ryuQ100花・9月号『魔よけ・その二』

旧盆が去り、あの世の蓋が閉まったあとも居残ってしまった「ドンくさい霊達」がウヨウヨするこの時期、悪さをしないように結界をはるのが「柴挿し」の行事です。

昔の沖縄では、集落を見下ろせる丘や木の上に登り、火の玉が村に出没しないか若い男性がシフト制で見張っていたそうです。火の玉が出た家からは死者が出るといわれ、ユタに祈祷してもらい、爆竹を鳴らして死神を祓ったとか。
この期間、各家庭では、仏壇や火の神様の前に赤飯を供え、親ファーフジや神様に体力をつけてもらい「しっかり家族を守ってください」と、うーとーとーしたといいます。
ススキは、イネ科の植物で全国に広がる多年草です。秋の七草の一つでもあります。葉は細長く、ふちが鋭いので手荒に扱うと指を切るほど。こんなところから『刀』を連想させ「魔よけ」に繋がっていったのでしょう
最近、東京の友人に『マブヤー込め』をするのでススキを送って欲しいと頼まれました。何でも、東京でススキを探すのは至難で、花屋に行かなければならないそう。時は8月。花屋にサン用のススキを求めに出かけたものの「シーズン物なので市場にもまだ出ていない」と、言われたとか。確か、多年草のはず。何で、シーズン物なのだろうか?世界の中でも四季の情景を楽しむ民族のはずなのに。こんなつまらないことを考えながら、一歩外に出るとあるわあるわススキたち。ナンカうれしくなっちゃいました。沖縄って最高!

大量のススキを東京に送った後、改めて近所を見渡すと、明らかに一昔前よりススキが減っている。
あれ、いつの間にコンビニが?
へっ、ここに、道があったっけ?
人間って砂漠に大金をかけて植物を植える一方、茂る植物を排除していく。この矛盾って一体……年がバレちゃうけど、「東京さばくぅ〜」のフレーズがこだまします。
幸いか、沖縄には、各集落に神が鎮座する『御嶽』があります。街の喧騒のなか、手を付けられずに残る小さな自然があるのです。
沖縄の人はその自然の神々に畏怖の念を抱きながら敬神してきました。
その結果、街でありながらところどころに深い緑を残すことができたと言われています。「御嶽」は、街の空気清浄や冷却機能に役立ち、本当の意味での「人間達の守護」になっています。今世の魔物は、化け物でも幽霊でもありません。
人工的な魔物なのです。植物を初め、自然という『魔よけ』をもう一度考え直してみませんか?

プロフィール:比嘉淳子(ひがじゅんこ)
2児の母。すっかり“沖縄のおばぁ”的存在になりつつあるこの頃。
『沖縄オバァ列伝・オバァの喝!』『オジィの逆襲』(双葉社刊)、『琉球ガーデンBOOK』『よくわかる御願ハンドブック』(ボーダーインク社刊)、『琉球新報・うない』『琉球新報・かふう』のほか、新刊『沖縄オバァ列伝・オバァの人生指南』(双葉社)が発売中。
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