『共同売店』が那覇の老舗市場・栄町にやってきた![前編]
「共同売店」「共同店」をご存知ですか?
主に、沖縄県内北部『やんばる地域』や離島のあちらこちらで、
地元の暮らしに必要な品物なら大体何でも売ってる地域密着型の
コンビニ的な売店が「共同売店」です。
沖縄でドライブしている途中に何げなく利用したり、
看板や建物をドライブしながら、
「アレは何屋さんかな?」と見かけている人も多いのでは?
さて、この「共同売店」、実はただの売店(商店)ではありません!
今から100年以上前に沖縄県の一番北にある「奥」集落で生まれた
沖縄ならではの相互扶助精神を基にした商店で、
地域住民が株主(出資者)となって共同運営する売店です。
県内各地に、必然性から誕生した商店なのです。
発祥である「奥共同店」は2006年に100周年のお祝いも盛大に行われ、
今年2008年6月には、これまでの記録をまとめた100周年記念誌
も発売になる歴史ある売店なのです。
つまり、大手コンビニチェーン店が国内各地に登場するずっと以前から、
沖縄では沖縄生まれの一番身近なコンビニ的なお店として
各地域に今も欠かせない“まちの商店”なのです。
しかも、買い物するだけでなく、
かつては投資預金、貸付なども信用授受で行われ、
困ったときには助け合うシステムも大いに活用されてきました。
共同店から借りたお金で子供の学費を工面した話などもたくさんあり、
頼もしい地域住民の味方であるのです。
なにより地域コミュニティーステーションとしての役割が大きく、
共同店でのゆんたく(お話)やふれあい(対面買い物)は、
そこで暮らす人と人のつながりを育む大事な場所であり、
特に車を運転できない高齢者には歩いて買い物にいける身近なお店はとても大事。
それに離れて暮らす遠方の家族が売店に電話をして、
おばーちゃんやおじーちゃんが元気に買い物にきてるかどうかなど暮らしぶりを
それとなく尋ねたりすることもあるなど、
地域を結ぶコミュニティネットワーク店でもあるのです。
でも、どうしても過疎化や、コンビニ、大型店舗の登場、道路の発達などで、
今では運営が厳しくなり、こうした共同店も減りつつある(閉店せざるえない)
のもまた現実…。
そこでこうした大事な沖縄生まれの元祖コンビニ&コミュニティステーション
である共同店の魅力や存在意義を一般に広め、地域での活用だけでなく、
多くの利用を促進しようと、
県内の共同店を網羅したガイドブック
『共同店ものがたり』(季刊カラカラ別冊)
が沖縄大学教授・宮城能彦監修で2年前(H18)に発売され、
合わせて
共同売店を応援するファンクラブも立ち上がり、
PR応援活動開始しています!
これまでにも、県内外で写真展やフォーラムなどを展開し、
共同売店の必然性と魅力をアピールしてきましたが、
先日(5月10日〜24日まで)、那覇市の老舗市場・栄町を会場に、
前島アートセンターと主催で、共同売店写真展を軸に、
実際に株主制度での運営する共同店(駄菓子屋)も特設して、
体験する
共同売店や魅力を語る座談会を開きました。
那覇に登場した共同売店と栄町市場のコラボレーションのふれあいを
このあと[後編]でお伝えします。
(
引き続きどうぞご覧下さい→)
(文+写真:
吉澤直美、編集+撮影:
KUWA)
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