南島詩人・平田大一:シマとの対話・第49話『沖縄よ何処へ』

〜沖縄の過去と未来について考えるとき、僕はシマと対話する。シマとは、僕にとって老賢者のような存在〜『シマとの対話』第49話・沖縄よ何処へ。
南島詩人・演出家として活躍する平田大一。県内外を縦横無尽に走り抜け、骨太な活動を続ける日々の中で、思索の森を歩き、刻む、真実の言葉たち。
(毎週水曜日更新)

昭和3年(1928年)。
初の海外講演会が開催された
伊波普猷のハワイでの講演会は
如何なるものであったのか!
当時の講演会の資料を手に入れて
一気に読んでみた。
資料とはその講演会の内容を冊子にした
一冊の本。タイトルもずばり!
「沖縄よ何処(いずこ)へ」である。
「私は琉球処分は一種の奴隷解放だと思っている。
ところが、三百年間奴隷制度に馴致された琉球人は
折角自由の身になったのに、将来の生活が如何に
成行くかを憂いて、泣き悲しんだということである。
彼らもまた、一旦解放された小鳥が、
長い間その自由を束縛していた籠を慕って
帰ってくるように、三百年間彼らの自由を
束縛していた旧制度を慕って、その回復を
希うて已まなかったのである。」
(「沖縄よ何処へ」伊波普猷著/世界社版)
その当時の社会状況的におかれる「沖縄」が
微妙な立ち位置にあることを知りつつも
敢えて!彼は叫ぶ。
「沖縄人よ自らの精神の開放を自らの手で促せよ!」
伊波普猷のそのメッセージが
実は「島人」「沖縄人」に向けられて
強烈に発せられていることに
僕は驚きと同時に不思議に頷いてしまう。
80年前の文章なのに
今、読んでも色あせない感覚が
あるのは何故だろう!
哀しいほど
このシマの精神の根っこは
今も!変わっていないのかも
しれない。
基地に泣きながら
基地を手放せず
補助金に依存しながら
自らの土地の「宝」には気がつかず
息子や娘を、
やたらと皆「公務員」にしたがる
このシマの人の体質は
「この島を背負って立つ!」
如き人種は生まれて来ないんじゃないか
と強烈に思うのだ。
本土資本の会社や企業、人物をも、
心中穏やかでなく敵視する
傾向性もあると聞くが
これ全て「自身の自信の無さ」
の現れである。
生まれたシマへの自信の無さからくる
異なるものへの「不信感」の現れであると思うのだ。
伊波普猷は云う。
「実際のところをいえば、島津氏の琉球入りよりも
廃藩置県よりも、もっと致命的のものである。
それにも拘わらず、六十万県民は、今なお惰眠を貪り
その政治家たちは、党争に日もこれ足らない
という有様である。
悲惨窮まること言わなければならぬ。
彼らは当然いわゆる『御手入れ処分』を
受くべく運命づけられているのである。」
(同上)
「御手入れ処分」とは、自分では
どうすることも出来なくなった案件を
政府がしゃしゃり出てきて
整理することを言うものであるらしい。
もの云わぬシマの慟哭が
聞こえてくる。
果たして僕たちは
この「シマの人」だと
言い切って良いのだろうか?
このシマは
それを認めてくれて
いるのだろうか?
突然の雨と風が吹く
那覇のマチの
揺れる街灯を眺めながら
小さな僕の大きな決意。
僕がまずは!
「新しい島人」の一人目を
目指すのだ!
追伸
南のシマジマ
約束の一年が終わります。
週に一回づつ綴ってきた
「あなた」へのたこの便りも
もうすぐ終わります。
最後まで
言いたいことを
言いきれる
勇気が持てますように。
南島詩人・平田大一

●Profile:
平田大一(ひらた・だいいち)
南島詩人・演出家・那覇市芸術監督
1968年11月7日沖縄県竹富町小浜(こはま)島生まれ。
進学先の東京で、アートユニット「I・N・U」に参加、自作の詩を朗読する舞台活動を開始。卒業後は生まれ島「小浜」に戻り、アーティストへの楽曲・詩の提供、実家の民宿を拠点に「キビ刈り援農塾」をスタートさせるなど、地域と文化に根ざした幅広い活動を行う。
2000年から与勝地域の子供達による現代版組踊『肝高の阿麻和利』の演出を手がける。
2005年3月に勝連町・きむたかホール館長を卒業、4月11日に有限責任中間法人TAO Factoryを立ち上げ、代表理事に就任。同年、那覇市芸術監督に就任。
うるま市、浦添市、八重山、金武町、那覇市、5つの地域の子供たちのための舞台を手がけるほか、毎年、新作舞台を精力的に制作。沖縄県内はもとより、県外、国外にも支持者を増やしている。
代表作に現代版組踊『肝高の阿麻和利』、現代版組踊『大航海レキオス』など多数。著書は詩集『南島詩人』、『歩く詩人』(冨多喜創)。
・平田大一ブログ『シマとの対話』:
http://hiratadaiichi.ti-da.net/
→そして、沖縄の人気blogランキングはこちら
平田大一(ひらた・だいいち)
南島詩人・演出家・那覇市芸術監督
1968年11月7日沖縄県竹富町小浜(こはま)島生まれ。
進学先の東京で、アートユニット「I・N・U」に参加、自作の詩を朗読する舞台活動を開始。卒業後は生まれ島「小浜」に戻り、アーティストへの楽曲・詩の提供、実家の民宿を拠点に「キビ刈り援農塾」をスタートさせるなど、地域と文化に根ざした幅広い活動を行う。
2000年から与勝地域の子供達による現代版組踊『肝高の阿麻和利』の演出を手がける。
2005年3月に勝連町・きむたかホール館長を卒業、4月11日に有限責任中間法人TAO Factoryを立ち上げ、代表理事に就任。同年、那覇市芸術監督に就任。
うるま市、浦添市、八重山、金武町、那覇市、5つの地域の子供たちのための舞台を手がけるほか、毎年、新作舞台を精力的に制作。沖縄県内はもとより、県外、国外にも支持者を増やしている。
代表作に現代版組踊『肝高の阿麻和利』、現代版組踊『大航海レキオス』など多数。著書は詩集『南島詩人』、『歩く詩人』(冨多喜創)。
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