『さんかく山のマジルー』中城城跡先行野外上映&モーアシビ!

ryuQ編集室

2009年07月10日 09:00


前回記者会見の様子をレポートした映画『さんかく山のマジルー 真夏の夜の夢』の先行野外上映とウチナー芝居・ライブのモーアシビライブが、中城城址(なかぐすくじょうし)の二の郭(にのくるわ)にて7月4日と5日開催されました。
ポップスとオペラを融合させたスタイルでオペラ界に新風を吹き込み、エンディング・テーマ『愛の奇跡』を歌う藤澤ノリマサさんも初日のみ登場。月夜に照らされる世界遺産からポップオペラが響き渡りました。
イベント前の村長表敬訪問と、先行野外上映&モーアシビLIVEの初日のレポートです!

マジルー。村長さんたちとご対面

中城城跡にて開催されるにあたり、イベントの前に中江監督とマジルーが北中城と中城の各村長を表敬訪問いたしました。

なぜ中城城跡でイベントを?
映画上映にあたり中江監督は『さんかく山のマジルー』を文庫本にて出版(6月5日・ポプラ社刊)。小説の中では、誤左丸の乱はマジルーの仕業だった…という設定なため、「中城の按司だった護佐丸と、キジムンと一緒に見れたら楽しい。劇場の中だとキジムンはなかなか来れないと思ったので、中城城址にて開催したいと思った」と説明し、そしてマジルーの口上と劇中でもハイライトの『弥勒節』を披露。そしてマジルーから招待状を手渡すと、両村長ともに中城城址での開催をとても喜び「ぜひ伺います」と仰っていました。

世界遺産で映画とライブ!

イベント初日。少し心配された天候でしたが、当日はキジムンのおかげか夕方5時頃には日差しが厳しいほどの晴天となり、開始2時間ほど前から続々と観客が並び始めました。階段を上がり会場に到着するとパイプ椅子が数百並べられており、最終的には立ち見も出たそうです。

幕開けは地元の中城村津覇伝統芸能保存会の獅子舞。続いてアンマーハンメー&タンメー役の平良進、平良とみ夫婦が手をつないで、キジムンを呼ぶ儀式として魚を片手に登場しました。そして照屋政雄さん、神村るみ子さんの民謡の後、平良夫婦が数週間で指導したというウチナー芝居『カニメガとオホホの恋』の上演が行われました。

オホホはキジムンの王でカニメガは島の娘。キジムンと人間が恋に落ち、その子が琉球王国の最初の王となり、映画に登場するマジルーの祖先となる話として、映画の中でも見られる沖縄芝居を、映画とは別のメンバーである桜坂市民大学劇団にて上演されました。

数時間の脚本を数十分という時間で上演できるよう編集し、またメンバーの中には本土の方も3名いるということで、それを短い時間で仕上げた、という平良進さんのコメントが印象的でした。

オペラ界の貴公子登場

空が暗くなり始める頃、映画上映がスタート。刻々と変わる夜の空にファンタジックな映像が浮かび上がりました。そして上映が終わると、4日の初日はオペラ界の貴公子と呼ばれている藤澤ノリマサさんがライトアップされた城壁のアーチから登場し、爽やかで伸びやかなポップなオペラの歌声が中城城に響き渡りました。藤澤ノリマサさんの来沖に合わせて、沢山のファンも見えていました。

そして最後はカチャーシー!と思いきやサプライズです。キジムン・マジルー様が城壁の上に登場。『弥勒節』を歌いあげます。皆にも歌うよう声をかけ、ステージに映し出された『弥勒節』を会場の全員で歌い、子供からお年寄り全国からの観光客も含め月夜は戸外の城跡で、たっぷり約3時間の先行野外上映&モーアシビLIVEは終了しました。

終了後、観客のYさん(那覇市)にお話を伺うと、
「子供の頃からシェイクスピアのファンなんです。妖精のパックがキジムンになっていたり、原作ではこうなっているのが映画ではこういうふうなっているとか、比較しても面白く観ていました。でも原作を知らなくても楽しめるなぁと思いました」との事。

両日ともに心配されていた雨も降らず、なんと2千人以上の観客が集まったとか。
シェイクスピアの『真夏の夜の夢』をベースに大胆にもウチナー版として展開されている『さんかく上のマジルー 真夏の夜の夢』、7月18日〜沖縄・桜坂劇場にて上映、全国上映では『真夏の夜の夢』というタイトルで、25 日より新宿を皮切りに全国上映がスタートします。

シェイクスピアの原作を読むか、中江監督の文庫本を読んでから映画を観るか…。
2009年の夏はウチナー版『真夏の夜の夢』でマジルーの夢を体験しましょう♪

※公式blogはコチラ

(文: YANTY藤原、写真+編集: KUWA)

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