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「夏の島野菜を美味しく食べて沖縄の夏を過ごす」(嘉手川学)

「夏の島野菜を美味しく食べて沖縄の夏を過ごす」(嘉手川学)
 短い梅雨が明けると気温はうなぎ登りに上がり、真夏日と熱帯夜が続いていて今年の沖縄は例年になく暑い。いや、外を歩いていると「暑い」を通り越して、むしろ「熱い」と表現したくなるほどの熱気の塊が沖縄を包んでいるように感じられる。幸いなことに沖縄では木陰やビルの陰に入ると、海から涼しい風が吹いてくれるので暑さを凌げるが、それにしても暑いのは暑い。クーラーのないボクの事務所兼書斎は小さな窓が一つしかないため風の通りが悪く、扇風機をフル稼働して汗だくになりながら連日原稿を書いている。

「夏の島野菜を美味しく食べて沖縄の夏を過ごす」(嘉手川学) こんなに暑いと食欲が落ちてきそうなもんだけど、ボクはほぼ毎日、家族の夕食を作っているため、みんなが暑さに負けないよう野菜中心のメニューを作っているので食欲が落ちるヒマがない。というか落ちないようしているのである。そのためか、何気なく毎日作った夕食メニューを見ていると、そこでとあることに気がついたのである。

 ところで、農村部と違い那覇では新暦の7月や旧暦6月にはクヮッチー(ご馳走)の出てくる大きな年中行事もなく紹介するこれという、行事料理がないため、ボクが毎回の夕食で気がついたことを紹介しよう。

 実は、梅雨が明けをした以降のうちの夕食の材料となった野菜に気がついたのである。ゴーヤーやナーベーラー(ヘチマ)をはじめ、シマナー(島菜=カラシナ)を塩漬けにして作った自家製チキナー、自分で漬けたラッチョウ(島ラッキョウ)、パパヤー、マクム(マコモ)、ウンチェーバー、ンジャナ、フーチバー、ニガチシャ、ハンダマ(スイセンジナ)といった野菜を使った料理を出していたのである。もちろんその間、キャベツやニンジン、大根、玉ネギといった一般的な野菜を使ったり、チャンプルやイリチーといった沖縄料理だけでなく、カレーライスやタコライス、親子丼や豚丼、八宝菜やチンジャオロースー、炒飯、肉ジャガなど普通の料理も作ってきた(ちょっと料理自慢が入っているけど)。
「夏の島野菜を美味しく食べて沖縄の夏を過ごす」(嘉手川学)
 沖縄にはウチナーンチュが「島野菜」や「ウチナー野菜」と呼ぶ、昔から食べられている野菜があり、数年前から沖縄県農林水産部が中心になって、地産地消を目的として「沖縄の伝統野菜」を見直そうという動きがある。京都に「京野菜」があるように、沖縄にも伝統的な「沖縄野菜」があるというわけである。正式には「うちなー(沖縄)の伝統野菜と食材」といい、全部で60種類指定されている。野菜だけでなく穀類や果物、野草やハーブ、でんぷんなどを利用する植物も指定されており、変わったものではサンニン(月桃)が食材包装作物として認められている。伝統野菜の定義としては「在来種、外来種、帰化植物、野生種、栽培種、導入種に限らす、だいたい50年前から沖縄県各地で食材ととして利用された植物」と、特に厳しい定義ではなく、本土であまり栽培されず沖縄では昔から食べていたらからOK、といいうゆるい定義が沖縄的でとてもいい。本質は沖縄で作られていることが大切で、本土で作ったゴーヤーは正式な「沖縄の伝統野菜」ではないのである。

「夏の島野菜を美味しく食べて沖縄の夏を過ごす」(嘉手川学) このコーナーでは旬に応じた沖縄の伝統野菜も随時紹介したいと思う。そんなわけでさっそく紹介するのは「ウンチェーバー」である。和名をヨウサイといい、別名でエンサイともいい、茎の部分がストローのようになっていることから空芯菜とも呼ばれている。中国や台湾、東南アジアなどでもよく栽培されており、本土では主に中華料理の野菜として知られているが、沖縄では夏の野菜として普通に食べられている。ビタミンAやB2、Cやカルシウム、鉄分、カリウムを豊富に含み、食物繊維を野菜類の中では多く整腸作用もある。葉野菜が不足する真夏の沖縄では重宝される野菜だ…
「夏の島野菜を美味しく食べて沖縄の夏を過ごす」(嘉手川学)
 食べ方にはいろいろあるがお浸しや味噌汁、雑炊に利用されるが炒めて食べるのが一般的。ボクが子供のころはよく味噌汁に使われていて、茎をストローのようにして冷ました汁を飲んでいた。不思議なことに中一の息子も小学生の頃、教えてないのに茎をストローのようにして飲んだときは血のなせる行為に笑ったものである。

 ウチで作る料理方法は、ウンチェーバーを葉と茎の部分に分け、熱した中華鍋に油を引いてニンニクを入れ香りを出し、適当に切ったスライスした豚モモ肉か豚バラ肉を炒めて塩コショウして、焦げ目がついたら茎の部分から入れ火を通し、それから葉を入れ一気に炒めてオイスターソースで味付けをすれば「ウンチェーバーのオイスターソース炒め」出来上がり。簡単だけどすごく美味しくご版はもちろん、ビールにもよく合う。茎の部分のシャキシャキ感と葉の部分の美味しさ、豚肉とオイスターソースを使った旨味の深さは夏のシーズンだけの美味しさだ。

 美味しく食べて夏を元気に乗り切る。そのためには沖縄の気候風土の中で育った、沖縄野菜を美味しく調理して食べたい。また、機会があれば別の沖縄の伝統野菜を紹介するからね。というわけで夏の暑さに負けないように元気な夏野菜を食べようね。

●嘉手川 学の『ryuQ100味』バックナンバー:
http://ryuq100.ti-da.net/c73393.html
「夏の島野菜を美味しく食べて沖縄の夏を過ごす」(嘉手川学)
筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。共著で『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売中。



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Posted by ryuQ編集室 at 2008年07月21日   09:00
Comments( 0 ) 琉球百科シリーズ
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