三線名器・富盛開鐘を人間国宝が響かす

三線の名器として琉球王朝時代から伝わる「富盛開鐘(とぅむいけーじょー)を聴く会」が沖縄県立芸術大学の開学記念日の特別企画公演として、先日(5月15日)大学内の奏楽堂で行われました。
一般にも広く鑑賞してもらおうと入場無料で行われ、三線や古典ファンなど約400名がつめかけ、満席で上演されました。

およそ300年前に作られたという歴史に名を成す富盛開鐘は、旧東風平村富盛の豪農が所蔵していたとされる名器で、戦後、ハワイの古典音楽家・仲宗根盛松氏が所蔵していたところ、ハワイに度々でかける機会のあったジミーベーカリーの社長・稲嶺盛保氏が仲宗根氏と交流を重ねる中でこの名器に惚れ込み、何度も何度も譲ってほしいと熱望してやっとの思いで買い取ることができ、ハワイから沖縄へ持ち帰りました。
その棹を、1987年には芸大に寄贈したというユニークなエピソードを持っています。

その後、1994年に沖縄県の指定文化財となり、昨年('06)には胴(チーガー)の部分を翁長良明氏が芸大に寄贈したことで、棹と胴が組み合わさった三線として、名器・富盛開鐘が蘇り、開学記念特別公演として初めてお披露目演奏となったのでした。

富盛開鐘を演奏したのは、沖縄県が誇る重要無形文化財保持者・人間国宝の照喜名朝一氏、島袋正雄氏、城間徳太郎氏。人間国宝から奏でられる悠久の音色は、3人3様の魅力で観客を惹きつけ、歴史の音を感じ取ろうと熱心に観客も聞き入っていました。
また、人間国宝の宮城能鳳氏が名器の音色と共に「諸屯(しゅどぅん)」の踊りも披露し、厳かで優雅な貴重な公演となり会場からは熱い拍手が送られました。

この公演について、名器を管理している同大学内図書館所蔵庫関係者から「次という機会があるかどうかもわからないほど貴重な公演でとても感動しました。というのも、県の文化財として普段は蔵の中で厳重に管理しているもので、文化財に触ることそのことさえ滅多に実現できることでは無く、ケースに入れて大切に保管されているものです。今後、人前に出すことがあるかどうかもわからない程の貴重な機会だったのです。
棹と胴が組み合わされた事としては初のお披露目となり、まったく奇跡的な演奏会でした。
また、人間国宝の方々に弾いていただくとしても、とても慎重に扱わなければならず、本番1時間前にようやく所蔵庫から出す事が出来て、そこで初めてご使用頂いた程でした。それくらいですので、先生方も調弦(チンダミ)に苦労されていた様子でした。」と、この演奏会の実現そのものが、非常に稀少な機会だったことにあらためて感動をかみしめていました。

琉球王国時代の三線の名器にだけ与えられた“開鐘(けーじょー)”という貴重な尊称の三線・富盛開鐘。次に演奏が聴ける日が来るかは誰にもわからない。歴史の音を聴けた貴重な機会に感謝と感動を忘れずに、琉球の時代から伝わる名器を後世にもずっと伝えて欲しいと願います。
いつの日かまた機会あるまで、富盛開鐘は芸大の所蔵庫に管理され、静かに歴史を繋いでいます。
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