宮古島古来の伝統芸能・クイチャーの現在〜そして未来へ。

宮古島の古来からの伝統芸能といえば“クイチャー”。もちろん獅子舞や棒術などもありますが、それらは沖縄本島からの流れによるものといいます。
では、宮古の誇る古来からのクイチャーとはいつぐらいからあったのでしょうか? そもそもクイチャーとは、王の為の琉球古典芸能ではなく、宮古島の人々の為の芸能。文献は多くは支配者である王家が書き残したものですから、民俗的な記録は少ないものです。文献でようやく確認できるのは、古くは1701年の宮古島の『御嶽(ウタキ)由来記』で、琉球の王に披露したことが記録されていますから、おそらくそれ以前からすでにあったのではと推測されます。

苦しい人頭税を納めたあとに舞い踊ったり、豊作祈願や雨乞いなどのニガイ(願い)のための予祝芸能でもあったクイチャーは“宮古の人々の魂の踊り”。そうやって先人たちが繋いできたクイチャーを未来に継承しようと、人頭税廃止100周年の2002年から開催されはじめたのが『クイチャーフェスティバル』。宮古島各地の伝統クイチャーが一堂に集う機会となり、さらには子供達にも伝えたいと創作クイチャー部門も新設されたという温故知新の催しです。

「あくまでもクイチャーフェスティバルでは、伝統クイチャーと創作クイチャーの2つを柱にしているのは、若い人たちを繋ぐために創作クイチャーも重要であるからなんですね。
新しいものと向き合う事で古い伝統にも向かうことになるのでは。それこそが新しい再発見だと思うんですよね。」と、『クイチャーフェスティバル』の実行委員長・下地暁さん。

それでは創作クイチャーについて、同大会の第1回目から参加している創作クイチャーチーム『新羅』の創設メンバー・前里昌吾さんにも伺ってみました。
「宮古の地方各地ではみんな小さな頃から地域の保存会とかに参加してクイチャーを経験していたりするんですけど、自分自身の場合は街中の平良の出身で、子供の頃から行事としてのクイチャーに関わる事がまったく無かったんですね。そのせいか、以前は興味もありませんでした。ところがクイチャーフェスティバルをきっかけにして挑戦してみようと思いました。
結婚式とかに出席するとみんな日常的にクイチャーをやったりしているから、基本的なクイチャーは踊ることは出来るんです。」

「それぞれの地域で、自分たちは自分たちの集落のクイチャーしかわからないんですよ。歌はどこか似通っていたりはするんですが、実は各地域で踊り方が違うんですよね。」とは、伝統クイチャーのひとつ『荷川取(にかどぅい)のクイチャー』の代表・与那覇秀夫さん。
創作クイチャーの前里さんたちも、伝統クイチャーを実際に体験して気が付いたことがあるのだとか。
「実際はじめた時などは、見よう見まねでやりながら、とにかく自分たちらしく格好良くやろうと頑張っていたんですけど、ある日、伝統的な『荷川取のクイチャー』を習う事がありました。
その時は『新羅』からの参加としてではなく“今回特別に『荷川取クイチャー』のメンバーとして教えてもらえる”という事になり、メンバーに入れてもらう事ができたんです。
そこで、本物の伝統クイチャーの格好良さを身体全身で感じました!」
その“伝統クイチャーの格好良さ”とは何でしょうか、と問うと、
「クイチャーはやはり、“魂で踊っている”というところではないでしょうか。声と足踏みと三線だけなんだけど、心に染みいります。」

そして、その感動体験を自分たちの中に留めるだけでなく、
「クイチャーの魅力と誇りを知ったからには、それを今度は子供達に伝えて、途絶える事なくやろうと決意しました。
それは、クイチャーを覚えてもらう事で、僕らが子供達に教えたようにいずれは後輩がまた次の後輩達に伝えてくれるだろうという希望を持っています。」と語る前里さん。


「今回のクイチャーフェスティバル2008ように、久松のクイチャーが初参加したり、クイチャーフェスティバルがきっかけで保存会ができたりしました。そしてまたクイチャーを踊るには必ず歌(アーグ)が必要なんですね。
なのでアーグの掘り起こし、歌える人たちを育てていく。また、かつて宮古各地には100はあったといわれている各地のクイチャーをいかに復活させていくか。そういうのが今後も必要だと思うんです。
ただ歌って踊ってだけでおわることなく、もっともっと掘り下げていきたいですね。」

宮古が誇るクイチャーは、アララガマ精神、アイデンティティー、そして魂の踊りです。
■第6回クイチャーフェスティバル2007直前インタビュー
→http://ryuqspecial.ti-da.net/e1801834.html
(by.下地暁インタビュー)
■第7回クイチャーフェスティバル2008イベントレポート
→http://akmiyako.ti-da.net/e2271863.html
(by.宮古のWEBマガジン『あんちーかんちー』より)
(文+写真: 桑村ヒロシ)
(取材協力: クイチャーフェスティバル実行委員会、D介さん)
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