沖縄暮らしのしきたり読本・家族まるごとお祝い福マニュアル2

ryuQ編集室

2009年12月23日 09:00


今の時代に、沖縄の伝統的な暮らし方がヒントに。話題の本『沖縄暮らしのしきたり読本・家族まるごとお祝い(福)マニュアル』が好評発売中。著者の比嘉淳子さんにインタビュー[前編]に引き続き、大切なメッセージをお話頂きました。

——昔から伝わる沖縄のしきたり本を、全国発売したのは?

比嘉淳子:インタビュー[前編]でもお話しした通り(厄年のエピソードのように)、元々沖縄だけのしきたりではなくて(もちろん沖縄独自のものもありますが)、沖縄は島国というのもあって現代にも唯一残されている部分があるんだと思うんですよ。昔の日本の原風景を表している。
沖縄に来られる観光客の方々が、「沖縄には懐かしい温かさがありますね」って憧れをこめて語るのは、“かつての日本がそこにあるから”なのだと思うんですよ。

——マニュアルとしてのニーズは県内のほうがあると思うんですが、それを全国発売にしているのは、DNAにうったえかけているんですね?

比嘉淳子:日本人の細やかな感性にうったえているというか。この本をきっかけとして、それぞれが暮らす各地域の良いもの(伝統的な文化風習)を再発掘してもらえたらと思うんですよね。

——そのほか、この本にはQ&Aなど、おばあちゃんの知恵袋的なコーナーもありますね。

比嘉淳子:例えば育児って、必ずしもマニュアル本の通りには育たないじゃないですか。赤ちゃんのゲップを止めるのにマニュアル通りにいかなかったりする場合、経験者に尋ねるしかないですよね。ですから、年寄りのうるさい小言だと言うんじゃなくて、それは先輩達の生きた知恵なんですね。

例えば、産後にお母さんのお乳がすぐ出ないからって、出すためにマッサージをしてもおっぱいが張ってくるだけの時もあって、出口が詰まっていたりするのでそういう時にちょっとした知識が助けになる。

昔の人は「お乳が出ない事はないよ」って魚汁を飲ませていました。本当にいっぱい出てくるんですよね。
そのお乳のにおいは魚汁ですし、赤ちゃんのゲップとかも魚汁の香りなんですが、「あぁ、私が食べたものがこの子に栄養になっているんだ」と実感も湧いてくる。
だから薬を飲むとそれがそのまま赤ちゃんに流れてしまう(赤ちゃんにとっては害になる)という事とかがよく理解できるようになるし、ぜひ若いお母さんたちにもこの本を読んで知ってもらいたいですね。

——比嘉さんにお話を伺っていると、もう一冊本が出来そうなほどたくさんのメッセージを頂いていますが、詳しくはこの本をご覧くださいということで。

比嘉淳子:そうですね。ぜひこの本を読んで頂けたらと思います。
また、本の表紙カバーをひっくり返すと、お祝い事や日常の御願(ウガン)に使える便利なシートになっていますので、ぜひ使ってください。

——最後にもう一言だけお願いします。

比嘉淳子:よそからの現代風な文化を取り入れることも楽な事ではあるんだけれども、自分の住んでいるところの良さをもう一度知ってもらうことがその土地に合った昔からの知恵を引き継ぐことに繋がっていくので、そういうきっかけにしてもらいたいです。

例えば、なぜ沖縄では結婚を“ニービチ”と言うんでしょう?“根っこを引いてきて(ニービチ)、新しい株を作っていく”という深い意味があったりするんですね。それでトートーメー(ご先祖の仏壇)の前で三三九度をするのが沖縄本来の結婚式の姿なんですね。男と女の結婚というよりも、それぞれのご先祖様が育んできた愛情の塊が、花婿と花嫁であって、それを全部ひっくるめてみんなが幸せになろうよっていう行事だったりします。

厄にしても、厄を祓うんじゃなくって、みんなで(お祝いして受け持って)前向きに幸せの方向に持っていくのが沖縄式の考えだったりするんですね。それが“生年(とぅしび)祝い”。
悪いものを祓うのではなくて、悪いものをいいものに変える。

そのように意味さえわかっていれば、なんだってすんなり入っていけるもの。行事やしきたりだって同じ。
“なぜこんなに手間を掛けるのか、それには意味がある”のであって、“意味がわからないから大変だと思ってしまっている部分がある”と思うんです。

“みんなで幸せになる”これが基本なんですね。沖縄の昔からそのようなポジティブな考えかたを、ぜひヒントにしてもらえたらと思います。
(インタビュー[前編]を読む→)

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(比嘉淳子+チームくがに著/
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