田一利:エイサーの三線地謡になりたくて三線をはじめ、謝苅青年会でエイサーもしっかり楽しみ、民謡歌手としても1本立ちすることになりました。夢や希望にいつも前進しています。
県外へもどんどんライブに出かけていきたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。

沖縄に根をはり全国へ向け、県の木として愛されるデイゴの木のように『ディーグニー』のCDで民謡歌手松田一利さんが活躍されますことを期待しています!
♪松田一利ライブ予定:
6月17日(日)
『島うたコンピレーション 新風CD』発売記念ライブ in あしびなー
出演:松田一利・島袋辰也・岸本竜也・玉城さゆり・村吉茜・島袋美幸・比嘉久美子・阿嘉直子・安慶名千春
開場:17時30分 開演18時
場所:沖縄市民小劇場あしびなー
前売\1,000 当日\1,500
問 キャンパスレコード 098-932-3801
6月24日(日)
アコースティックコンサートInとぐちビーチ
出演/アコースティックM・Kiyomi・フーミー&良明・城間健市・松田一利
時間:17時〜21時
場所:読谷村字渡具知 渡具知ビーチ特設ステージ
★観覧無料
主催/シーレーションコンサート実行委員会
7月1日(日)
松田一利ファーストアルバム『ディーグニー』発売記念ライブ
場所:国際通りトランジットモール(歩行者天国・高良レコード前)
時間:(1)14時〜/(2)16時〜 各30分
観覧無料(問)高良レコード(098-863-3061)

松田一利
『ディーグニー』
6月15日発売/TUNE-0003
\2,500(税込)
<収録曲>
01. 北谷ぬ前ぬちり弾ち宮古根〜山原汀間当
02. 悔み節(作詞・石川節子・松田一利 作曲/よなは徹)
03. 謝苅イマサンニン(作詞/松田弘一)
04. 安里屋ゆんた
05. 愛さナークニー〜ジントーヨー(With内里美香)(作詞/ビセカツ)
06. 白雲流りてぃ(作詞/菅野優子(ウチナー口:ビセカツ・作曲/松田一利)
07. ありが姿(作詞・作曲/松田一利)
08. 北谷村(作詞・作曲/松田弘一)
09. エイサー頭(作詞・作曲/松田一利)
10.北谷舞方
11.嘉手久〜アッチャメー小(Withよなは徹)
12.浜育ち
<参加ミュージシャン>
よなは徹(歌・三線・楽曲提供)、内里美香(歌)、知名勝(アレンジ・ギター)、高宮城実人(太鼓)、宮良和明(パーカッション) 他
http://www.interq.or.jp/leo/campus/
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(文:吉澤直美、写真+写真:KUWAこと、桑村ヒロシ)
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