『沖縄 暮らしのしきたり読本』著者・比嘉淳子に聞く【第2話】

ryuQ編集室

2008年10月10日 09:00


新刊『沖縄 暮らしのしきたり読本(御願・行事 編)』(双葉社 刊)を出版された比嘉淳子さんに、旧暦や沖縄の季節のこと、あの世とこの世についての言い伝えの黄金言葉など語って頂きました。インタビュー第1話に続き、その[続編]です。

第2話「旧暦と、あの世とこの世」編

――この本の第1章では、暦や季節の事も書かれていますね。

比嘉淳子:沖縄の季節は“風が運んできてくれる”んです。季節毎に“風”の名前がつけられていますよね。例えば、『ニンガチカジマーイ』だったら急に海が荒れるので「神様が怒っているから海に行かないほうがいいよ」と、海へ漁には行かないようにと危険信号だったり。
沖縄は自然崇拝なのですが、風も含めて自然が神でもあるんですね。そして自然と共存していた。そのように季節毎の節目(暦)が、行事とも結びついているんです。

――自然といえば、沖縄は旧暦が行事とリンクしていますよね。やはり、自然の理に適っているのでしょうか。

比嘉淳子:旧暦一日(新月)、旧暦十五日(満月)は農作物にも関係してきますし、海の珊瑚の産卵などもそうですよね。また人間も自然の一部で、生死も満月とか新月に関係があったりしますよね。

――旧暦のリズムだとそれが実感しやすく、新暦だとその感覚がわかりにくくなってしまいますよね。
現代ではそのリズムを無視して化学肥料で季節関係なくどんどん作物を作ってスーパーに並ぶので、ますます何がタイミング(旬)なのかがわからなくなっていますね。


比嘉淳子:でも、旬のものでは無い(化学で操作した)時期外れな作物や、その土地のものでは無いものを食べると、それがアレルギー(身体が拒否)などを引き起こす原因のひとつになっているかもしれなくて。
自然の領域を侵すのは、神の領域を侵すのと同じようなものだと思うんです。

――そしてもうひとつ、「はじめに」の後半に書かれた黄金言葉「グソーは雨どいの下にある(後生は雨垂いぬ下)」について、解説して頂けますか?

比嘉淳子:沖縄では死んだら終わりではなくて、あの世は身近にあって「いつでも(後生の)おじいちゃん、おばあちゃんは身近にいるから、悪いことはできないし、おじいちゃん、おばあちゃんへの感謝の気持ちを持ち続けて」というのがあるんですね。
「あの世とこの世は近くにあるからこそ“生き様が大切”なんだ」「それが先祖代々から脈々と受け継がれてゆくのだから、“子孫にも誇れるような人”でありなさい」という意味の黄金言葉なのです。

第1話「原点(昔ながらの教え)にヒント。そして良心を育むこと」編(只今掲載中)
第2話「旧暦と、あの世とこの世」編(10/10(金)掲載!)
第3話「火ノ神(ヒヌカン)」編(10/11(土)掲載予定)


(取材+写真: 桑村ヒロシ、取材協力: チームくがに)

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