知名定男のデビュー曲「スーキカンナー」(1958年)

今回は知名定男のデビュー曲「スーキカンナー」を取り上てみげよう。

(マルタカレコード T-897 1958)
言わずと知れた知名定男のデビュー曲。数え13歳の時の録音だという。とは言っても最近この曲を歌う歌手が少なくなって、結構な島唄ファンでもあまり聴かないのではないか。難しいというのもあるかも知れない。スーキ(惣慶)もカンナ(漢那)も地名で宜野座村に属している。歌の出だしが「スーキカンナ、チン(金武)からヤイビーシガ」と始まるところからこのタイトルになった。「惣慶、漢那、金武から参りましたが」と行商人が頭にモノを乗せて担いで売り歩く「カミアチネー」の歌。かつては惣慶も漢那も、もちろん金武も金武間切に属していて、一まとめにして歌にしているところが何とも微笑ましいところ。よく、隣接する二つの村や島を併称するならいが結構あって、例えば、ターバティングワン(田場、天願)とか、チキンクダカ(津堅、久高)とか語呂の良いのは並べて併称していた習慣が沖縄にはあった。
さて、レコードに話を戻して、知名定男著「うたまーい」(岩波書店)によると、録音は琉球放送の舞台で緞帳を降ろして行ったという。元々ゆっくりであったのを速弾きに編曲して録音した。登川誠仁のアイデアで手解きももちろんセイ小(登川誠仁)。この音源がラジオから流れると、全島の民謡ファンは驚いた。「クヌワラバー、マーヌガ(このガキいったい何処のどいつだ)」天才少年・知名定男の誕生だった。一躍スターダムに躍り出た。聴衆はラジオに耳を傾け、思い浮かべるのだった。実際、今聴いてもその凄さはちっとも衰えてないといってもいい。とにかくテンポに狂いがない。音程もピキッ、パキィッと崩れない。知名定男が当時から現在まで第一人者でいられる天性というのをまざまざと見せつけるレコードである。登川誠仁、前川朝昭、山内昌徳らを伴奏に従えたというから回りの期待度も相当なものであったということが分かる。しばらくして声変わりしたとき、これは知名定男ではない、本物を出せ!と大騒ぎになったこともあるという。知名定男ファンにとっても沖縄音楽ファンにとっても、貴重な一枚だ。
【付録】:このレコードのB面が移民小唄のはずだが、どうしたことか、中国のラジオ放送音楽のような音が入っている。なんたるちあ。ということは世界的に貴重なレコードかも知れない。
●小浜 司の『ryuQ100歌』バックナンバー:
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筆者プロフィール:小浜 司(こはま つかさ)

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