音楽で未来を考えた日『PMF'09from宜野湾』

ryuQ編集室

2009年09月30日 09:00


“平和と環境を守る”ことを音楽やアートで表現するこのイベント。今年の『Peace Music Festa!'09 from宜野湾(わったー地球(しま)はわったーが守る)』には、加藤登紀子、UAソウル・フラワー・ユニオンドナール・ラニー、アイヌの伝統楽器を使ったOKI DUB AINU BAND、L.A.からはOZOMATLIらのアーティストを迎え、沖縄のアーティストなど14組のアーティストと、創作エイサーやHULAの披露と9時間に及ぶイベントが、9.21に宜野湾海浜公園にて開催された。

会場入り口では、Peace Music Festa(以下PMF)のTシャツやタオル、ステッカーなどのグッズが並ぶ。会場内ブースでは、飲食コーナーだけでなく、辺野古・高江の状況を知らせたりするパネル展示やアートを描いて表現する人もいれば、そのほかにも子供の休憩場所ブースなどが設けられていた。

昼12時。沖縄民謡・照屋政雄の演奏で幕開け。KACHIMBA1551、Shaolong To The Sky、DUTY FREE SHOPP. feat. G.A.C(HIPHOP・糸満)と各アーティストの演奏が続く。DUTY FREE SHOPP. feat. G.A.Cの『カーミヌクー』では若手民謡唄者・村吉茜も参加。そのままステージは絡む形でカクマクシャカが登場。「なぜ宜野湾での開催となったか?」については前回掲載されたインタビュー記事を読んでいただくとして、実行委員でもある知花竜海(DUTY FREE SHOPP.)とカクマクシャカが、沖国大に墜ちたヘリの事故に対して『民のドミノ』という歌が生まれた。そしてこの曲が種となり、現在のような音楽フェスに意識が繋がっていったことには違いなく、その『民のドミノ』を含め数曲のメッセージソングが会場に響き渡った。

「沢山の方たちがいろんな形で関わってくれてありがとう。沖縄は問題が沢山あるところだから、空と海だけで楽しいことだけやっていきたいなーと気持ちになりがちなんだけど、今、自分達の世代で止められることは止めておかないと子供たちが大変なことになるから、今のうちにつぶしておこう。」と知花竜海はステージでコメントを発表した。

初回より参加している名護から参加の山原Ragga兄弟(やんばる・らがー・ちょーでー)のDJタイムの後には、OKI DUB AINU BANDが参加。アイヌの伝統弦楽器トンコリをベースにドラムンベースに絡めたダブサウンドで雨の会場を躍らせた。
新良幸人 with サンデーで登場の新良幸人は、「辺野古にも白保にも良いことがおきますように。良いことがたくさんあって唄って、踊って泡盛を沢山飲んで。」のメッセージを伝えながら八重山の唄を中心に披露。そのままドーナル・ラニーを迎えセッション。
今回のイベントでは、登場しているアーティストが次に登場するアーティストを紹介し、コラボレーションで音を繋ぎ次の音へと輪を繋げてゆくステージが多く見られた。

太陽風オーケストラの演奏後に上間綾乃(民謡歌手)も参加し、そしてここで真っ赤なドレスを身に着けた加藤登紀子が現れると会場は「オトキさーん」コール。モンゴル800の『あなたに』や『百万本のバラ』を歌いながらステージから客席に降り観客席の中を歩くと、歓声で力強い手拍子で会場はオトキさんの声に包まれた。「アメリカも今、変わろうとしている。私達はいつからでも生まれ変われるのよ。」と新曲『1968』も披露し、続く『Never give up tomorrow』の2曲はカクマクシャカのメッセージを乗せ「〜Never give up〜」をリフレイン。“大好きな歌”という『アッチャメー小』のカーチャーシー曲で場を締めた。


この新曲『1968』は、様々な出来事があった1968年に「今年は振り返ってみたい」という歌だそうだ。沖縄の課題だけではなく世界の視野で歌に乗せたメッセージを広げていく姿。改めて彼女という存在の大きさに気づかされた時間だったように思える。


米国のL.A.からは、まさにぶっつけ本番で現れたOZOMATLI(オゾマトリ)。反戦や反貧困をメッセージに込め、多国籍なスタイルで世界的に話題を呼んでいる彼らだが、東村出身の三線奏者・城間竜太も演奏に参加し、演奏開始から終了まで会場を眠らせなかったほどの熱気に包まれ、最後メンバーは客席に降りトレインで終了となった。


以前、高江でのライブも行ったUAが登場する頃には日も落ち、すっかり秋の夜。UAは新アルバムのツアーメンバーがそのまま沖縄入り。会場で作られていたブーゲンビレアのレイが黄色い衣装に映えていた。そしてソウル・フラワー・ユニオンと最後、出演者再び全員登場のカチャーシーで、『Peace Music Festa!'09 from宜野湾』は幕を閉じた。


総合司会には沖縄のインディーズバンドを多く世に紹介し続け、現在は自ら“エコ番長”と名乗るKEN子が務めた。
最後に、PMFの感想や気づいたメッセージを彼女からいただいたので紹介したいと思う。

KEN子:「最初から最後までこんなにも満足させてくれるメンツ揃いのイベントは見たことないです! しかも沖縄で! 何よりも、出演者の皆さんもお客さんもボランティアスタッフも関係者も、みんながいろんな「想い」を持ち寄って出来ているイベントだという事を改めて感じる事ができました。

個人的に『PMFエコ番長』としては、皆さんのご協力のお陰で、今年も業者に頼んだのが何とゴミ袋8つで済んだ事に感動しました! このイベントに関われた事と、関わって下さった全ての皆さんに心から感謝しています。

そして最後に、約1年もの間、本当に自分の時間や生活を削って頑張ってきた実行委員の仲間達と、大問題に取り組み続けている“現場”の皆さんに、心から敬意を表したいです。」

平和や環境のこと、こうした音楽イベントは、「好きなミュージシャンが出演するから。」そんな動機で足を運んでもらってもいいと思う。そしてそこからいろんな人たちが何を発信しているのか、身体で感じ体感できるのが音楽の力。そしてそのあとどう行動するのか、それはまた自分たち人間次第。

くしくも政権交代で泡瀬干潟の開発が中断・中止が発表された直後の開催だった。また普天間基地移設問題についても注目されている。そんな時期、改めて普天間基地がある宜野湾市でイベントが開催された意義を感じた1日だった。

(文: YANTY、写真: YANTY+KUWA&P2)

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