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大工哲弘“ゆんたしょーら”インタビュー【後編】

大工哲弘“ゆんたしょーら”インタビュー【後編】
大工哲弘さんの八重山民謡独唱が堪能できる第1部、ゆんたの大合唱となる第2部、大物ミュージシャンと懐かしくて新しいジンタを共演する第3部と、5年に一度の豪華リサイタル『ゆんたしょーらpart6』が12/6(日)に開催。大工哲弘さんの特別インタビュー【前編】に引き続き、【後編】をお届けします!

——第1回目の『ゆんたしょーら』が30年前とのことですね。当時はいかがでしたか。

大工哲弘大工哲弘:第1回の『ゆんたしょーら』がはじまった頃は30歳くらいで、お弟子さんもまだ3人しかいなかった頃でね。(うち2人は現在コーニーズとして大工哲弘さんのステージを支え続けている)
彼らをはじめ、全国から100名以上の弟子が集まって、八重山の労働唄“ゆんた”をやります。北は北海道から南は九州の福岡までが、沖縄に集います。

——全国から総勢100名でゆんた。壮観ですね! 前回5年前のpart5よりもさらに大勢参加されますね。

大工哲弘:この5年間でそれだけ拡がりがあったということですね。

——ゆんたを100名でとのことですが、掛け合いの息を合わせるのは大変そうですね。

大工哲弘:三線の伴奏もなく手拍子だけでやるものだから、これがまた難しいんだよ。全国に出張稽古に出掛けていって指導しています。

——そして『ゆんたしょーら』といえば、これまでも様々なゲストが参加して来られましたね。伊藤多喜男さん、梅津和時さん、などなど。

大工哲弘:前回の『ゆんたしょーらpart5』では、知名定男、坪山豊、そして中孝介も出たね。あの頃、中孝介は琉大生だった。今はメジャーにいってしまったけどね。

——そして今回(part6)のゲストは!

久保田麻琴大工哲弘:ワールドミュージックの久保田麻琴。70年代に沖縄の音楽をメジャーにした人物で、喜納昌吉&チャンプルーズを全国的にメジャーにしたのは彼なんだ。

新しい音楽を手掛けてきたり、世界の音楽を紹介してきたりと、メジャーの先端でやってきた彼がまた沖縄の音楽に戻ってきた。であれば今回ぜひ一緒にやってみたいと思って。昨年から知り合い、意気投合していろんな話がトントン拍子で決まっていき、今年の夏は東京の公演(草月ホール)でホレホレ節を一緒にやったりとか、そして今回の『ゆんたしょーら』へのゲスト出演も決定してね。

最近の久保田麻琴は、宮古の神歌とかを録ったりしていて、今、宮古に取り憑かれているというか、神憑りだね。今、宮古に向いている熱を、ぜひ八重山に向けたいと思っているんでね(笑)。

——おふたりからどんな音が生まれてくるのか楽しみですね。今回の『ゆんたしょーらpart6』では、どのような曲を一緒に共演されるのでしょうか?

大工哲弘:久保田麻琴のほかさらにキーボード(ロケット・マツ)とパーカッション(服部正美)を加えて、昔、自分のおじいちゃんが歌っていたような懐かしい楽曲とか、モダンチックなジンタとか“昭和の香りがするけどでも音は新しい”みたいな。そんなふうに演ってみたいと思っています。

——この豪華な構成でどれくらい演奏予定ですか?

大工哲弘:全3部構成のうちの第3部で40分くらいの演奏を予定していますね。洋楽器とのコラボレーションで、新しい世代に伝えていきたいですね。
ちなみに第2部が、総勢100名でゆんたを大合唱します。これがまた見所で、男女掛け合いでやりますよ。大絵巻になるんじゃないかな。
そして第1部が独唱です。

そういう3つのテーマがあって、大きく舞台転換もあるわけだから、面白くなると思いますよ。
ゆんた
——そして今回の司会は、琉球放送の上原直彦さんとのことですね! デビュー当時の頃からご存知なのでは?

大工哲弘:もっと前の高校生だった頃の僕を知っているからね。当時彼はテレビのディレクターもやっていたんだよ。その頃の番組に5人勝ち抜きのノド自慢大会があって、出場してみたらトントン拍子で4人勝ち抜いて、5人目勝ち抜き目前で糸満ヤカラーズにやられたね(笑)。

でもそういうのに出ていたお陰で、読売テレビの『全日本歌謡選手権』という70年代の人気番組に出られてね。(スター誕生やイカ天のような勝ち抜き音楽番組で、後に五木ひろし、八代亜紀、天童よしみ、中条きよし、などがその番組から輩出した)

全国版で8週目まで勝ち抜いたんだけど、その時の審査員が「沖縄の音楽はメジャーにはならない」とか「唄を歌うんだったら標準語で歌いなさい」とか「三線というのも民俗くさいので、それは沖縄の人たちだけで楽しみなさい」とか言われてね。悔しかったな。

でもその時、ある著名な音楽プロデューサーがやってきて「歌謡の世界でデビューしませんか」「着物で民謡を歌わず背広で歌謡曲を歌ってほしい」「民謡の声量などは歌謡でも通用する」と誘ってくれたんだけどね。「いやいや、僕は島唄でやっていきますよ」とキッパリお断りさせて頂いた。

今年の夏に東京の草月ホールでやったときにその方が来てくださってね。40年ぶりの再会で、その時の舞台を観て「大工さん、やっぱり断って良かったね」っておっしゃっていましたね(笑)。

そうやって40年前のことは鮮明に覚えているんだけどね(笑)。あの頃にお会いした著名な方々はまだ限られた人だけだったし全てが珍しかったので強烈な記憶だった。段々とそういった方々との繋がりは拡がっていくわけだから、覚える濃度は薄くなっていく訳で(笑)。5年前、10年前、15年前よりも、40年前くらいのほうが強烈に覚えているもんだね。

——そうやって5年ごとに刻んできた歴史の積み重ねの『ゆんたしょーら』。今度の第6回目をどのように位置づけていらっしゃいますか。

大工哲弘:ある意味、こんどの『ゆんたしょーら』は“はじまり”でもあると思っている。なぜかというと前回までは那覇市役所勤務だったので、ミュージシャンと対等にはなれない部分があったのだけど、退職したのでようやく音楽だけでフリーにやれるようになったというのもあって、大物の久保田麻琴を迎えてやることができるんです。
なので、自分にとって“音楽元年”だと位置づけてもいいと思っている。

久保田麻琴とは同い年でもあり、年寄りになるまでずっと現役で音楽をやっていこうと話しているし、一歳年下の梅津和時ともね。梅津和時とは'93年の『ゆんた とぅ じらば (YUNTA & JIRABA)』で共演したことがはじまり。そのきっかけは'90年代にシアターコクーン(東京渋谷)でネーネーズがやった時に、ゲストで1曲出演したんですよ。冒頭に『とぅばらーま』を1曲だけ。そこで始めてそれを聴いた梅津和時が「挨拶させてくれないか」と訪ねてきたのがきっかけで、梅津さんと何か作ろうという話に発展して出来たのが『ゆんた とぅ じらば』。

なかには「たった1曲の為に東京のライブに行くの?」と言ったりする人もいたけど、「“たった1曲”というのがいいんだよ」ってね。
100M走のオリンピック選手はたった10秒間のために4年を掛けてトレーニングを積んでくるのであってね、1曲というのは5分もあるんだよ。その1曲を聴いた梅津和時と出会った事を考えるとやっぱり一瞬でも大事だな、ありがたい事だよ、と考えますよ。
大工哲弘
——そういった意味では12/6『ゆんたしょーら』で、2時間20分の出会いというのは大きいですね。

大工哲弘:そうですね。いろいろなコーナーでいいものを出していきたいと思っていますよ。

——読者の皆さんに、ぜひメッセージをお願い致します。

大工哲弘:琉球フェスティバルとか私も参加させてもらっていたりするけど、だんだんと私も長老になってきているんだよね(笑)。
琉球フェスティバルが始まった'70年代頃は若手として参加して、あの頃は2番目に若くてね(1番の最年少は嘉手苅林次)。そういった意味で考えると、歌い継ぐ意味ではいい世代なのかもしれない。今のうちにたくさんいいものを歌って若い人たちにまた繋げる時だと思っています。

作業唄、それが唄の根源=ルーツであるし、魂であるし、八重山の作業唄“ゆんた”というのは普遍性を持っている。実際に労作業しながら歌うというのは、僕の世代が最後くらいだったと思うんですよ。

僕が昔、おじいちゃんの農作業の手伝いをしていた頃は、おじいちゃんやおばあちゃんたちは朝から晩まで歌いながら作業していましたね。歌が途切れるのはお昼休みくらい(笑)。そういう時代を知っているのは僕の世代が最後だと思っています。

現在では農作業はトラクターとか機械化したからね。昔は田植えから田草を取る作業からみんな手作業だったけど、もうそういう光景は残っていないよ。

そういった意味では、今回のゆんたでその一端をお見せできると思っています。「ネイティブな八重山の大工哲弘の世界」を。

そしてもし僕らができなかったことがあるなら、それはぜひ若い人たちが継いでいい音楽を作っていってくれたらと思っています。

——そして最後に、“唄”とは。

大工哲弘:僕から唄をとったら何も残らないので、唄があるから命があり、命があるから歌っている

「唄は命」だな、と思いますね。       (→インタビュー【前編】を読む)


※大工哲弘さんによる、命(魂)のこもった唄を、12/6(日)那覇市民会館でご堪能頂けます。詳細は下記まで。

大工哲弘コンサート『ゆんたしょーらpart6』
ゆんたしょーら “歌って40年。八重山の心を歌い上げる。”
日時:2009年12月6日(日)
   開場午後5時30分/開演午後6時
会場:那覇市民会館 大ホール
前売:3,000円/当日:3,500円
プレイガイド:リウボウ・チケットぴあ
ブログ:http://daikutetsuhiro.ti-da.net/e2583396.html
大工哲弘HP:http://daiku-tetsuhiro.com/

(取材: 桑村ヒロシ)


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Posted by ryuQ編集室 at 2009年11月20日   09:00
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