南島詩人・平田大一:シマとの対話・第42話『蝶のはなし』

〜沖縄の過去と未来について考えるとき、僕はシマと対話する。シマとは、僕にとって老賢者のような存在〜『シマとの対話』第42話・蝶のはなし。
南島詩人・演出家として活躍する平田大一。県内外を縦横無尽に走り抜け、骨太な活動を続ける日々の中で、思索の森を歩き、刻む、真実の言葉たち。
(毎週水曜日更新)

記憶はハッキリしていない。
海を渡る蝶の詩を読んだのが先か
おばーから聞いた「海を渡る蝶」の話しが先か
でも僕には、ハッキリと思い描かれていた
掌の大きさもある白き蝶「オオゴマダラ」が
黒い海の上を悠々と渡っていく様が
ありありと僕の脳裏に映し出されていた。
てふてふがいっぴき
韃靼海峡を
渡っていった。
(安西冬衛「春」)
大学生の頃
シマを遠く想いながら生きていた僕は
都会にいる自分が
分からなくなっていた。
シマで生まれた僕が
都会で学び、都会で働き、都会で死んでいくのなら
何故!僕はシマで生まれたのか?
シマに生まれた僕の存在の意味を問い続けていた。
自問自答の日々。
ある日。
人でごった返す新宿駅の雑踏の
「人の波」の上を
ひらひらと飛んでいく白き蝶を見た。
その瞬間!
その刹那!
おばーの話を思い出したのだ。
「このシマに住む蝶は秋になると海を渡り
ニライカナイと呼ばれる幻のシマに飛んで行き
春になるとまたこのシマに帰ってくるわけさ。
ボロボロになった羽の上に沢山の幸いを乗せてね。
おまえも、海渡るあの蝶のように生きれたらいいね〜。」
シマに生まれた僕がシマに帰ることに
理由はいらない!
僕の血がそうしたいからなんだ。
記憶はハッキリしていない。
海を渡る蝶の詩を読んだのが先か
おばーから聞いた「海を渡る蝶」の話しが先か
でも、海を渡る「蝶」を自覚した僕は
実はこのときに孵化したのかもしれない。
旅は外に向かう「力」ではなくて
だから帰路は「新たな始まり」のウタなんだ。
自問自答のあの都会の日々が
僕の「使命の自覚」への試練だった。
大きな翼を得た僕は
大海原に飛び出した!
魂ぬ詩や 海を渡てぃ (ぬちぬうたや うみをわたてぃ)
魂ぬ蝶 風に舞ゆ (ぬちぬはぴる かぜにまゆ)
波の華に 身を散らし (なみぬぱなに みをちらし)
魂の蝶 風任かし (ぬちぬはぴる かじまかし)
渡海ぬ仇 北風やりば (とけぬかたき にしかじやりば)
渡る刹那 涙ぬならぬ (わたるどぅきゃんま なだぬならぬ)
月ぬ光り 天ぬ群星 (つきぬあかり てぃんぬむりぶし)
我した蝶 翔り美らさ (わしたはぴる ぱりちゅらさ)
(南島詩人「幻蝶(はぴる)」)
そして僕はまだ
海の上を飛び続けている。
南島詩人・平田大一

●Profile:
平田大一(ひらた・だいいち)
南島詩人・演出家・那覇市芸術監督
1968年11月7日沖縄県竹富町小浜(こはま)島生まれ。
進学先の東京で、アートユニット「I・N・U」に参加、自作の詩を朗読する舞台活動を開始。卒業後は生まれ島「小浜」に戻り、アーティストへの楽曲・詩の提供、実家の民宿を拠点に「キビ刈り援農塾」をスタートさせるなど、地域と文化に根ざした幅広い活動を行う。
2000年から与勝地域の子供達による現代版組踊『肝高の阿麻和利』の演出を手がける。
2005年3月に勝連町・きむたかホール館長を卒業、4月11日に有限責任中間法人TAO Factoryを立ち上げ、代表理事に就任。同年、那覇市芸術監督に就任。
うるま市、浦添市、八重山、金武町、那覇市、5つの地域の子供たちのための舞台を手がけるほか、毎年、新作舞台を精力的に制作。沖縄県内はもとより、県外、国外にも支持者を増やしている。
代表作に現代版組踊『肝高の阿麻和利』、現代版組踊『大航海レキオス』など多数。著書は詩集『南島詩人』、『歩く詩人』(冨多喜創)。
・平田大一ブログ『シマとの対話』:
http://hiratadaiichi.ti-da.net/
→そして、沖縄の人気blogランキングはこちら
平田大一(ひらた・だいいち)
南島詩人・演出家・那覇市芸術監督
1968年11月7日沖縄県竹富町小浜(こはま)島生まれ。
進学先の東京で、アートユニット「I・N・U」に参加、自作の詩を朗読する舞台活動を開始。卒業後は生まれ島「小浜」に戻り、アーティストへの楽曲・詩の提供、実家の民宿を拠点に「キビ刈り援農塾」をスタートさせるなど、地域と文化に根ざした幅広い活動を行う。
2000年から与勝地域の子供達による現代版組踊『肝高の阿麻和利』の演出を手がける。
2005年3月に勝連町・きむたかホール館長を卒業、4月11日に有限責任中間法人TAO Factoryを立ち上げ、代表理事に就任。同年、那覇市芸術監督に就任。
うるま市、浦添市、八重山、金武町、那覇市、5つの地域の子供たちのための舞台を手がけるほか、毎年、新作舞台を精力的に制作。沖縄県内はもとより、県外、国外にも支持者を増やしている。
代表作に現代版組踊『肝高の阿麻和利』、現代版組踊『大航海レキオス』など多数。著書は詩集『南島詩人』、『歩く詩人』(冨多喜創)。
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