アルベルト城間インタビュー[後編]

ryuQ編集室

2007年08月08日 00:00


——アルベルトさんの歌や音楽に元気をもらっている人も多いかと思うのですが、アルベルト城間さんにとって音楽とは?

アルベルト城間(以下、アルベルト):音楽は生き物ですよね。その日のコンディションによって微妙に変化したりする生き物だと思うんですよ。その時の精神状態とか、生きている人たちが紡ぐアートですよね。

僕はいつもテンションが高いと言われるけど、ただ一生懸命にやっているだけだと思うんです。ただし、無理してテンションを上げようなんてはしてはいないですけどね。

元々、性格的にも楽しいのが好きなので、“音楽で成功する”以前に“音楽で楽しみたい”っていう人間だからね(笑)。

——それが音楽を長く楽しむ秘訣ですね

アルベルト:たしかに、音楽があるからこそ、今こうやって生活できている面はあるんだけど、自分も楽しめる音楽をやり続けたいですね。

——アルベルトさんは日系ペルー移民3世ということですが、音楽表現にプラスに影響している面については?

アルベルト:自分はスペイン語で歌えるウチナンチュの顔をしているのは、とても幸運な事だと思っているんです。
移民一世のおじいちゃん、おばあちゃんに感謝ですね。

昨年、ちょうど沖縄からペルーへの移民100周年で、その式典にディアマンテスも参加させてもらったんですけど、“100年って、これはただ事ではないな!”って実感してきましたね。そして、今は良い時代になったとも思います。
それを思うと、ディアマンテスというバンドがあるのは自然な流れでしょうし、もっと他のジャンルの音楽があっても不思議ではないなと思いましたね。

——人も巡り巡って、懐かしい歌も巡り巡って、またこの地(沖縄/日本)に戻るというのでしょうか

アルベルト:はい、そうかもしれませんね。今までアメリカで向こうのミュージシャンと録音してきましたけど、日本国内で全員日本人のミュージシャンでレコーディングしてきました。
また日本の曲のほか、あえてラテンのスタンダードナンバーも今回3曲ほど収録してみました。

——アルバムのサブタイトルが『〜熱帯歌謡大全集』とありますが、スタンダード・ラテンを収録することで、その“熱帯度”は上昇しているように思えますね

アルベルト:そうですね、熱くなりますね(笑)。

——“ビール”という意味の『Cerzeza(セルベサ)』という曲は、オリオンビールのCMにも流れていますよね

アルベルト:オリオン麦職人のCMで起用された曲で、このアルバムに収録されたオリジナルの新曲です。

——日本の歌謡曲7曲に、ラテン3曲、そしてオリジナル新曲が1曲と絶妙なバランスですね

アルベルト:今作では、来生たかお、スパイダース、井上陽水、ヒデとロザンナ、石原裕次郎、ペリー・コモ、トリオロス・パンチョス、チャランガ76、の歌をカバーしています。日本の歌謡曲を理解している日本人の一流ミュージシャンたちだからこそ、その1曲1曲を大切に完成させることができたんだと思います。
例えば、アルバムタイトル曲の『バン・バン・バン』(オリジナル:ザ・スパイダース)なんて、その頃にリアルタイムで演奏したことがあったという森村献がピアノで今回レコーディングに参加してくださったりとかね。
「日本の歌はこんなにいいものなんだ」と、みなさん誇りを持って演奏してくださっています。

——ズバリ、“スタンダード”とは?

アルベルト:スタンダードというのは“選ばれた曲”だと思うんですよ。
それを“アルベルトの歌”でまた楽しめる。そしてできれば生で聴いてほしい。そこで那覇にあるライブハウス『PARAISO』を新装開店して、多国籍料理の食事も一緒に楽しめるように作ってみました。
何より『PARAISO』の距離感がまたいいんですよ。大きなホールでのライブもいいんだけど、遠くない身近な距離がスペシャルですよね。

——さぁこれから、音楽を通してアルベルト城間さんが目指すところは?

アルベルト:今やっていることは常に進化してゆけると信じてやっています。
それとやっぱり人に聴かせるなら、“感動”を与えられないといけないと思っているんですね。“楽しさ”もあるけど“感動”があるからこそ、音楽がこうやって何年も永く残してゆけるんだと思います。
悲しい歌でも嬉しい歌でも楽しい歌でも、そこに“心を揺さぶる”ような感動があることが大切だと思っています。

だからこそ、僕らの音楽を聴いてもらって「あぁ、また来たいな。来て良かったな」って思ってもらえるような感動のステージを続けてゆきたいですね。
そして「沖縄はまだまだこれだけじゃないよ」って声を出していきたいと思っています。
※インタビュー[前編]をもう一度読む

(取材:KUWA)

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