伊是名島のシマおこし劇「尚円王 〜松金がゆく」(前編)

ryuQ編集室

2008年03月11日 09:00


今帰仁村の運天港からフェリーで1時間。沖縄本島から北へ約27キロの東シナ海に浮かぶ伊是名島は、琉球王・尚円王(松金)のふるさと「生まれ島」。

悠久の歴史ロマンあふれる、海ギタラ、陸ギタラの大岩の景勝美。のどかで豊かな田園、海、山の自然の美しさ。

琉球王朝時代をしのぶ史跡の数々、神秘なる聖域の深き歴史など、伊是名島にはたくさんの魅力があります。

昨年、この島出身の英雄『尚円王』(しょうえんおう)にスポットをあて、島を追われたひとりの農民がのちに琉球国王となった数奇な運命を見つめ直し、島の誇りとして、島の発展振興につなげようと舞台劇に取り組み、大評判となりました。

出演者は村内の小中学生を中心にキャスティング、地謡もオール伊是名村民の約100人出演による伊是名島歴史ロマン舞台村民劇『史劇 尚円王 〜松金(まちがに)がゆく』は、原案・高良倉吉、シンボルキャラクター及び美術監修・名嘉睦稔、音楽監修及び主題歌製作・名嘉常安のすべてに伊是名島出身者が携わり、島ブランド創出作品として、まさに島の力が結集され村(島)と浦添市での公演の計4回の上演を行い、いずれも大入りの観客を集め大成功を収めました。

そして今年、2008年3月29日(土)伊是名島でこの舞台にまた会えることになりました!

只今、本番直前の猛練習の真っ最中で、史劇『尚円王 〜松金がゆく』の舞台に取り組む伊是名島へといち早く渡り、そのホットな様子を皆さんにレポートしたいと思います。
島おこし劇の本番に向けて練習に励む島人の熱い想いをお届けします!(↓)

ねじりハチマキ姿がトレードマーク、これまで同様舞台の演出はコーチの愛称で親しまれるフリーの舞台演出家「みうらともお」さん。

稽古場では活力ある声で激を飛ばして熱血指導中!

——史劇『尚円王 〜松金がゆく』の本番公演に向けて、準備状況はいかがですか?

演出家・みうらともお:これまでの上演があったといっても、今回は今回でつくるものです。新しい参加者も入りましたので経験の有無のバランス、自己の力を発揮するまでの「はじけかた」に今力をいれています。

なかなか気持ちがあっても舞台にあがるとうまく表現できないこともありますから、まずは体を使う基本も重視しています。

——まずは走ったり、準備運動の体操などしっかりやってから、セリフや立ち稽古なんですね?

演出家・みうらともお:昨年の本島公演から、だいぶ時間が開きましたから、感覚を取り戻す必要があります。
忘れてしまっていることを思い出す作業も重要ですから、ついつい「まだまだ声が小さいー!!」とか怒鳴っています(苦笑い)。

——そしてもうすぐ史劇『尚円王』が上演されますが、今回の演出に力を入れているところや舞台の見所を教えてください。

演出家・みうらともお:上演会場が毎回違うので、舞台演出で、会場の舞台をいかして出来ること、出来ないことが物理的にあると思うのです。
たとえば美術やライトなどの演出部分まで、場所に合わせていかにうまく対応して演出するかということですが、芝居そのものの表現力は変えずに、島の作品として、島人でつくりあげる心意気を大事にします。

そして謎が多いといわれる松金が、のちに尚円王になってゆく歴史ロマンの物語を、パズルを1つ1つハメ込むように作り上げようと思っていますから、尚円王になるまでの島にいた時代の松金へ、ぜひ想像を膨らませて観てもらいたいです。

島は今も歴史を繋いでいます。松金には会ったことがないからこそ、想像(創造)で出来る演出があるんです。芝居だからこそ表現出来る醍醐味を、ぜひ観てほしいですね。

——みうらさんは、もうどのくらい演出や舞台の仕事をされているのですか?

演出家・みうらともお:私自身が芝居に関わり25年余りです。
今まで芝居を通していつも思うのは“芝居(舞台)づくりは仲間づくり”、“心と心のぶつけあいで築きあがるものだと”そう思っています。

だから、松金がどんな「巡りあい」でどう歴史の道を進んだのか、まさに歴史の仲間になりに島の人たちと体感しながら観てもらいたいと願っています。

春休みの公演ですから、
この機会にぜひ尚円王ゆかりの伊是名島へ。
歴史にふれあいながら、旅行も兼ねて舞台を観に、
琉球王のルーツ・伊是名島へと多くの人に見に来てほしいですね。

※後編では舞台に出演するこどもたち、伊是名島出身の音楽監督・名嘉常安さんのインタビューや、出演する皆さんからの“島の想い”を紹介予定です。どうぞお楽しみに!
→ シマおこし劇『尚円王』後編

※史劇 『尚円王~松金がゆく~』公式ブログはコチラ
http://izena88kingkanamaru.ti-da.net/

(文: 吉澤直美、編集+写真: KUWA、取材協力: 伊是名村)
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