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フーアーユーと聞いたら、「フーズ麩ー」と麩ーは応えた

フーアーユーと聞いたら、「フーズ麩ー」と麩ーは応えた
 今月は、味噌汁や吸い物の実として利用されることの多い「麩」を紹介したい。汁物の実だけではなく地域によって煮物やすき焼きに使われることもあるというが、それでも日本料理界において「麩」は、料理の引き立て役が中心で、芝居でいう脇役も脇役3番手、4番手、いやそれ以下の脇役に徹していて、目立とうとしても主役を食うことのできないポジションにある。しかし、沖縄料理界では脇に回るとまったく目立たないけれど、主役を張ったときは他の追随を許さない独自の世界観を持っている食べ物となる。ただ、共演者によってはどっちが主役かわかりにくいときもあるけれど、それでも独立した主演を張れる役者として味わいのある食材だ。あ、そうだ、某NTVの「H密のKンミンSHOW」という番組で、宮城県では油麩というのがあり、それを使った「油麩丼」が人気だといっていた。沖縄以外でも主役を張る「麩」が活躍することはウチナーンチュにとっても喜ばしいことである。

 で、今月のテーマ「麩」である。沖縄では「フ」といわずに「フー」とのばして呼ぶ。フーに向かって「あなたは誰(フーアーユー)」と聞くと、必ず「アイアム、フーズフー(私は食べ物の麩)」と応えるハズ。かつてタイガーウッズはゴルフバッグに10個の麩を持ち歩いていたことから「フーテンのトラさん」と呼ばれていたことはご承知だと思うが、あの、ザ・ピーナツも両手に麩を持って「恋の麩ーガ」を歌っていたのはあまり知られていない。

 とにかく、沖縄ではそんな噂がまことしやかに流れるほど、ウチナーンチュは「フー」を愛しているのである。では「フー」を使った料理はどんな料理でどんなバリエーションがあるかというと、「フーイリチー」のみである。それ以外もそれ以上もない「フーイリチー」一品のみである。しかし、間違った呼び名で「フーチャンプルー」と呼ばれることも多々ある。知らない人もいると思うが、沖縄料理では炒め物に豆腐が入らないとチャンプルーとは呼ばない不文律があるため、「フー」の炒め物は正確にはフーイリチーやフータシヤーという。ちなみにソーメンを炒めたものはソーミンチャンプルーではなく、ソーミンタシヤーやソーミンプットゥルーという。

麩チャンプルー弁当 その「フー」を料理した「フーイリチー」であるが、沖縄でどのくらい人気があるかといえば、あの全国チェーンの弁当屋「Hotto Motto」で「麩チャンプルー弁当」430円と「麩チャンプルーDX弁当」560円がご当地弁当として「ゴーヤー弁当」と並んで売られるくらいである。もともと本土系の弁当屋なので「麩チャンプルー」というネーミングは愛嬌として(ホントは直してもらいたいが)、「フー」を使った料理が弁当になるのは沖縄だけである。「麩チャンプルー弁当」そのものは美味しいのでボクの好きな弁当の一つではあるが、欲を言えば「麩チャンプルー弁当」は共演する野菜やポークの個性が強すぎて、「フー」そのものが主役としてはちょっと目立っていないところがボクには不満である。「フー」そのものの味を味わいたいのならキャベツやモヤシといった水分の多い野菜をキャスティングに選んだのが間違いであるが、弁当屋として美味しくて栄養面を考えるとうなづける設定といえるけれどね。

 というわけで、今回は久しぶりにボクの「フーイリチー」の作り方を紹介したい。使う野菜は水分の少ないものとしてボクはニンジンとニラを使う。お肉は豚肉もいいけど「フー」との味の相性を考えるとボクはポークがベストだと思っている。まず、フーを適当な大きさに輪切りして水に戻し硬く絞り、ニンジン短冊切りにしてニラとポークは同じくらいの大きさに切る。卵を溶いて塩と多めかなと思うくらい醤油を入れかき混ぜて、固く絞ったフーを入れ溶き卵をよくしみ込ませる。フライパンで油を入れフーをよく炒めて皿に移し、同じフライパンに油を入れポーク、ニンジンをいれよく炒め、ニラに軽く火を通し、塩と醤油で味を調えて先に炒めた「フー」を入れてよく煽れば完成。「フー」独特な食感と、ニンジンとニラとポークとの相性が絶妙で、ご飯にも泡盛のつまみとしても最高の味わいだ。
フーイリチーの作り方
 アンマーたちの知恵から生まれた「フー」料理だけに沖縄の気候フー土によく合ったフードといえる。出来立ては熱いので「フーフー」しながら食べるのがフー雅な食べ方である。

嘉手川 学の『ryuQ100味』バックナンバー:
http://ryuq100.ti-da.net/c73393.html

フーアーユーと聞いたら、「フーズ麩ー」と麩ーは応えた
筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。共著で『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売中。


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Posted by ryuQ編集室 at 2010年06月21日   09:00
Comments( 1 ) 琉球百科シリーズ
この記事へのコメント
はじめましてsukeboと申します。

フーの話、楽しくなりました。ボクも麩が好きでペットフードに染まり麩を見向きもしません、家の金魚を横目にダイレクトに麩にサラダやジャムと
サンドイッチのように、何でも挟んで食べています。歯ざわりが素晴らしいです。

小禄にもある「能登の海」のふイリチーは麩の含有量が素晴らしいですよ!お試しください・・・・・失礼しました。
Posted by sukebosukebo at 2010年06月22日 08:39
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