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宮古島の神歌と古謡【後編】

宮古島の神歌と古謡【後編】
「宮古・佐良浜の神歌を聴いたか!君も僕も生き証人だぞ」と民俗学者の谷川健一先生からそう言われたほど『宮古島の神歌と古謡』は歴史的公演となった。しかも公演時間が4時間となるとても濃密な内容。終演後、監修・久保田麻琴氏が「これで宮古の扉が開かれた」と意味深に語ったその真意とは。

宮古島の神歌と古謡【後編】また、神歌・古謡の歌はもちろんのこと、久保田麻琴氏と解説を担当された佐渡山安公氏によるトーク対談も見逃せませんでした。その一部をご紹介しましょう。

久保田麻琴(音楽プロデューサー/監修):神歌というのは、御嶽という神社の原形のようなところで、密やかに、そして濃密に歌われている歌なんですが、集落によっては途絶えてしまったという。

宮古島の神歌と古謡【後編】佐渡山安公(宮古伝承文化研究センター所長):宮古の狩俣地区や島尻地区は神行事が途絶えて12年くらいになるのですが、そこで歌われていた多くの神歌も一緒に途絶えてしまいました。
さきほど、西原のおばあたちが現役で歌っていた頃は30~40年前ぐらいで、その頃は130名ほど神歌を伝えるおばあたちがいたのですよ。ところが、現在では10名足らず。いつ途絶えてしまってもおかしくない状況ですね。
伊良部島の佐良浜地区は比較的まで多く残っていますが、段々とその人数が減ってきています。
だから、今の宮古の人たちは神をどう思っているのか?

久保田麻琴:神歌があまりにも素晴らしいので、残していってほしいと思いますが、実際、継承していくということになると、年間何十日も神行事に関わらなければならない事は、現代の生活からは非常に難しくなってきていて、大変な事だなと思います。
夜籠もりをして祈りながらずっと一晩歌い続けるというのは、畏れ多いほどに偉大な事をされているなと思いますね。

宮古島の神歌と古謡【後編】佐渡山安公:やはり神歌というのは、大勢の人たちで声を合わせて合唱することでその歌に神が乗ってくる訳です。またその輪唱も凄いですね。

久保田麻琴:こんなにも凄い音楽遺産が残っている宮古の神歌が、なぜ私たちの耳元まで届くことが無かったのでしょうか?

佐渡山安公:御嶽や祭祀以外では歌ってはならない、そして持ち出してはいけないという非常に厳しい決まりがありますからね。

宮古島の神歌と古謡【後編】
――宮古の神歌は、一般のお客さんにはどのように聞こえたのでしょう?

綾目友子(鳥取県):初めて聴いたのに、ずっと前から知っている気がしました。なぜか久しぶりに聴いた感じがしたのが不思議です。

――公演を終えて、感想はいかがでしたか? まずは佐渡山安公さんから。

宮古島の神歌と古謡【後編】佐渡山安公:神歌というのは、神の声が乗り移ってウクイ(御声/神の声)から発声していくことから発生したと思われます。最終日(20日)には根間忠彦さんが、ウクイのカンカカリャー(ユタ)バージョンを実演する予定です。
18日、19日の公演では、人前で歌われることが許される神歌でしたが、祭祀では外に出すことができない神歌がまだまだいっぱいあるのですよ。ところが祭りが途絶えてしまうと神歌も全滅してしまうんです。宮古の狩俣地区、島尻地区は神歌の宝庫だったのですが、そこが途絶えてもう十何年も経つ訳ですね。
宮古の祭祀行事が現在衰退していっている状況の中で、これを機会に注目されて歌われていくきっかけに繋がればという願いがあります。
今日はその“扉が開いた”という、その契機になればとそう思っています。

――久保田さんも最後に「ここで宮古が開かれた」とアナウンスされていましたね。

久保田麻琴:宮古はある意味、歴史的に沖縄の中でも鬼っ子だった訳だよね。あまりにも強かったから、それを抑えていた。でもこれから、宮古が開いて出てくる。沖縄も日本も救うタイミングだと思うよ。
それはややスピリチュアルな事でもあるけど、文化芸術でもある。そういう事なのだと思います。

――最後に、民俗学の谷川健一先生からも是非一言お願いします。

宮古島の神歌と古謡【後編】谷川健一(民俗学者):これから10年、20年経つと、時間(歴史ある文化)が消えていく。例えば、狩俣地区の祭祀も消えて無くなってしまった。だから、佐良浜の神歌でさえ、やがて時間が経つと無くなってしまう可能性があるのだよ。

君も僕もね、あの佐良浜の歌を聴いたというのは運命的なものがある!生き証人だよ!
この機会を最後のチャンスだと思わないと。我々が生きている印というのをよく考えてみなさい。

最後の最後に、谷川健一先生からいわれたこの一言が僕にとっては強烈な檄となりました。僕らは何を残し、何を後生に伝えていかなければならないのか。魂のバトンを手渡しで渡された場面でした。
それは僕に限らず、この歴史的瞬間を共有したみなさんともきっと同じ。
また、この公演をご覧になれなかった方にも朗報が。貴重な音源を記録したCDを聴くことができます。


CD

「宮古の音の響きを、日本の人の心に受け止めてもらえたらいいなと思っています」(久保田麻琴)。

(取材: 桑村ヒロシ、取材協力: アリオン音楽財団)


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Posted by ryuQ編集室 at 2009年07月22日   09:00
Comments( 0 ) 沖縄の芸能・文化
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