座間味島の海のイベントといえば、サバニレースが最も有名ですね。今年で10回目を迎える『サバニ帆漕レース』が6月28日(日)に開催され、ryuQ編集部も本部挺で伴漕してきました。昔ながらのサバニに惹かれ、海に挑む人々をレポートしたいと思います。
サバニといえば、旧暦5月の海神祭のハーリーを思い浮かべるかと思いますが、サバニに帆を立てた姿が古来からのスタイル。なぜ、この昔ながらのスタイルで座間味島から那覇(沖縄本島)までの距離を手漕ぎで渡るようになったのでしょうか。
実は、座間味島の人々は、エンジン船が普及する前の近代まで、サバニひとつで那覇まで渡っていたのだといいます。
「かつて先人たちは、梅雨明けのカーチペーの風を利用して、サバニひとつで那覇まで座間味産スイカを満載にして売りに行っていたんですよ」と座間味村役場の宮平賢さん。
そのスタイルが現代に復活するきっかけとなったのが、2000年に開催された沖縄サミットを記念して、
座間味ヨットレースのヨットマンたちによって『座間味サバニ帆漕レース』が始められました。
その当初からのキーパーソンである山城洋助さんにお話を伺ってみました。
「この10年を振り返ってみると、サバニ帆漕レースには40を超えるサバニが今では参加するようになりました。サバニに帆を立てたスタイルに安定感を保つためにアウトリガーを付けた舟が現在は多いですが、古式のサバニにはアウトリガーなんて元々は無いですから、今後はアウトリガー無しの古来からのサバニの姿でレースをする舟を増やしていきたいですね」。
現在は、アウトリガー付きの部門ほか、古来からのアウトリガー無しの「古式サバニ」部門とに分かれていますが、そもそもはアウトリガー無しの帆かけサバニが本来のサバニなので“古式”という言葉もいらないように、アウトリガー無しのサバニの姿に戻していきたいのだと熱く語る山城さん。
なぜこのように、サバニに、そして海に惹かれるのでしょうか。サバニレースの猛者チーム『海想』の森洋治さんにお話を伺ってみました。
「皆が夢中になるのは、昔の海人のDNAがどこかにつまっているからじゃないかな。スピードの時代から、ローテックなものが見直されてきている時代。環境を壊さず、人間の本来の姿というもののほうが、人間にとってもナチュラルだし、そこに向かっていくのだと思うんです」とのこと。
地元チームで、'07年・'08年とサバニレースで2年連続優勝を成し遂げてきた『ざまみ丸』の宮村幸文さんにもお話を伺ってみました。
「座間味では、サバニを昔から実際に使って沖縄本島まで渡っていた歴史がありますからね。それを自分たちでまた体感できる。そして、サバニというのは、風があろうとなかろうと、どんな条件でも進ませてくれるというところが、いい船だとつくずく思いますね。それを先人達が設計し後生に残してくれたというのが凄い。自分たちも、ぜひこれを残していきたいですね。継承するには持ってこいのレースですね」。
チーム『ざまみ丸』は皆地元の人たちなので、メンバーみんなとの気持ち、絆があり、お互いが何も言わなくても息がぴったりなのだとか。
さらには地元中学生のジュニアチームも、大人達に交じってこの大会にチャレンジし続けているとのこと。
「今まで毎日練習してきたことが無駄にならないように頑張りたい」と、座間味中学校3年生の中村宏太くん(チーム『海学校』)。
このほか、沖縄水産高校や、女子チームだけのチーム、海外からは台湾からも体験視察もあり、今年は計43チームが手漕ぎで競い合いました。
各チームにはもう一隻ずつサポート船が付くので、本部船を含めて100隻近くのほか、
前日に開催されたヨットレースに参加されたヨットが沖合に浮かび、古座間味ビーチの海の光景はそれはもう壮観です。
ぜひ一度、海へのロマンを共有体感してみませんか。
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(文+写真: 桑村ヒロシ、取材協力: 座間味村役場、サバニ帆漕レース実行委員会)