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パパイヤをシリシリーしてパパヤーイリチー(by.嘉手川学)

パパイヤ
シーミー4月は沖縄ではこの時期だけの欠かせない行事として「シーミー」がある。
一年を24に分けた節気の一つ「清明の節」に行われる祖先供養で、お墓に前に親戚が揃いご先祖と共に食事をする行事で、普段、なかなか会えない親戚同士がそれぞれの家族の近況を語り合いながら親交を深める交流の場でもある。

例年、清明の節は読んで字の如く、晴れ渡った清々しい天気の日が多いけれど、今年は3月から引き続きぐずついた天気が多く気温も低めのような気がする。それにいつもならば清明節の終わった後から天気がぐずつき始め、そのままゴールデンウィークの頃になると沖縄地方は梅雨入りするのだが、地球温暖化の影響ではないと思うが、どうも、沖縄の季節も少しずれているような気がする。

まぁ、シーミーの話しはこのくらいにして(詳しい話しは一昨年の4月に書いたので)、今月の沖縄の食べ物の話である。何にしようか悩んでいたら、2週間ほど前に女房の実家から、農業をやっていた親戚の畑から野菜をたくさん取れたからと、おすそ分けがあったことを思い出した。タマナー(キャベツ)、ジャガイモ、チンクヮー(カボチャ)、ニンジン、春菊、カリフラワー、ブロッコリー、パパヤー(パパイヤ)、シブイ(冬瓜)など大量である。

パパイヤウーン、たくさんあり過ぎていっぺんに食えないので、キャベツはチャンプルー、春菊は数回に分けてコンビーフハッシュ炒めやみそ汁にした。ブロッコリーとカリフラワーはカレーに入れ残りは茹でて冷凍庫で保存。根菜類は冷暗所で保存し、シブイはみそ汁やクリームシチューなどにして食べていたら、ふと見るとニンジンやジャガイモにまぎれてパパヤーが残っていた。
というわけで、今月はパパヤーの紹介である。

パパヤーというと本土では熱帯果実のひとつと思うかもしれないけれど、沖縄では熟する前の青いパパヤーを野菜として食べている。去年の8月にも書いたけど、食べ方としてはシリシリーしてパパイヤイリチーや、大きめにカットして肉などと一緒に蒸し煮するパパイヤンブシー、ソーキ汁やテビチ汁の実などにすることが多い。だから沖縄では八百屋やスーパーでも果物としてではなく野菜としてごく普通に売られており、庭木のひとつとしてパパヤーを植えている家も多いのでわりと自給自足できる野菜といえる。

ところで、沖縄の人はフルーツとしてパパイヤは食べないのかというと、たぶん「買ってまでは食べない」と思う。かといって庭になっているパパヤーは熟す前に採るのでなかなか熟す機会がなく、よしんば熟したとしても黄色い実はスーサー(ヒヨドリ)など野鳥の絶好の餌となり、完熟した実が木についていることはほとんど無い。また、沖縄のパパヤーは野菜としては美味しいけれど、熟した実は独特な匂いがあり、甘みも少なくフルーツとしては美味しくほとんど果物としての価値は無いといえる。

というわけで、今回、野菜としてのパパヤーのオーソドックスな食べ方を紹介しよう。まず、パパヤーをシリシリーします。シリシリーするのは沖縄の一般的家庭には一家に一つはあるシリシリー専用のおろし金を使用。ちなみにシリシリーとは粗おろし器で千切り上というか細長くおろした状態のことをいう。家にあったパパヤーは2週間ほど放置していたせいもあり、追熟をしてちょっと身が黄色っぽくやわらかだけど、シリシリーできないほどではないのでそのまま使うことにする。
作り方
そういえば、マチグヮーの中のイタリアン「料理工房・てだこ(^o^)亭」のオーナーシェフで友達のみどりさんが「白いパパイアの実より、やや黄色っぽくなった実のほうが味があって好きだなぁ」といっていたのを思い出したので、パパヤーのやや熟したのも良しとしてシリシリーを続けた。

シリシリーシリシリーしたパパヤーを小分けしてラー油と魚醤で和えたエスニック風和え物を作る。ボクのうちは魚醤が切れているので、スクガラスの漬け汁を魚醤代わりに使う。ちなみにボクはスクガラスを食べた後の漬け汁を捨てるのがもったいなくて、何か使えないかと思いナンプラーやしょっつる代わりに使ってみたらけっこう使えたので、今では漬け汁は捨てずに料理に使っている。

イリチーイリチーはフライパンで挽肉を炒めてシリシリーしたパパヤーを投入して、塩で味をつけ仕上げに醤油で味を調えると完成。シリシリーする手間はあるけど調理はいたってシンプル。白い実のパパヤーだと途中で水を加えて炒め煮にするけど、ちょっと熟した黄色っぽくなった実だとやわらかいのでその手間も省ける。歯応えのある白い実のパパヤーも黄色がかった実もやわらかくて美味しいものである。どっちも好みがあると思うけど、ボクはどちらもおいしいと思う。パパイヤだけにお父さんはあれも「パパは嫌」と好き嫌い言わず、美味しくパパヤーイリチーを食べるのであった。

みんなも庭にあるパパヤーを使って美味しいパパヤーイリチーを作ってね。

嘉手川 学の『ryuQ100味』バックナンバー:
http://ryuq100.ti-da.net/c73393.html

パパイヤをシリシリーしてパパヤーイリチー(by.嘉手川学)
筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。共著で『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売中。


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Posted by ryuQ編集室 at 2009年04月20日   09:00
Comments( 0 ) 琉球百科シリーズ
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