祝・復活5周年『ハーリー由来まつり』

ryuQ編集室

2007年05月07日 00:00


県内最大の『那覇ハーリー』はこのシーズンの風物詩。現代では、ハーリー競漕のレースの部分が大きくクローズアップされていますが、ハーリーとは元々海神祭の中で行われるもの。

中国文化に影響されたハーリー行事、この沖縄においてハーリー発祥の地とはどこになるのでしょう。発祥にまつわる伝説は3説残っているようですが、その中でも詳細が残されている地が、豊見城にありました。

琉球王府の正史『球陽』によれば、第2南山王・汪応祖(ワンオウソ)が、1400年頃に留学先の中国でみてきたハーリー行事に感銘を受け、帰国後に豊見城グスクを築き、また龍船を造船して那覇江中(現在の慢湖)に浮かべたとあり、さらにはグスク内での神事の様子まで具体的に記述されています。

その豊見城グスクを舞台に、廃藩置県以後途絶えていた伝統を5年前に甦らせ、『ハーリー由来まつり』を復興。

その祭祀の大事な部分である神事についてもその記述通りに復興し、豊見城市内の各字から、字豊見城、嘉数、根差部、真玉橋からノロや神人が招集。
各地域の神人が一堂に会す機会は、今ではこの『ハーリー由来まつり』の時だけなのだそうです。

豊見瀬ウタキの前には、神人のほか、市長、議長、自治会長、実行委員会代表、そして那覇ハーリーの振興会代表が参列しハーリー御願。ここで参拝したあと、ヒララス嶽に遙拝。そしてサカジチ(盃)を頂き、供え物のウサンデーが行われます。

元来、ユッカヌヒーといえば旧暦5月4日のことですが、現在は毎年新暦5月初旬に行われているのは、『那覇ハーリー』との関係によるものだそうです。

新暦5月3日から5日まで開催されている那覇ハーリーでは5日に御願バーリーと本バーリーを迎えます。その前に、ハーリー由来の地にて復興された『ハーリー由来まつり』に豊見城登り(ぬぶい)し、その中で安全祈願を行っているのでした。

GW最大級の観光イベントと思われていた『那覇ハーリー』にもしっかりとその魂が息づいていることを、由緒ある豊見瀬ウタキの前で証明するかのように、ハーリー歌と空手演舞を奉納。


(♪『ハーリー歌』の試聴はこちらから)

そのあとの余興では、豊見城の子供達によるエイサーが披露されます。地元の子供達にも豊見城の伝統にぜひ関心を寄せてほしいと、エイサー隊の子供達のほか、地元少年野球チームも参加。子供達も一緒に豊見瀬ウタキの前で手を合わせている姿が印象的でした。

さて、さらに注目すべきは、600年ぶりに爬龍船を建造しようと準備をすすめているとのこと。
第1回のハーリー由来まつりでは、那覇ハーリーの爬龍船を使用し、汪応祖が遊覧している光景を再現したのですが、“来年にはぜひ豊見城にも爬龍船を”ということになり、その故郷ともいえる福建省福州市で建造することになりました。

来年の新暦5月に行われる那覇ハーリーの安全祈願のほか、旧暦の5月4日頃には600年ぶりに復元された豊見城の爬龍船によって、とよみ大橋の下に流れる国場川で当時を思わせる光景が再現されることでしょう。

(取材協力:ハーリー由来まつり実行委員会)
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