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夏の風のような香りとやわらかな食感のマコモで夏の始まりを実感

マコモ
沖縄ではもう夏が胎動し始めている。日に日に気温の上昇と共に空気の中に湿度は徐々に高まり、風の中に夏草の香りがかすかに漂いはじめている。

梅雨明けの前後から本格的な夏になる前の今の季節を沖縄では「若夏」という。

沖縄だけにしかない季節の表現なんだけど、ボクはなんだかこの「若夏」という言葉が好きで、「若夏」の季節も好きだ。これからだんだんと暑い日々が続くようになるけど、暑さの中にも真夏のような暴力的な暑さではなく、どこか女性的でたおやかなイメージのある暑さというか、日が射すうちは熱いけど、日が沈むと涼しいというかクーラーなしでも過ごせる、そんな暑さで、とにかく真夏の暑さの前の段階の暑さの「若夏」がボクは好きだ。

夏の風のような香りとやわらかな食感のマコモで夏の始まりを実感また、この時期はこれから夏に向かっていくために、食べて美味しく体にも良さそうな果物や野菜が出回るので、島野菜好きのボクや熱帯果実好きの息子のとって嬉しい季節でもある。そんな爽やかな夏の始まりに出回る数ある野菜の中でもとりわけて好きなもの一つが「マコモ」だ。ちなみに「マコモ」とは標準語、あ、違った日本語。ウチナーグチでは「マクム」という。漢字で書けば「真菰」となる。

ところで、話は変わるが、今年の2月19日にユネスコが「ウチナーグチ」を方言ではなく「独立した言語」として認定したことを受けて、ボクは、ウチナーグチは日本語の中の方言ではなく、一つの言語としてとらえるようにしており、ウチナーグチに対して「標準語」という表記はしないようにしており、ウチナーグチじゃない大和口は「日本語」と書くようにしている。

悲しいことのユネスコは「ウチナーグチ」を「消滅の危機にある言語」として世界に発表しており、いわゆる「絶滅危惧言語」としてウチナーンチュは認識して言葉を守っていかねばならないと思う。

とはいってもボクは会話が上手にできないのでせめて身近なもの、特に食べ物を中心に残しておきたいと思っており、今後、「ウチナームン(沖縄のモノ)」の食べ物や食材などウチナーグチで書いたとき、日本語の対訳も表記するのでよろしくね。

というわけで、話を戻して夏の始まりを実感させる「マコモ」のことを紹介するね。

マクムはイネ科マコモ属の植物で、米よりも古い穀物といわれているワイルドライスはマコモ属の稲を利用しているそうである。食用にされる部分は黒穂菌が寄生して太くなった幼茎部分で、あえて食用菌を寄生させることで野菜として利用しているのである。肥大化した茎は筍のようなキノコのような不思議な食感になり、マコモならではの独特な風味になっている。ちなみにマコモは沖縄でよく食される野菜だが中華料理をはじめ、台湾やタイ、ベトナムやカンボジア、ラオスなどでも食用や薬として利用されているという。栄養成分も豊富で炭水化物やたんぱく質、カリウムやビタミンC、マグネシウム、カルシウム、リンが含まれ食物繊維も豊富に含まれている。
夏の風のような香りとやわらかな食感のマコモで夏の始まりを実感
マコモは沖縄でも栽培されているけれど、市場に出回っているほとんどが台湾からの輸入品である。ちなみに台湾では朝の沖縄直行便に合わせて収穫しているので、朝一で取れたマコモが夕方には沖縄の市場やスーパーには並んでいるという。

食べ方としては豚肉などと一緒に炒めて食べる方法が主流。ボクは豚肉よりもベーコンやポークをマコモと同じ大きさに切り炒めるのが好き。味付けは塩か塩コショウで、香りづけにほんの少しの醤油をかけると完成。ご飯との相性はもちろん、これがあればビールや泡盛にぴったりの味わいである。

夏の風のような香りとやわらかな食感のマコモで夏の始まりを実感最近、お気に入りなのがキャンプでは欠かせない焼きマコモ。友達で作家のあの仲村清司さんに教わったんだけど、皮付きのままのマコモをそのまま直火で焼き、外側が真っ黒になると完成。皮をむくと真っ白な本体?がほかほかと湯気を出しながらなんともいえない香りを漂わせる。焼き竹の子をヒントにしたと思うけど、熱々のまま塩をかけても美味しいけれど、花カツオと醤油をサッとかけて食べても美味しい。これがあればビールや泡盛だけでなく、日本酒でもワインでもウィースキーや焼酎までいけるくらい、とにかくなんにでも合う(というか合わせてしまう)。そのくらい好き。

そのほかの食べ方としてパスタや天ぷらにしても美味しい。

あぁ、なんだか、この話を書いていたら無性にお酒が飲みたくなってきた。今日はマコモ炒めと焼きマコモを食べて泡盛で乾杯しようかな。

嘉手川 学の『ryuQ100味』バックナンバー:
http://ryuq100.ti-da.net/c73393.html

夏の風のような香りとやわらかな食感のマコモで夏の始まりを実感
筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。共著で『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売中。


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Posted by ryuQ編集室 at 2009年06月15日   09:00
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