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シマとの対話~第Ⅱ章(第20話)『時代の架け橋 次代の息吹』 

時代の架け橋 次代の息吹
南島詩人・平田大一の“今この瞬間”に綴り出される詩、そしてそれに呼応するような1枚写真とのコラボレーションでお届けする連載『シマとの対話』。第II章を好評連載中!(毎月中旬更新)
シマとの対話~第Ⅱ章(第20話)『時代の架け橋 次代の息吹』 

第II章(第20話)『時代の架け橋 次代の息吹』

Photo_KUWA

「組踊」がユネスコの無形文化遺産登録されることを記念した
国立劇場おきなわでのシンポジウムでの席のこと。

沖縄国際大学日本文化学科のK教授なる人物から
「『現代版組踊』の人気が出ることで、
古典的な組踊へのダメージになっていないか」
とのシンポジウムでの発言があったという。
(『沖縄タイムス』8月17日、12ページ芸能欄「観光資源の組踊模索」)

その意見は実に興味深い内容だと思う。

僕が目指すのはむしろその逆である。
「伝統までの入り口」へ案内することが
「現代版組踊」の果たせるものであり
古典の組踊こそ「揺るぎないモノ」であって
むしろ「現代的生命力」を組み込むくらいの勢いで
相乗効果を積極的に計らねばならないと思うのだ。

もっと言えば、踊奉行(おどりぶぎょう)
「玉城朝薫(たまぐすく ちょうくん)」の
現代版が生まれてきていない
今の伝統芸能の世界に問題があるのではないか。

沖縄県立芸術大学で多くの「技能者」を生み出せても
企画・制作を担う優秀な「プロデューサー」がいなくては
折角の文化的財産も宝の持ち腐れにしかならないのだ。

つまり、伝統をよく知った者が
新しい古典の様式や、ネオ琉球文化スタイルの創作に着手しない限り
古きよき伝統も生きてこないのではないか…と思うのである。

「玉城朝薫」に思いを寄せると
聞こえてくるのは「次代の息吹」である。

精神的支柱である「琉球文化」の確固たる自信、
そうであるがために他国の大和文化をも呑み込む勢いで
新たな文化の創出に心血を注いで生まれた「組踊」は
ゆえに今も生命力豊かに生きているのである。

勿論、その道のりは平坦でなかったにしても
「今も演じ続けられている」この事実に嘘はない。


さて、今回のシンポジウムでの内容は
観光文化資源として今後この「伝統組踊」を
どう活かしていけるのか?が争点であったと聞く。

結論から言えば…
古典の様式美を重んじる「伝統組踊」を
観光の文化資源として位置づけるには
かなりの覚悟がいると思われる。
出来ないことはないが、ただし、覚悟が必要なのである。

観光客というのは「水」のようなものである、
自分達の都合で色も変わるし、好みも変わる。

その「水」の流れの筋目を読み、
しなやかに逞しく更に上を行く感性でなくてはいけない。
「自らの文化への誇り」と「揺るぎ無い自信」
この感覚と覚悟と自覚を持ってこそ
観光としての文化資源は活かされるのである。


話しは変わる。
「鬼鷲~琉球王尚巴志伝」で登場した
アカインコが物語の最後に
言うセリフに僕は一つの思いを込めた。

長い年月をかけ多くの犠牲をはらって実現した
三山統一の王「尚巴志の墓」の前で高々と三線を持ち上げ
かのアカインコが言う。

「尚巴志様にお誓い申す。
これからは…これ(三線)が、この歌う心が…
   わしら、この島に生きる者達の…『命』だ。」

そして立ち上がり弟子のオモロに言う。

「さあ、オモロよ、出発の支度だ。この幻の楽器『三線』を
 琉球の民に広めに行くぞ!」
            (現代版組踊絵巻「鬼鷲~琉球王尚巴志伝」)


「戦いの力」ではなく「文化の力」で琉球をまとめ上げていく。
現在、沖縄中に鳴り響く三線の響きを聞きながら
あらためて全てを結びつける「文化の力」に
「時代の架け橋」を見た気がした。

「時代の架け橋、次代の息吹」とは「伝統と未来」。
どちらも大切なのである。
自信に満ち溢れた「文化」に人は集う!
僕が思う「文化」の可能性は無限に広がる。

                (南島詩人/平田大一)


10/2 「シマとの対話」イベントをガンガラーの谷で開催!

前回も大好評だった『写真+朗読セッションin洞窟カフェ』が
再び!南城市ガンガラーの谷『ケイブカフェ』で開催されます。

現在連載中の『シマとの対話』の世界観を、
著者である平田大一(南島詩人)、桑村ヒロシ(写真)が自ら表現!

読書の秋に、天然洞窟のガンガラーの谷が舞台となって、
トークライブ+フォトムービー+朗読セッションという形式でお贈りします。
ぜひ、遊びにいらしてください!

10/2「シマとの対話」イベントをガンガラーの谷で開催・日時:2010年10月2日(土)
 18時半開場 19時開演
・会場:ガンガラーの谷 ケイブカフェ
    (南城市玉城前川202番地/おきなわワールド隣)
・ガンガラーの谷HP(地図あり):
 http://www.gangala.com/
・出演:平田大一、桑村ヒロシ
・入場:1000円(小学生以下無料)
・予約:098-948-4192(ガンガラーの谷)
・主催:ryuQ
    (てぃーだブログ公式Webマガジン)
(ケイブカフェで同時開催中の写真展『シマとの対話2010』は、10月2日まで無料開催中です!)


Profile
平田大一(ひらた・だいいち)
南島詩人・演出家・那覇市芸術監督
1968年11月7日沖縄県竹富町小浜(こはま)島生まれ。

進学先の東京で、アートユニット「I・N・U」に参加、自作の詩を朗読する舞台活動を開始。卒業後は生まれ島「小浜」に戻り、アーティストへの楽曲・詩の提供、実家の民宿を拠点に「キビ刈り援農塾」をスタートさせるなど、地域と文化に根ざした幅広い活動を行う。
2000年から与勝地域の子供達による現代版組踊『肝高の阿麻和利』の演出を手がける。
2005年3月に勝連町・きむたかホール館長を卒業、4月11日に有限責任中間法人TAO Factoryを立ち上げ、代表理事に就任。同年、那覇市芸術監督に就任。
うるま市、浦添市、八重山、金武町、那覇市、5つの地域の子供たちのための舞台を手がけるほか、毎年、新作舞台を精力的に制作。沖縄県内はもとより、県外、国外にも支持者を増やしている。
代表作に現代版組踊『肝高の阿麻和利』、現代版組踊『大航海レキオス』など多数。著書は詩集『南島詩人』、『歩く詩人』(冨多喜創)、写真詩集『シマとの対話【琉球メッセージ】』ほか。

・平田大一ブログ『シマとの対話』:
http://hiratadaiichi.ti-da.net/


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Posted by ryuQ編集室 at 2010年08月25日   09:00
Comments( 0 ) 南島詩人・平田大一『シマとの対話』
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