琉球魂'10 〜慰霊の日から考える沖縄の未来〜
東京、新宿にネイキッドロフトというライブハウスがある。
このライブハウスのオープニングスタッフとして、一人の沖縄出身の青年が参加することとなった。
青年の名は上江洲修(うえず・おさむ)。生粋のウチナンチュだ。
そんな彼にとって、上京してきてからとてもショックなことがあった。
東京の人たちは、沖縄の終戦記念日とされている6月23日『慰霊の日』のことを知らなかったのである。
南国沖縄、観光の島沖縄などともてはやされながらも、実はみんな沖縄の表面的な部分に触れているだけで、悲惨なあの歴史のことなど知らないのである。
それではいけないと、上江洲さんは自分の思いを行動に移した。一人でも多くの人に慰霊の日を、負の歴史である沖縄戦を知ってもらおうと、ネイキッドロフトがオープンした年から6月23日にイベントを立ち上げた。それが『琉球魂』なのである。
そして2010年、これまで毎年東京・新宿で行われてきた『琉球魂』が、ついに沖縄の地で開催されることとなった。
テーマは「慰霊の日から考える沖縄の未来」。
いま、まさに米軍基地問題で揺れる沖縄だが、はたして基地はホントに必要なのか? 基地を作ることでプラスになることはあるのか? 沖縄の表現者たちから見た、また県外の表現者たちから見た沖縄の問題について、音楽やトークを通してみんなで考えようと、2010年6月23日、那覇の桜坂セントラルで開催された。
まずは那覇・栄町市場を拠点に活動する、沖縄インディーズ界では異色の存在といわれる「マルチーズロック」がオープニングを飾る。
まさに「地の底から絞り出すような」という表現がぴったりな、もりとさんのしわがれた味のあるヴォーカルに場内は一気にマルチーズロック色に染められていく。
決して直接的なコトバではないが、彼らの沖縄を想う気持ちは熱い演奏から伝わってくる。
続いては心から沖縄を愛し、憂い、その想いを曲に乗せて歌うシンガー佐渡山豊さん。佐渡山さんの歌からはウチナンチュの魂を感じる。年齢を感じさせないパワフルさで、ぐいぐいと聴く者を引きつけていく。こちらがドキッとするほど、直接的なコトバで自分の沖縄に対する想いを奏でる佐渡山さんの歌は、今も昔も変わらずに相変わらず静かに燃えていた。
二組の熱いライブに続いては、大田昌秀さん、田中優さんらによるトークショー。
まずは観光・経済・平和などのさまざまなNGOに関わっている田中優さんから。
田中さんは経済という面から沖縄の基地問題、強いては戦争の問題を言及。いまや戦争はテレビゲームのような感覚で行われているとか、戦争が排出する二酸化炭素が膨大であるとか、自分たちの預金や貯金からアメリカ国債が買われ、アメリカの軍事資金の調達に間接的に関わってしまっているなど、自分たちが知っているようで実は全然知らないような話をしてくれた。人道的にも戦争はなくなった方が良いが、地球温暖化を止めるためにも戦争をなくさなければいけないとは考えもしなかった。
では、戦争をなくすにはどうしたらよいのか? 戦争が起こる原因はエネルギーや資源の奪い合いである場合が多い。だから自然エネルギーを使うべきだと田中さんは訴える。風力発電はじめ、原子力発電よりもはるかに安く電気を供給できる上にエコなのである。
自分たち一人一人の力は小さいもの。しかし、みんなで声を上げていけばそれはやがて大きな力となっていく。だからみんな行動していこうと田中さんはトークを締めた。
続いての登場は元沖縄県知事も務めた大田昌秀さん。
大田さんはアメリカが沖縄から撤退しないのは、思いやり予算はじめ、莫大なお金が落ちるからだという。しかもそれは、沖縄県民全員を養える額より大きな額が年間で支払われているというのだ。
自身もあの沖縄戦を体験していることから、戦争は絶対に反対と語る。戦争は人間を変えてしまう。日本兵は“お前たちを守るためにはるばる来た”と言っていたのに、壕を奪い、食糧を民間人から、さらには兵隊同士でも奪って行った。なぜそんなことになったのか知りたいと同時に、二度と戦争を起こしてはいけないと思っていると切々と語る。
そして現在の基地問題に関しては、実は日本復帰の際に嘉手納以南の基地をすべて辺野古に移設する気だったという事実があったことを話してくれた。当時はベトナム戦争の最中で、自分たち資金を調達しなければいけなかったので諦めたが、いまは移設にかかる金銭は日本が負担してくれるので辺野古にこだわっているのだそうだ。
大浦湾は自然豊かな場所だし。漁民にも大切な漁場。エコツーリズムの拠点でもあり、観光立県沖縄にとっても大きな打撃になる。
大田さんは基地がなくなっても経済は破綻しないと強調する。それは新都心や北谷を見ればわかると力説。かつての琉球は武器を持たない国として外国にも知られていた国。その観点からも沖縄を基地のない島にすることが、大田さんの願いだという。
その後、二人そろっての質疑応答が行われ、飛び入りでドカさんのライブのあと、最後は佐渡山豊さんとマルチーズロックでセッション。佐渡山さんの代表曲であるドゥチムニィをみんなで歌い、慰霊の日に沖縄を考えるイベントは大きな盛り上がりを見せて終了したのである。
(文+写真: PORCO、編集: KUWA、取材協力: KEN子)
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