多良間島の節祭『スツウプナカ』[起源編]
![多良間島の節祭『スツウプナカ』[起源編]](http://img01.ti-da.net/usr/ryuqspecial/070703blog_top.jpg)
多良間島の伝統祭祀『スツウプナカ』といえば、『多良間の八月踊り』と並ぶ2大祭祀のひとつ。
多良間島では節祭にあたり“豊年を祈願する”まつりといわれています。
また、祈願するだけではなく“感謝”が何よりも大切なのだというのが、このお祭りの起源にあたるようです。
そこで、その起源について、またこの祭祀の中でいう“感謝”とは?
脈々と受け継がれている伝統行事の中から、祭祀『スツウプナカ』についてその原点に触れてゆきたいと思います。
(※文中、多良間独特の発音(リに○など)については既存の文字で表記できず、ルなどに置き換えさせていただきます)
![多良間島の節祭『スツウプナカ』[起源編]](http://img01.ti-da.net/usr/ryuq100/line_520px.gif)
このスツウプナカという祭りの起源については、祭祀で歌われている神歌の中にもその云われが残っているようです。
スツウプナカでよく知られた歌といえば“ヤッカ ヤッカ”というお囃子が特徴的な『ユノーレガ』ですが、歌詞の中にもその云われを垣間見ることができるのは『ニル』とよばれる神歌。(また、文献からも確認することができました)
![多良間島の節祭『スツウプナカ』[起源編]](http://img01.ti-da.net/usr/ryuqspecial/070703b.jpg)
例えば『カディカルヌニル』という神歌は、なんと100番を越える歌詞が続くのです。それらのニルの中で度々登場する名前が、ウイグスクカンドゥヌやカデカルヌウヤ。
ウイグスクカンドゥヌとは、この島の農業の指導者で働き者であり広大な粟畑をいつも豊作に実らせていたのですが、ある年から収穫の時期になると荒らされるようになりはじめました。
このような事件が何年か続いたので、カンドゥヌは畑で寝泊まりしながら番をしていると、夜半に犯人が忍び込んできました。近づいてみると、なんとそれは人間ではなく異形の者たち。
![多良間島の節祭『スツウプナカ』[起源編]](http://img01.ti-da.net/usr/ryuqspecial/070703c.jpg)
棒を使って追い払おうとすると、北側の海へと逃げ出し、ナガグーと呼ばれる珊瑚礁の沖のほうまで走り、白波の立っているところでそれらは足を止めました。
そのうちの一体がくるりとカンドゥヌのほうに向かい、こう言いました。
「私たちは、竜宮の神の使いである。そなたは作物を作るのは上手だが、肝心なことが足りない。何だと思うか?
人間というのは、作物の実りを見守り育てている神々への感謝を、どうやら知らないようだ。
もしこれからも豊作を望むのならば、毎年、初収穫後の作物を供え、竜宮の神や諸々の神々に感謝するがよい」とお告げを残し、海へと消えていったのだとか。
カンドゥヌはその翌日からさっそく感謝祭の準備をはじめ、その年から毎年感謝を捧げる祭りをとり行うようになりました。
それが、スツウプナカのはじまりだといいます。
![多良間島の節祭『スツウプナカ』[起源編]](http://img01.ti-da.net/usr/ryuqspecial/070703a.jpg)
今も私たちは、作物がたわわに実るのは人間の知恵(頭)と農業技術(テクニック)によるものだと思ってしまっているところもあるかもしれませんが、このような神話や伝統行事の中に、今では忘れ去ってしまった何か大切なもの(心)を、ふと思い出させてくれるような気がします。
そしてこの神話には、まだまだ続きがありました……。(続きを読む をクリック)
ある年、旧暦5月の粟の収穫ができず、カンドゥヌは祭りを延期したいので、神様に延期願いをしてほしいとカデカルヌウヤに依頼。それを引き受けたカデカルヌウヤは人形をたくさん作り、
「この者(人形)たちが祭りを延期してほしいと頼んでいますが」と、竜宮の神に祈願。
すると突然、竜巻が起こり、人形もろともカデカルヌウヤまでその竜巻に巻き込まれて消え去ってしまい、二度と地上には戻らなかったのだとか。
カンドゥヌは、スツウプナカの祭りの中で、彼の犠牲にも感謝を捧げるようになったといいます。
![多良間島の節祭『スツウプナカ』[起源編]](//img01.ti-da.net/usr/ryuqspecial/070703d.jpg)
現在も旧暦5月頃、壬立(みずのえたつ)には、神を祀る『カンガウェー』。
癸巳(みずのとみ)には、人間側の祭り『ピィトゥガウエー』と、2日間にわたりスツウプナカは行われています。
そして、琉球弧の中でも珍しく特徴的なのは、男性が中心となって祭祀を司る行事となっているところです。
またその準備も、成人男性を中心にほぼ村総出のような団結力の中で、厳かに行ってゆくのでした。
その様子を、明日の特集では『スツウプナカ体験記』として掲載予定です。(体験記につづく)
(取材協力:各字の皆様、多良間島観光サービス様)
(参考文献:『多良間の文化財』、『多良間村史』)
「この者(人形)たちが祭りを延期してほしいと頼んでいますが」と、竜宮の神に祈願。
すると突然、竜巻が起こり、人形もろともカデカルヌウヤまでその竜巻に巻き込まれて消え去ってしまい、二度と地上には戻らなかったのだとか。
カンドゥヌは、スツウプナカの祭りの中で、彼の犠牲にも感謝を捧げるようになったといいます。
![多良間島の節祭『スツウプナカ』[起源編]](http://img01.ti-da.net/usr/ryuqspecial/070703d.jpg)
現在も旧暦5月頃、壬立(みずのえたつ)には、神を祀る『カンガウェー』。
癸巳(みずのとみ)には、人間側の祭り『ピィトゥガウエー』と、2日間にわたりスツウプナカは行われています。
そして、琉球弧の中でも珍しく特徴的なのは、男性が中心となって祭祀を司る行事となっているところです。
またその準備も、成人男性を中心にほぼ村総出のような団結力の中で、厳かに行ってゆくのでした。
その様子を、明日の特集では『スツウプナカ体験記』として掲載予定です。(体験記につづく)
(取材協力:各字の皆様、多良間島観光サービス様)
(参考文献:『多良間の文化財』、『多良間村史』)
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この記事へのコメント
KUWAさん!
お疲れ様でした~!玄さんも「おっ!詳しく書いてあるなぁ~・・・」と感心しております!
続きを楽しみにしていますね!
お疲れ様でした~!玄さんも「おっ!詳しく書いてあるなぁ~・・・」と感心しております!
続きを楽しみにしていますね!
Posted by 緑茄子多摩子
at 2007年07月03日 00:06

写真を見てビックリ!
知った顔、
知ったネット友達、
多良間島の島人さんは、
皆元気そうで何よりです・・・
また、何時の日にか、
私の大好きな島・多良間島へ・・・
知った顔、
知ったネット友達、
多良間島の島人さんは、
皆元気そうで何よりです・・・
また、何時の日にか、
私の大好きな島・多良間島へ・・・
Posted by 風人 at 2007年07月03日 23:37
緑茄子多摩子さん>
取材中は、大変お世話になりました!
また、玄さんにもよろしくお伝えください。
どうもありがとうございました!!
取材中は、大変お世話になりました!
また、玄さんにもよろしくお伝えください。
どうもありがとうございました!!
Posted by ryuQ編集室
at 2007年07月04日 11:59

風人さんは、
多良間島をはじめ、琉球の島々にたくさん旅をされて
いらっしゃるのですね!
緑茄子多摩子さんからも風人さんとの交流会の話題が出ていましたよ^^
多良間島をはじめ、琉球の島々にたくさん旅をされて
いらっしゃるのですね!
緑茄子多摩子さんからも風人さんとの交流会の話題が出ていましたよ^^
Posted by ryuQ編集室
at 2007年07月04日 12:02

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