ryuQ100冊4月号/ある意味「ミスター・沖縄県産本」

気が付けば、風がやふぁやふぁとしてきた。四月である。季節はといえば、うりずん。いろいろな社会的な節目にこの季節が選ばれたのはよく分かる気がする。降雨が地に染みわたり、大地は潤い、新たな生命が芽吹き始める。何かが始まるにふさわしい気が満ちているのだ。この「ryuQ」も、一年前にスタートした。「四月三日なんです」と、沖縄ウェブ界のキジムナーことスタッフのKUWAさんが教えてくれた。満一歳を迎えた訳ですね。なにかカリーをつけないといけないですな。
ryuQぬブログや ばが島ぬ恵み うりずんぬぐとぅ 染みて咲ちゅさ
なんちゃって琉歌、なので意味は不明であるが、とにかくおめでとうございます。今後とも末永いお付き合いのほどを読者ともどもよろしくお願いします。
今回紹介する本は、うりずんとも一周年ともまったく関係ないので恐縮だが、しかたない。去年の年末に出版されて、さっそく紹介しようとしたら、本がどこぞに紛れ込んでしまい、冬の間中、ずっと探していたのだ。春になり、本棚からひょっこり顔を出していたのをようやく見つけ出した。ゆい出版が実に久々に出した『カンタン家庭で作れる薬膳みそ』(知念美智子著)である。

食育研究家の著者が、長年の研究・実践の中から作り出した手作り味噌「沖縄薬膳みそ」のすべてを伝授する内容で、〈本書が、食育について考え、健康の基本である「食べる」、それも「何を」「どのように」「誰と」食べるかを考えるきっかけになれば〉ということだそうだ。「沖縄薬膳みそ」の作り方がとにかく懇切丁寧に説明されている。しかし全体的に実にざっくりとした、沖縄県産本らしい実用書である。しかし僕が紹介したいのは、実はその味噌ではなくて、この本の版元「ゆい出版」である。
ゆい出版は、いわゆる「ひとり出版社」で、代表の松田さんが、1998年の創業から編集から営業までこなしている。松田さんは、長年沖縄の出版界で仕事をしてきた方なので、僕ら世代にとっては先輩にあたる。「沖縄県産本ネットワーク」の集まりでも、僕の知らない頃の沖縄県産本の業界事情について、あれこれ話してくれる。話はシマの樋川(ヒージャー)ぬ如とぅ、止まらないのである。「新城君、あれ知ってるだろ、んッシッシッシッ(笑)」と、汗をかきつつ、県産本夜話が続く。僕が聞いてへぇーと思ったのは、「昔、フィンガー5の沖縄のコンサートで、ボディーガードをしたことがある」だった(出版とは関係ないがフィンガー5フリークとしては高得点の話だ)。
ゆい出版は出版点数は多くはないが、1998年に初めて刊行した『沖縄・国際通り物語 −「奇跡」と呼ばれた一マイル−』(大濱聡著)は、第19回沖縄タイムス出版文化賞正賞を受賞している。戦後那覇のメインストリートとして名を馳せている国際通りのあらましを辿るルポルタージュで、今でも国際通りに関しては唯一まとまっている本だ。著者は沖縄出身で1950年代から国際通りを体験していたNHKのディレクターだった方……久しぶりに手にとって思わず読みいってしまった。面白いなぁ。最近の沖縄のノンフィクションの傑作『ナツコ 密貿易の女王』や『沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子』などに先行する本として今後位置づけられるかもしれない。
執筆陣のラインアップを見ると、〈沖縄のことを正面から見据えた本づくりに取り組み、これまでに社会・基地・健康・芸能についての本を出版してきました。〉(ゆい出版のサイトより)という言葉通り、照屋寛徳、勝連繁雄、大田昌秀などなど、いかにも沖縄県産本といった人たちが並ぶ。復帰前後の香りがするでしょう。タイトルでは照屋寛徳著の『ウチナーンチュときどき日本人』が秀逸だと思う。
「本は売れないなぁー、んシッシッシッ(笑)」なんて、何故かうれしそうに語る松田さんなのであるが、僕は、ある意味「ミスター・沖縄県産本」ではないかと、その風貌ともども、密かにおもっているのだ。味噌の本、売れてるといいなー。(文・新城和博)
●新城和博の『ryuQ100冊』バックナンバー:
http://ryuq100.ti-da.net/c73391.html

プロフィール:新城和博(しんじょうかずひろ)
沖縄県産本編集者。1963年生まれ、那覇出身。編集者として沖縄の出版社ボーダーインクに勤務しつつ、沖縄関係のコラムをもろもろ執筆。著者に「うっちん党宣言」「道ゆらり」(ボーダーインク刊)など。
ボーダーインクHP:http://www.borderink.com/
ゆい出版は出版点数は多くはないが、1998年に初めて刊行した『沖縄・国際通り物語 −「奇跡」と呼ばれた一マイル−』(大濱聡著)は、第19回沖縄タイムス出版文化賞正賞を受賞している。戦後那覇のメインストリートとして名を馳せている国際通りのあらましを辿るルポルタージュで、今でも国際通りに関しては唯一まとまっている本だ。著者は沖縄出身で1950年代から国際通りを体験していたNHKのディレクターだった方……久しぶりに手にとって思わず読みいってしまった。面白いなぁ。最近の沖縄のノンフィクションの傑作『ナツコ 密貿易の女王』や『沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子』などに先行する本として今後位置づけられるかもしれない。
執筆陣のラインアップを見ると、〈沖縄のことを正面から見据えた本づくりに取り組み、これまでに社会・基地・健康・芸能についての本を出版してきました。〉(ゆい出版のサイトより)という言葉通り、照屋寛徳、勝連繁雄、大田昌秀などなど、いかにも沖縄県産本といった人たちが並ぶ。復帰前後の香りがするでしょう。タイトルでは照屋寛徳著の『ウチナーンチュときどき日本人』が秀逸だと思う。
「本は売れないなぁー、んシッシッシッ(笑)」なんて、何故かうれしそうに語る松田さんなのであるが、僕は、ある意味「ミスター・沖縄県産本」ではないかと、その風貌ともども、密かにおもっているのだ。味噌の本、売れてるといいなー。(文・新城和博)
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沖縄県産本編集者。1963年生まれ、那覇出身。編集者として沖縄の出版社ボーダーインクに勤務しつつ、沖縄関係のコラムをもろもろ執筆。著者に「うっちん党宣言」「道ゆらり」(ボーダーインク刊)など。
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