ビジュアル・タウンブック『FUTENMA360°』

ryuQ編集室

2010年06月23日 09:00


ぐる〜り、街の魅力
パラパラめくってフテンマ・トリップ


基地の移設問題で全国的にも名前が浸透した普天間。世界一危険な基地がある街、とも言われています。
しかしその宜野湾市の中央に位置する基地を取り囲んだ360°=ドーナツ状に広がる生活圏には、93,000名もの市民が生活をしているのです。

「ぎのわんの地域ブランドって何だろう?」
平成20年度より宜野湾市商工会が取り組みをはじめた “ぎのわんブランド確立支援事業”。これは宜野湾市の地域ブランドをつくるために立ち上がった事業で、今回、宜野湾の街を隅々まで網羅したユニークなビジュアル・タウンブック『FUTENMA360°』が本日6月23日(沖縄慰霊の日)に発売!
“ぎのわんブランド策定委員会”のメンバーでもあり、編集を担当したオフィスユニゾン代表の三枝克之さんにお話しを伺いました。

——地域ブランドというと、たとえば宜野湾なら名産のターンムとかになるのかな? と思ったんですが、こういう形で本が出来たというのはちょっと意外でした。

オフィスユニゾン・三枝克之(以下、三枝):そういう名産品というのももちろんですが、今、宜野湾は基地の街としかイメージがなく、基地=問題のある街という報道しかされていないんです。でも実際は? と言えば、国籍数47カ国の人々が住んでいるし、とても多様性のある多国籍な街なんです。

そうした中で地域ブランドって何だろう? と考えた時に、「まずは普天間の事実・現実を見てもらおう」と、“FUTENMA+チャンプルー”をブランド・コンセプトにこの本を作りました。

——レイアウトがとてもユニークで、アナログっぽいランダムな感じですが、テーマの分け方もとても面白いですね。

三枝:アナログっぽくは見えますが、実際技術的にはアナログではできないデジタルな作業です。巻頭(P8)のこの16のエリアマップを見ていただいて、さらに次のページ(P10)を見てもらうと分かりますが、16エリアをさらに細かくページごとに分けています。これをそれぞれのページで見てもらうと、ドーナツに沿って立体的になるような、つくりになっているんです。

基地の街であるという長い歴史の是非はひとまずおいておき、(基地が)「ある」ことを前提で、本を通して街の様子をまずは見てもらえればと思います。

専門家であるプロデューサーやクリエイタ—から見たら、多様性のあるこの宜野湾市はなかなか面白い街だと思います。そして、こういう本をつくる宜野湾にまずは興味を持ってもらい、「ギノワンって、フテンマってなんか面白いんじゃない?」と感じた才能ある人たちが集まってくる場所を作りたいのです。そしてこの地域で人材が育つことで、地域のブランド力が高まっていくのではと考えています。

リアルな普天間が体感できるヴィジュアル・ブック
を持って街を歩こう


パラパラとページをめくると、おそらく県民でも知らない宜野湾市がたくさん紹介されています。ターンム畑の緑や色鮮やかな花をはじめ、赤瓦の家や外人住宅、食堂やオシャレなインテリアショップ、街の看板やカラフルな建築資材など、地域や風景、文化や民族、色や空気etc…、と基地を中心に様々な視点で写し出されたユニークなタウンガイドとなっていて、思わず本を散歩のお伴にして同じルートを歩きたくなってしまいます。
また、本の最初と最後の航空写真では、基地前、基地後の写真が紹介されています。まずはこのふたつのページを見比べてみてください。上空からしか伺えない昔と現代の様子が写っているのですが、ぜひこれを見てもらえたらと思います。

普天間には今も琉球八社のひとつとして県民に多く愛されている普天満宮があり、基地と並ぶ街のシンボルです。
私たちが普段、テレビを通してよく目にするのはフェンスの姿だと思いますが、フェンス越しにしか普段様子を伺えない基地の存在はたしかに事実だけど、まずは「じゃあ、フテンマってどんな街? 」と考えた時にフラットな気持ちでリアルな普天間の風景を、まずは『FUTENMA360°』でご覧頂けたらと思います。

本だけに限らず宜野湾を楽しみながら知ってもらうために、すでに次のアイデアもあるそうで、これからの展開がとても楽しみですね。

また、宜野湾商工会では「ぎのわんブランド」確立に向けて、『FUTENMA360°』とも連動して、WEBサイトをスタート。本の中で紹介されているお店はもちろん、紹介しきれなかったお店や情報なども順次登場する予定だそうです。

Futenma Champloo
→ http://www.futenma-champloo.com/

宜野湾市では、4月にご紹介した「ふてんま結いちば」もスタートしており、こちらは普天間情報発信などを複合的に推進する拠点として、人が集い、賑わい、一緒に楽しむ場所の総合的な意味を持つ「いちば」として動きだしています。
面白い試みを次々に展開している宜野湾市。これからも注目していきたいですね。そしてぜひ宜野湾を歩いてみてください。

詳細:
『FUTENMA360°』(フテンマサンビャクロクジュウド)
本体価格1,500円(税込価格1,575円)
タテ148 × ヨコ148mm(正方形)/192ページオールカラー/並製本、表紙小口折り
ISBN978-4-9905054-0-0 C0026
2010年6月23日(沖縄慰霊の日)発売
※書店・Amazonで発売。


出版:
企画 宜野湾市商工会/ぎのわんブランド策定委員会
発行・販売元 ビブリオユニゾン
発行人 三枝克之


関連サイト:
ぎのわんブランド策定委員会 http://www.futenma-champloo.com 
販売・編集元 オフィスユニゾン http://www.cafe-unizon.jp/office
       三枝克之 http://www.cafe-unizon.jp/mieda


(文+写真:NAYUTA、写真+編集:KUWA)

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