南大東島(ボロジノ)のルーツ・ロシア民間表敬へ

ryuQ編集室

2010年09月28日 09:00



沖縄県の離島、南大東島(南大東村)は、別名として「ボロジノ」という名前があるのをご存知ですか?
(※役場のHPにもボロジノアイランドと表記されています)

これは1820年に、ロシアの海軍佐官ポナフィディン氏が現在の南北大東島を発見し、彼が指揮する艦船「ボロジノ号」に因んで南北大東島の名を“ボロジノ諸島”と命名したとされ、ヨーロッパの地図にも記載された名前です。
現在の南大東村史にもこの歴史的事実が明記されています。

南大東島ではこの「ボロジノ」の名前に親しみを持ち、島の子供たちで構成する民謡グループの名前に「ボロジノ娘」、ダイビングショップの名前に「ボロジノアイランド」など、さまざまに「ボロジノ」を南大東島の同義語として活用しています。


*南大東島開拓110周年記念・ロシアボロジノに民間表敬へ

かつては無人島であった南大東島も、今年は有人島(開拓)110周年。

島で親しみ愛用している「ボロジノ」の名前の村が実はロシアに現存しています。そこはトルストイの作品「戦争と平和」で描かれた舞台の村であり、ナポレオン軍(フランス軍)とロシア軍が大激戦を繰り広げたボロジノの戦いがあった場所なのです。

年に一度、9月の第1日曜日には、この歴史的なボロジノの戦いを再現する戦国絵巻「ボロジノ祭り」が盛大に開催されています。

そこで、島の110周年記念に、ロシアの艦船にボロジノの名前をもらい、今も大事に活用している日本の南大東島のことを伝えようと、有志の民間使節団が結成され、祭りに合わせてルーツのロシアへ、ボロジノ村へ、民間表敬訪問が行われました。
*民間表敬団結成

民間表敬団の団長は南大東島訪問経験者であり、ボロジノについて研究されているロシア専門研究の大家、京都大学名誉教授・木村崇氏を筆頭に、南大東島観光大使・吉澤直美、島嶼学会理事・山上博信氏など、南大東島ファンというメンバーで、「ボロジノ=南大東」に縁ある5名が参加してきました。


*ロシア・ボロジノ村へ民間表敬へ

モスクワから西へ120km、ボロジノ村は自然豊な大草原が広がっていました。
どこかしら南大東島にも似ている景色とも出会い、一同感動しながらボロジノ村役場に到着。

笑顔で副村長に出迎えられ、歓迎の宴席も用意され、ケーキやお茶など手厚いおもてなしを受けました。
副村長さん自身、「ボロジノという場所が日本にあることに驚いたし、沖縄の南大東島がボロジノという名前を持つことも初めて知った」など、訪問の意図と今後の夢や希望に話に花を咲かせ、村にある歴史博物館なども見学し、光栄で充実した時間を過ごしました。


*ボロジノ村は2年後200年祭り

ロシアではナポレオンを撤退させた誇り高き場所として知られる「ボロジノ」。その名前は、栄光ある魅力ある名前、縁起がいいとされ、ロシアでも「ボロジノホテル」「ボロジノフラワーショップ」など、さまざまに活用されているのも見聞してきました。

南大東島はロシアからのルーツで命名された「ボロジノアイランド」。
本家ロシアのボロジノ村役場に、民間使節団の表敬が予想以上に歓迎され帰国できたことに、すべての関係者に感謝します。

ナポレオン軍とロシア軍が激戦となったボロジノの戦いは、2年後ちょうど200年を迎えます。

ボロジノ村では記念祭りを盛大に予定しているとのこと。

同名のご縁によるロシアボロジノ村と南大東島の友好交流と、さらなる両村の発展を祈念します。

(文+写真: 吉澤直美)
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