写真の可能性(国際通りの写真講座から)

ryuQ編集室

2008年12月25日 09:00


今年もあとわずかですね。子年は“始まりの年”という事もあり、那覇市ぶんかテンブス館写真講座『copiゼミ』に1月から通い、“写真とは”を1年を通して学びました。それも座学です。
“写真”をその発祥の歴史から追い、また、写真は光の表現でもあるので“光”とは何か、そして“写真とコミュニケーション”“メディア(媒体)としての写真(撮影者)”など、カメラ技術ではなく“写真とは何モノなのか?”を俯瞰して見ることでたくさんの再発見(という学び)があるという、目からウロコな写真ゼミが沖縄で開講されました。

写真を通して、街興し・人を育む

主催するのは『写真甲子園』の仕掛け人で、写真家でありプランナーの勇崎哲史さん。ライフワークでは、宮古の大神島を何十年も通って全家族と島の時間を撮り続け、写真集『大神島』でその記録を残されているかたです。

写真を通して、街興し・人材育成にも貢献されてきた経験を、こんどは沖縄で!

写真を広く・深く学べる機会にと、写真に携わる方々だけでなく、社会人や学生、未経験者までが集う場となって、沖縄の写真界のベテラン勢も数名の方々が参加したり、写真甲子園経験者で高校を卒業されたばかりのティーンエイジャーまで、かなり幅広い年齢層が参加しました。

3つの写真展と写真フォーラム

そして今年は、那覇市ぶんかテンブス館が開館4周年。その記念イベントのなかで、研究生(copiゼミ)の写真展(テーマ『花』)が開催される事になったのでした。
またそれだけでなく、現役高校生たち64名(県内12校)による型にはまらない自由な作品群(テーマ『国際通り界隈』)と、copiゼミとKBC専門学校の学生さんたちによる『水』をテーマにした作品展の、合計3つの写真展が同時開催。盛り沢山な展示内容です。
それをこれまでにない展示レイアウトで表現してまとめるというのは、とても個性的でありながらちゃんと全体の流れを作るという、それはとても面白い体験となりました。

さらに注目だったのは、写真展会期中に開催された写真フォーラム。『国際通り:その記憶と記録』と題したトーク・セッションでは、沖縄写真界の重鎮・山田實氏から現役高校生(真和志高校ほか各写真部から3名参加)までがひとつの壇上にあがり、半世紀前から国際通りを撮り続けている大先輩から、“今の子たちが今の国際通り界隈”へのまなざし(先だって行われた高校生撮影会)が、“写真”を通じて世代を越え交流する事ができるという、とても意義深い機会となったのでした。

またテンブス館はかつてアニーパイル国際劇場があった場所の近くだったといわれ、それが“国際通り”の由来といわれるようになった現代に、山田實氏や金城棟永氏の記録した半世紀前の懐かしい国際通りの写真群を見て、山田實氏自身がかつてと同じ現場から当時の記憶を甦らせながらのトークは、それは大変貴重なものになりました。
そして「“記録”(record)されたものから、思い出すものが“記憶”(memory)」と語る勇崎哲史さんは「写真の感動は“記憶”から誘因されることがある」と結びながら、写真の魅力やそこから拡がる可能性を語り合ったという講演でした。


座学の写真、そしてフィールドワーク撮影会

また座学のほか、『水』展の開催のきっかけとなった、写真家はてるまこう氏(copiゼミ第1期受講生でもある)を講師に迎えての写真ワークショップでのフィールドワーク撮影会もあり、はてるま氏が指導する写真教室や桜坂大学の受講生も合流しての撮影会はまた新しい視点で撮影に挑むことができました。(2009年の初旬にも撮影会を予定しています。一般参加も可能です)

新しい可能性を見つけに、あなたも写真に触れてみませんか。

お問い合せ先:
光画文化研究所』(那覇市ぶんかテンブス館写真講座)
住所: 那覇市牧志3-2-10 那覇市ぶんかテンブス館
TEL: 090-1644-4650(勇崎)
E-mail: copi.info@gmail.com
URL: http://tenbusu.jp/

(文+写真: 桑村ヒロシ)

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