世冨慶エイサー


その面影を感じさせるエイサーとして知られるのが平敷屋エイサー(うるま市勝連)など、今も伝統の踊りを残しています。
そして平敷屋エイサーも、明治36年には当時の青年会長が、その頃県内で評判だった名護のエイサーから習ってきたものとの記録があるようです。
平敷屋エイサーと名護のエイサーとの関係は、
「名護人やたら裏座んかい(名護の人なら特別席へどうぞ)」と歌われる平敷屋エイサーの『二合小』の中にも残っており、
文献の記録は少なくても、歌い継がれる伝統曲の歌詞のほうからもその当時の様子を垣間見ることができます。
名護のエイサーといえば、今も伝統色残るエイサーが世冨慶(よふけ)と城(ぐすく)にあると伺い、
今年の旧盆は、エイサーの原風景を訪ねてみたくなりました。
そして名護のエイサーといえば、当時は世冨慶エイサーぐらいしか無かったのではないかといわれています。
そこで、実際に世冨慶エイサーを見聞し、世冨慶エイサー保存会の会長さんにもお話を伺ってきましたのでレポートします。

世冨慶エイサーの歴史は150年以上になるといわれ、本土復帰前の琉球政府より無形文化財(琉球政府指定)にも指定されていたという手踊りエイサーの代表格で、1968年には国立劇場にも出場したこともあるとのこと。

世冨慶エイサーのそのスタイルは、男性は紺地の着流し女性は絣の着物とその姿に、平敷屋エイサーの姿を重ねてみることはできるのですが、
何よりも大きな特徴であるのが、円陣を組んで踊る手踊りが主体のエイサーだということ。今では、やぐらを組んで踊っていますが、かつては一晩かけて各家々を廻っていたといいます。

太鼓は芭蕉を藁帯で結んだ大太鼓が2人だけでゆっくりと時を刻むように、ドーン、ドーン、ドーンと打ち込んでゆきます。今でこそ、大太鼓が2人だそうですが、古き伝統では小太鼓の締め太鼓が1人だけで全体の拍子を整えていったのだとか。
実は太鼓の音が大きすぎないほうが、世冨慶エイサーの特徴である歌や囃子が活きてくるのだそうです。
踊り手は、曲によっては扇、四ツ竹、ティサージと使い分けますが、扇も本土復帰前は日の丸ではなく黒と赤の二本線のものだったといいます。
また、50年くらい前には紺地の片袖を外して舞っていたともいい、以前は平敷屋のように酒瓶もあったのだとか。
そして踊りだけでなく、歌のほうも注目であり、100年以上前からの古い歌を受け継いでいるのだそうです。
今年、101歳の仲村栄子おばあちゃんも「この伝統を大事にしていってほしい」とのこと。

現在、唯一その歌を三線で弾いて歌えるのは、世冨慶エイサー保存会会長の我部政行さん(73歳)のみ。
数年前には保存会を結成し、古いエイサー歌を工工四として譜面化し保存継承する作業を開始したほか、その継承に取り組まれています。
「世冨慶エイサーは地域の宝です。青年会にも伝統的なスタイルを鉢巻ひとつから継いでゆきたいと思っています。
また、小学生の子ども達にも教えはじめています。小さい頃に教わったものは忘れないでしょう」
子ども達もまた、元気に囃子を歌いながらいっしょに円陣の中に交ざってゆきます。
そして子ども達だけではありません。旧盆は、久しぶりに地元に帰省してくる出身者も多く、輪の中に一人また一人と増えてゆきます。
「かつてエイサーを踊った覚えのある人はたまらず飛び入りして盛り上がってゆくんですよ。
その為にも、型を崩さないことが大切なんです。帰省した彼らも歌や踊りは暗記していますからね。久しぶりに地元に帰ってきてエイサーの輪に飛び入りしてもすぐに踊ることができるんです。
昔の踊りのそのままの型である魅力のひとつは、そういうところもあるんですよ。
型も歌も、若い人たちに継承してずっと後世に繋いでいってほしいですね」と会長さん。

また、会長さんがおっしゃるには、今の青年会にも古き伝統を大事にしてゆきたいという気持ちがある事にとても期待されているようです。
「古典エイサーの原点ともいわれているので、ゆいまーる精神でみんなで頑張ってゆきたいと思います」とは、世冨慶青年会会長・岸本義人さん。
青年会の皆さんも口々に「会長やみんなと一緒に頑張ってゆきたい」とコメントされていたのが印象的でした。
そして、世冨慶エイサーは七月エイサーとしてだけでなく、地域行事としてのとても大事な役割があるようです。
「この集落には豊年祭が無いのが特徴で、その分、エイサーに力を注いでいるんですね。
世冨慶のエイサーとは、豊年祈願、地域繁栄、健康願いのニンジュ結び(集落のコミュニケーション)の行事でもあるんです」
旧盆だけで終わらず、その翌日にも集落内の神々に、エイサーを奉納してゆくのだそうです。

最後に、世冨慶区長の仲村勝晃さんにお話を伺いました。
「集落をまとめてゆく上で、世冨慶には伝統的なエイサーがあるので、エイサーを通してコミュニケーションをはかってゆきたいですね。
そして現在の青年会も、昔のエイサーに戻そうという気持ちもあるようだから、世冨慶の伝統的なエイサーになってゆくと思っています」

月夜の明かりの下で奉納されてゆく手踊りエイサーを連日通って拝見させて頂く中で、何よりもエイサーに情熱を注ぐ地域の人たちの取り組みに触れることができ、
そこから、保存することの大切さと未来に活かす努力の姿を学ばせて頂きました。

『エイサーの原風景を訪ねて』シリーズの今後の続編では、世冨慶エイサーのルーツではないかと云われる本部のエイサーまで、さらに遡ってゆきたいと思っています。(つづく)
※エイサーの原風景を訪ねてシリーズ:(Back Number)
(1)『世冨慶エイサー』(名護市)
http://ryuqspecial.ti-da.net/e1727422.html
(2)『シマエイサー』(本部町)
http://ryuqspecial.ti-da.net/e1729096.html
(3)『石川エンサー』(うるま市)
http://ryuqspecial.ti-da.net/e1739088.html
(4)永久保存版『エイサー起源』
http://ryuqspecial.ti-da.net/e2251010.html
(5)『エイサーの始祖・袋中上人』(エイサー起源シリーズ)
http://ryuqspecial.ti-da.net/e2269301.html
(文: KUWAこと桑村ヒロシ、写真: KUWA、P2)
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