〈小説の中の沖縄〉の中 1945-2009

さて前回紹介できずにいた県産本をまずご紹介しなければならない。今年の県産本は今年のうちに、である。
『小説の中の沖縄 本土誌で描かれた「沖縄」をめぐる物語』(仲程昌徳著/沖縄タイムス社)。1945年の敗戦から72年の復帰の年まで、本土雑誌で発表された沖縄をテーマとした小説を紹介していく、という意欲的な文学論考である。そこには沖縄出身の作家もいるし、本土作家もいる。しかしやはり本土雑誌という性格上、本土作家の作品が多い。帯にその作家陣の代表が挙げられている。いわく〈沖縄を描いた本土作家〉、田村泰次郎、火野葦平、柴田錬三郎、新田次郎、木下順二、石原慎太郎、椋鳩十、西村京太郎、吉村昭、立松和平、曾野綾子。他にもたくさんいるのだが、なるほどと思わせる。

1945-1972。この27年間は、米軍統治下である沖縄に、日本の作家たちはどういう視線を投げかけていたのか。また沖縄の作家たちはどのような沖縄を発信しようとしていたのか。発表時の雰囲気を感じつつ辿っていくことができる。僕らが感じる沖縄とは違う別の沖縄が浮かび上がってくるようだ。
こうした仕事は時間と労力を使うものだが、〈1972-2009〉なんていうところの続編も読んでみたいところだ。
なんか似たような本をかつて僕も編集したことがあるなぁ……と感じていたらば、思い出した。『なんだこりゃ〜沖縄!』(わうけいさお著/ボーダーインク)だ。サブタイトルの「マンガ・映画・雑誌の中の〈味わい深く描かれた沖縄〉をもとめて」のとおり、サブ・カルチャーにおける、もうひとつ別の沖縄を収集しつづけるマニアックな一冊。下世話な題材が多いのが魅力であるが、それをあくまでも趣味の世界で貫徹させ続けている著者わうけいさおさんの志は、仲程先生と一緒だと思いたい。

●新城和博の『ryuQ100冊』バックナンバー:
http://ryuq100.ti-da.net/c73391.html

プロフィール:新城和博(しんじょうかずひろ)
沖縄県産本編集者。1963年生まれ、那覇出身。編集者として沖縄の出版社ボーダーインクに勤務しつつ、沖縄関係のコラムをもろもろ執筆。著者に「うっちん党宣言」「道ゆらり」(ボーダーインク刊)など。
ボーダーインクHP:http://www.borderink.com/
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